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2010/11/13の日記(その2):若き3団体による響宴

「2010/11/13の日記(その1)」の続きです。

今回は新潟ユース合唱団2010演奏会に対し、舞台袖からステージリハーサルや本番の演奏を拝聴して感じたことを記します。記事題名の「若き3団体による響宴」は演奏会のサブタイトルから拝借しました。

なお、この記事は、演奏会後の打ち上げでスピーチを求められて申し上げた内容を基にふくらませたものです。


第1ステージ:新潟ユース合唱団(佐藤匠指揮)

  • Sicut Cervus (Giovanni Pierluigi da Palestrina)
  • Super flumina Babilonis (Giovanni Pierluigi da Palestrina)
  • Salve Regina (Orlando di Lasso)
  • Ave Regina Caelorum (Orlando di Lasso)

ルネサンスのモテット4作品。前半2曲は昨年から歌ってきたレパートリー、後半2曲は今年度に入ってから練習しだしたレパートリーです。

せきは2007年度から2009年度までの3年間この団で実行委員に混ぜていただき、今回の演奏会へ向けての基本構想を決める話し合いに参加していたので、選曲意図は心得ているつもりです。根底の思想は、基礎に立ち返ること。ルネサンスのポリフォニーは合唱の原点ですから。

パレストリーナとラッススは今年6月の新潟県合唱祭で1曲ずつ取り上げました。その感想「パレストリーナよりもラッススのほうが生き生きとした演奏」は今回も同じでしたが、フレージングのぎこちなさは大いに改善されていたと思います。まあ、パレストリーナの2曲はフレーズのスパンが長い分、音符を一つずつ踏みしめるような演奏になりがちで、単語なりフレーズなりを塊として歌うのが難しいということなんですかね。シンプルさならではのハードルとでも言いましょうか。

そういえば打ち上げで、コンサートミストレス的立場のSoprano団員さんが「合唱人だったらパレストリーナのSicut Cervusは絶対に歌わなきゃ!」と力説していましたっけ。

第2ステージ:敬和学園高等学校(荒木京子指揮 冨井愛ピアノ)

  • 世界に一つだけの花 (槇原敬之/信長貴富)
  • 生きる ——ピアノのための無窮連祷による—— (三善晃)
  • Hallelujah (George Frideric Handel)

1曲目と3曲目は毎年のように取り上げている愛唱曲、2曲目は長年憧れてきて今年初めて挑戦する曲だそうです。

3年生の大半が受験準備ということで、1・2年生が中心となった初のステージということでしたが、どれも血の通った立派な演奏。声楽的トレーニングも行き届いており、予備知識なしで音だけ聴くと成人の歌声とも思えるほどでした。ステージリハーサルのあと、清水雅彦先生と「彼らが高校を卒業したあとも合唱を続ければ、日本の合唱界は大きく変わるだろうに」と感嘆の声を交わしたものです。

あえて注文を付けるなら英語の発音。メサイアはイギリスの合唱曲ですから「and」の母音はエよりもアに近づけたほうが適切でしょう。あと「the」をザと発音するのはいかにも日本人訛り。有声のthはzよりもdのほうが近いし、できれば冠詞ということを踏まえてschwa(IPAの発音記号だと「e」を逆さまにした曖昧母音)を使うと、さらによろしかろうと思います。

第3ステージ:新大室内合唱団(箕輪久夫指揮)

  • Amor Vittorioso (Giovanni Giacomo Gastoldi)
  • Al mormorar (Giovanni Giacomo Gastoldi)
  • Ave Maria (Tomas Luis de Victoria)
  • Ne timeas, Maria (Tomas Luis de Victoria)
  • 唱歌より「I」 (千原英喜)

