blog.合唱アンサンブル.com

せきと申します。ウェブサイト「合唱アンサンブル.com」を動かしております。

ステージ出演予定などは告知カテゴリをご覧ください。

2011/08/16の日記:Nコン2011新潟県大会・高等学校の部

職場から8月16・17日に夏季休暇をいただきました。せっかくなので第78回NHK全国学校音楽コンクール(Nコン)新潟県大会・高等学校の部を聞いてきました。生でNコンの大会聴くのは生まれて初めて。


以下、各団体のデータと極私的寸評を書きます。長大な上、批判的な記述が混在してます。なるべく頭ごなしにならぬよう努めますが、ご気分を害された方がいらしたらごめんなさい。


1. 新潟県立新発田高等学校……奨励賞

自由曲
「雪」
〔女声合唱とピアノのためのメルヘン『すなの王国』より/金子みすゞ作詩、高嶋みどり作曲〕
  • 指揮:駒野律之〔教師〕
  • ピアノ:青栁佐和子

女声33名。

高嶋みどり作品をレパートリーの軸とする合唱団。ぶつかる和音の鳴らし方は堂に入ったもの。反面、縦の響きに集中するあまりかフレージングがよくわからず、上田真樹作品みたいに横の流れが重要な曲とは相性がいまいちだったように思う。高嶋氏の楽曲はビートやパルスを刻みながら経過するものが大半を占め、そういう曲は音楽の流れが停滞することを演奏者が気にする必要は必ずしもない。ただひとたび他の作曲家の作品を演奏する際、それがフレーズを歌い手が自発的に推進させてゆく場面がないと音楽が成り立ちにくいようなものなら、横の流れを意識的に作ろうとすることが必要であろう。

2. 新潟県立燕中等教育学校……奨励賞

自由曲
「Rock’n Roll 〜十ぴきのねずみ〜」
〔混声合唱組曲『十ぴきのねずみ』より/谷川俊太郎作詩、吉岡弘行作曲/無伴奏〕
  • 指揮:佐藤裕佳〔教師〕
  • ピアノ:森田雅代

女声8名+男声6名。

自由曲、冒頭で譜面にないフィンガースナップを足していた。ノリを演出しようとしたのかな。心意気は買うけど、曲が始まったら途中で走りだしてしまったのが残念。まあ歌っていてエキサイトしやすい曲なので心情は分かる。

3. 新潟県立五泉高等学校……銅賞

自由曲
「椎やなるな」
〔無伴奏女声合唱のための『南島歌遊び』より/福島雄次郎作曲〕
  • 指揮:古井明美〔教師〕
  • ピアノ:土田やよい

女声21名。

深い声が印象に残る。その声が、課題曲では音楽に陰影を与え、自由曲では曲の土俗性を増強する効果をもたらした。東欧系の作品と相性がいい声のような気がする。

ちなみに譜めくりを担当したのはtree2氏の令夫人。終演後、帰り際に挨拶した。

4. 新潟県立直江津中等教育学校……奨励賞

自由曲
「ヒスイ」
〔無伴奏混声合唱のための『カウボーイ・ポップ』より/寺山修司作詩、信長貴富作曲〕
  • 指揮:竹田光〔教師〕
  • ピアノ:澁木薫

女声15名+男声8名。

起伏のメリハリがきいた音楽づくり。特に高揚のさせ方は見事。課題曲で「決して」という語句を強調したのは伝わった。

自由曲でTenorのパートソロが不揃いだったように聴こえて残念。あと、エ母音が最も平べったかったのがこの団だったような気がする。

5. 新潟清心女子高等学校……奨励賞

自由曲
「うたをうたうのはわすれても」
〔岸田衿子作詩、津田元作曲/無伴奏〕
  • 指揮:井村優子〔教師〕
  • ピアノ:淺井美香

女声7名。

今年の合唱祭の感想で「遊佐未森みたいな声のSopranoがいる」と書いた団。合唱祭では気づかなったのだが、今回はその声に電子楽器テルミンみたいなビブラートがかかっているように聞こえた。Altoにも同種のビブラートがかかる人がいるみたい。

自由曲に、Sopranoが前面に出る部分が多い曲を選んだのは正解。ただし一部Sopranoがオブリガードを受け持つ箇所があり、Sopranoにはありがちなことながら他パートを食っていたかな。

6. 新潟県立柏崎常盤高等学校……奨励賞

自由曲
「走る」
〔女声合唱のための組曲『子猫物語』より/谷川俊太郎作詩、松下耕作曲/無伴奏〕
「はる」
〔女声合唱とピアノのための『この星の上で』より/谷川俊太郎作詩、松下耕作曲〕
  • 指揮:高野めぐみ〔教師〕
  • ピアノ:眞貝真弓