箕輪先生お得意のレパートリーを集めたステージ。おなじみのルネサンスものもさることながら、千原作品との相性もいいですね。作品に潜む遊び心が鍵なのかな。

箕輪先生は応用を求める指揮者で、歌い手には高い歌唱スキルと柔軟性が必要だと、先生からご指導を受けた経験(いずれ詳述するつもり)からせきは感じています。なのにちゃんと対応できている新大室内合唱団は敬服ものです。

4曲目は今年の全日本合唱連盟コンクール混声課題曲のひとつ。本番を聴いた新潟ユースのメンバーが何人も、演奏の完成度の高さと、三十名余という人数なのに極めてゆっくりなテンポで歌いきったことに驚いていました。

ステージリハーサルで先生が椅子に腰かけて振っておられたのはショックでした。確かに8月下旬のコンクールでも舞台袖では椅子に座って出番を待っておられたのですが、合唱団Lalariのメンバーによると直前リハーサルでは立って指揮したとのことでしたから、ごく最近になって脚の具合が芳しくなくなったように思われます。

新大室内合唱団のメンバーは新潟ユース創設当初に何名か参加していたのですが、程なく縁が切れてしまったので、今回みたいな形でつながりが復活したのは嬉しいことです。えちごコラリアーズにも数名ほど来てくれてますし。

第4ステージ:新潟ユース合唱団(清水雅彦指揮)

混声合唱のための「かなうた 第1集」(北川昇)
  1. ゆれる
  2. なみだ
  3. よぎしゃ
  4. ながぐつ

新潟ユース合唱団が清水先生に客演指揮者をお願いした目的のひとつは、第1ステージの項でふれた「基礎に立ち返る」と共通で、具体的には発声の技術を磨くことにあります。その前段階として昨年の発声講習会でも講師としてお越しいただいた次第。この成果は確かに表れたと思います。せきのいたときとは段違いにいい音が鳴っていました。ユースの皆さんには今後とも清水先生から学んだことを生かし続けていただきたいものです。

また清水先生は無伴奏作品でしばしば息をのむような響きを歌い手から引き出します。前世紀末から今世紀初頭にかけて、三女連(今は四女連)と呼ばれるジョイントコンサートで共立女子大学合唱団が清水先生のタクトにより精度の高い純正律で透明感あふれる名演奏を繰り広げたのが鮮烈な印象として残ってます。今回もそれにたがわぬ演奏でしたし、4曲目まで曲間の音取りなしで破綻なく進めたのも大したものです。5曲目で音を取り直す際(当初からの予定)事故があったと打ち上げで聞きましたが、聴衆には分からなかったんでは。

第5ステージ:合同演奏(清水雅彦指揮 冨井愛ピアノ)

混声合唱曲「夕焼け」(信長貴富)

なぜかプログラムには明記されてなかったのですが、敬和学園高等学校のメンバーによるハンドベルが加わっての演奏でした。ハンドベルパートは作曲者ご本人の筆によるものではなく、今回の演奏にあたって清水先生がお知り合いのハンドベル指揮者にお願いして書き下ろしていただいたものだそうです。

曲に込められた平和への祈りというメッセージと相まって、説得力の高い演奏でした。曲が終わって合唱とピアノの音が止みベルの残響だけになった音空間が特に素敵。


清水先生は小千谷市のご出身、新潟県の合唱団も数々指導しておられ、地元民にはなじみ深いお方です。また敬和・新大室内といえばコンクール県代表の常連ということでコンクール愛好家にとっては舌なめずりしたくなるような共演団体のはず。客席はきっと満員御礼であろうと期待しておりましたが、ふたを開けたら残念ながら……。どうすれば大勢の合唱人が食いつくのか、難題ですねえ。


書きそびれた余談。演奏会場に入ってから、打ち上げを終え午前0時半過ぎにホテルに戻るまで、せきは背広姿でした。そのとき立教大学グッズの一つで、OB男声合唱団が舞台衣装として使っているネクタイを締めていました。当日は立教グリー現役の男声定期演奏会も開かれているということを忘れないためにです。

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