女声13名。

アンサンブルの統制はよくとれていた。ただ、ピアニストが特に課題曲で足を引っ張ってしまった感あり。

7. 新潟県立長岡高等学校……銅賞

自由曲
「ティオの夜の旅」
〔混声合唱組曲『ティオの夜の旅』より/池澤夏樹作詩、木下牧子作曲/ピアノ付き〕
  • 指揮:河本隆吉〔教師〕
  • ピアノ:近藤真代〔1年〕

女声24名+男声11名。

最も声の飛びがよかった。吹奏楽でも功績の多い指揮者だけあって、鳴りを生かしたオーソドックスな演奏。金賞でも不思議はなかった。

なのに銅賞となってしまったのは、審査員が特に課題曲で重視したであろうポイントについて点を稼げなかったからではと、閉会式での清水昭氏による講評スピーチからせきは推測する。自由曲の木下作品は、和音の連なりや転調で色彩美を演出するものが多く、同じトーンで終始しても充分に音楽は成り立つ。一方、上田氏の曲は、語感を生かした歌い回しや音色の工夫などといったプラスアルファの表現を加えるほうが演奏の説得力がぐっと増すのだが、そこらへんが長岡高校の演奏では物足りないと審査員から受け取られたのではなかろうか?

8. 新潟県立三条東高等学校……奨励賞

自由曲
「あんたがたどこさ」
〔無伴奏混声合唱のための『七つの子ども歌』より/わらべうた、信長貴富編曲〕
「てぃんさぐぬ花」
〔無伴奏混声合唱のための『七つの子ども歌』より/沖縄わらべうた、信長貴富編曲〕
  • 指揮:青柳秀昭〔教師〕
  • ピアノ:外山美起子

女声9名+男声3名。

温和なトーン、鈴木憲夫作品あたりと相性がよさそう。Sopranoの息漏れが多かったかなあ。

9. 新潟県立新潟高等学校……銀賞

自由曲
「かなしみ」
〔寺山修司の詩による6つのうた『思い出すために』より/信長貴富作曲/ピアノ付き混声〕
「ぼくが死んでも」
〔寺山修司の詩による6つのうた『思い出すために』より/信長貴富作曲/ピアノ付き混声〕
  • 指揮:比企湖太郎〔2年/課題曲〕、長谷川友宏〔1年/自由曲〕
  • ピアノ:渡部正也〔1年/課題曲〕、川名友里〔2年/自由曲〕

女声7名+男声6名。

歌い手の技術は確か。課題曲・自由曲ともマルカートで終始するタクトだったが、かえってリズムの変化が分かりやすい演奏になった。学生指揮者がバトンテクニックの修練を積むとか、合唱に習熟した指導者が振るとかするようになれば、全国に通用する合唱団になることも夢ではあるまい。

10. 新潟県立長岡向陵高等学校……銅賞

自由曲
「ふるさとの夜に寄す」
〔女声合唱のための『三つの抒情』より/立原道造作詩、三善晃作曲/ピアノ付き〕
  • 指揮:田辺美栄子〔教師〕
  • ピアノ:村山薫

女声10名。

語りがきちんとしている。パートの分け方は自由曲のほうが好ましく響いたかな。エ母音でハスキーになったりフレーズの収めで音が濁ったりするのが気になった。

銅賞になったのはピアニストの力も大きいであろう。課題曲のピアノはcol cantoが求められると思うが、このピアニストは合唱への寄り添い方が抜群。対して、自由曲で求められる、合唱をリードしたり合唱と対立したりする役割も、しっかりこなしておられた。

11. 新潟県立新潟中央高等学校……金賞

自由曲
「Introius(入祭唱)」
〔『In Honorem Sancte Birgitte(聖ビルギッタを讃えて)』より/Per Gunnar Petersson作曲/無伴奏女声8部〕
  • 指揮:立川祐子〔教師〕
  • ピアノ:二宮麻里子

女声40名。

安定感が凄まじい。特に自由曲は大伽藍の趣で、エンディングのクレッシェンドが圧巻だった。

長岡高校や新潟高校が声を遠くに飛ばすタイプのサウンドなのに対し、ここは舞台上で響かせるタイプで、好みが分かれるだろうとは思っていたが、結果として審査員はこちらを選んだ人が多かったようだ。

個人的に、課題曲の指揮において、ところどころ変なルバートをかけた(ように聴こえた)のは首をかしげるところだった。表彰式最後の全員合唱をお振りになったときはルバートなしだったけど。

12. 新潟県立新潟南高等学校……奨励賞

自由曲
「贈り物」
〔高階杞一作詩、横山潤子作曲/無伴奏女声〕
  • 指揮:大関祥子〔教師〕
  • ピアノ:宮澤絵理〔1年〕

女声、課題曲14名。自由曲でピアニストが合唱に加わり15名。

Altoがなかなかの鳴りをしているのに、どうも他パートがAltoを信頼しきれていないような感じ。もったいない。

13. 新潟県立長岡大手高等学校……奨励賞

自由曲
「1. 天使とプレゼント」
〔女声合唱とピアノのための『天使のせいぞろい』より/谷川俊太郎作詩、林光作曲〕
「6. 現世での最後の一歩」
〔女声合唱とピアノのための『天使のせいぞろい』より/谷川俊太郎作詩、林光作曲〕
  • 指揮:星野睦〔教師〕
  • ピアノ:森彩圭〔2年/課題曲〕、宮川佳奈子〔2年/自由曲〕

女声20名。

パートバランスがよい。自由曲の選曲も団の持ち味にマッチしていた。課題曲と自由曲はピアニストの担当が逆のほうがよかったのではなかろうか。

日本人にはありがちだけど、3連符がマルカートになる傾向が最も耳についた。

14. 東京学館新潟高等学校……奨励賞

自由曲
「箱根八里」
〔混声合唱による『「日本抒情歌曲集」1』より/鳥居忱作詩、滝廉太郎作曲、林光編曲/ピアノ付き〕
「いざたて戦人よ」
〔Daniel Webster Whittle作詩、藤井泰一郎訳詞、James McGranahan‏作曲/無伴奏混声〕
  • 指揮:小林岳史〔教師〕
  • ピアノ:藤田琴美〔3年/課題曲〕、清水裕貴〔2年/自由曲〕

課題曲は女声12名+男声13名、「箱根八里」は女声13名+男声13名、「いざたて戦人よ」は女声13名+男声13名。

Altoの音色が硬かった点と、どこのパートが主旋律なのか歌い手が把握し切れてないような点が気になった。

3曲の中では「いざたて戦人よ」がベストだったと思う。走ったりつんのめって転んだりしやすい曲なんだけど、ずっとテンポキープできたのは見事。

15. 新潟県立三条高等学校……奨励賞

自由曲
「こころ」
〔女声合唱のための組曲『愛するもののためにうたう歌』より/工藤直子作詩、松下耕作曲/無伴奏〕
「ばら」
〔女声合唱のための組曲『愛するもののためにうたう歌』より/工藤直子作詩、松下耕作曲/無伴奏〕
  • 指揮:鴨井馨子〔教師〕
  • ピアノ:外山江里〔3年〕

女声13名。

Sopranoが頑張りすぎているようで、p系でピッチがぶら下がり、f系で上ずる傾向がみられた。

「地球の上に」のくだり、Mezzo Sopranoが肝となって、よく流れを作っていた。

16. 新潟市立万代高等学校……奨励賞

自由曲
「サッカーによせて」
〔谷川俊太郎作詩、木下牧子作曲/無伴奏混声〕
  • 指揮:天野咲子〔教師〕
  • ピアノ:斎藤愛子

女声8名+男声4名。

「サッカーによせて」はピアノ付きバージョンがオリジナルなのだが、団の特徴がより生きる無伴奏版を選んだのは正解であろう。

17. 敬和学園高等学校……銀賞

自由曲
ピアノのための無窮連祷による「生きる」
〔谷川俊太郎作詩、三善晃作曲/ピアノ付き混声〕
  • 指揮:荒木京子〔教師〕
  • ピアノ:冨井愛〔教師〕

女声13名+男声14名。

言葉の活かし方が抜群。ただ惜しむらくは、特にア母音で口の開け方が謡曲的すぎたような。

声を飛ばす向きは長岡高校と新潟中央高校の中間ぐらい。ダイナミックレンジの広さは、新潟中央高校と双璧。

自由曲は昨年11月13日の「新潟ユース合唱団2010演奏会」でも歌った曲。年度を通して一つの曲に向かい合い続けているわけで、当時の記憶と比べると、やはり醗酵熟成した感あり。


えちごコラリアーズ関係者が客席に3名ほどいた。他、新潟ユース合唱団で一緒だったconさんも来ていたことを後日知る。

敬和学園高等学校合唱部とせきは「新潟ユース合唱団2010演奏会」でご一緒し、さらに荒木先生はえちごコラリアーズ2度目の伊東音楽監督レッスンにお越しくださったなどの縁がある。御挨拶申し上げようとしたが、帰りしなに皆さんが集まっているそばを通ったらミーティング中だったので黙って失礼する。


この大会の模様は、8月26日(金)14時半からEテレ、8月29日(月)16時からNHK-FMで、どちらも新潟県ローカルで放送される予定だそうです。

コメントする

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.


    ケータイ利用者さまへ

    当ブログは携帯電話から直接アクセスできます。コメントも可能です。

    なお、アクセントやウムラウトが付いたアルファベットや「髙(ハシゴ高)」などの文字を正しく表示できない携帯電話端末が存在するので、そういう文字は代替表記しています。

One in a Million Theme by WordPress theme