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2011/11/27の日記(その2):早稲田大学グリークラブ第59回定期演奏会 #waseda_glee

立教大学グリークラブOB会総会・懇親会終了後、早稲田大学グリークラブ第59回定期演奏会を聞いてきました。

前置きがわりに記事タイトルについて註釈。末尾の「#waseda_glee」はツイッターのハッシュタグというものです。早稲グリさんはツイッター上で感想を募っておりまして、感想を検索するキーワードとして「#waseda_glee」を使ってほしいとアンケート用紙に印刷されてました。ちょうど、当ブログに新しい記事が載るとせきのツイッターアカウントから更新告知が記事タイトルとともに自動でツイートされるよう設定してあるので、この記事が関係者に拾ってもらえるようハッシュタグを仕込んでみた次第です。


早稲グリ定演に行くことを決めたのが間際で、前売り券発売受付が締め切られた後だったため、当日券を買うつもりでいた。大急ぎで山手線に乗り上野へ。

16時10分頃、会場の東京文化会館に到着、当日券売場の窓口を見たら「当日券完売」の張り紙! あきらめて引き返すことも考えたが、追加が出る可能性に賭けて待つことにした。当日券完売だとツイッターに書いたら反応があったため、この模様をツイートで実況中継することに。

様子をうかがっていたら、キャンセル待ちを受け付けるというアナウンス。せきの受け取った引換券には6番とナンバリングされていた。キャンセル待ち引換券は40番ぐらいまで発行された模様。16時45分時点で引換券4番まで呼ばれたが、そのあとがなかなか呼ばれない。ダメかとあきらめかけた開演時間数分前、ようやく十何番だかまで声がかかる。慌てて受け取りを済ませ、客席についたのが17時ぎりぎり。

演奏会は数分押しで始まった。5階席まで大入り満員、主催者発表によれば来場者数1,945人とのこと。


エール

早稲田大学校歌と、クラブソング「輝く太陽」を、学生指揮者さんの指揮で。パンフレットによると、出演メンバーは129名! ステージ本編に期待が持てる端正な演奏。

1st Stage

男声合唱組曲『木が風に』
作詩:吉野弘/作曲:大久保正義
指揮:東松寛之(学生)

作曲者は國學院久我山高等学校の教諭にして、同校合唱部をはじめとして東京都杉並区久我山や埼玉県所沢市周辺で合唱界を拠点に指揮や作編曲の活動をしている人。パンフレットには「多田武彦・高田三郎などの作品に触発されて」と記されていたが、確かに両氏の影響を受けた部分もちらちら垣間見えるタッチの楽曲だった。ただ、掛け合いの処理法やテンションコードの使い方は独自っぽさが濃い。個々の楽章のタイトルは、拙サイト内「日本の絶版・未出版男声合唱曲」をご覧ください。ちなみに國學院久我山高等学校OBでもある指揮者が生まれて初めて歌った男声合唱曲だそうで。

演奏はエールに引き続き、破綻なく整い、楽曲の内面にきちんと向かい合っていると感じさせるもの。惜しむらくは、促音だったかを含む単語のメロディー付けが不自然で何も考えずに歌うと言葉が聞き取りにくく作曲されている箇所があって、にもかかわらずそのへんの工夫が手薄だったこと。

作曲者がおみえになっていて演奏後に紹介されたが、ステージには登壇なさらず1階席中央シモ手寄りに立っての挨拶。せきは4階ウイング席シモ手側に座っており、お姿が見えず。なお第4ステージの上田真樹氏も同様、残念。

2nd Stage

声で遊ぶオーケストラの名曲たち
監修:前田憲男
指揮:東松寛之(学生)
演奏:前田憲男とワセグリオーケストラ
  1. バッハ「G線上のアリア」
  2. シューベルト「未完成」
  3. ベートーベン「運命」
  4. バッハ「主よ 人の望みの喜びよ」
  5. モーツァルト「交響曲第40番」
  6. ロッシーニ「ウィリアム・テル序曲」より「静寂」「スイス軍の行進」

前田憲男氏はたびたび早稲田大学グリークラブと共演しているが、全編いわゆるクラシックを題材にしたステージはたぶん今回が初めて。

とにかく合唱で器楽曲を再現することが至上目的のステージだったようだ。歌い手はオーケストラを模したフォーメーションで並ぶ。ピッチパイプでA音が鳴らされ、オーケストラのチューニングもどき。そこに前田氏と学指揮さんが登場し、本編スタート。

前田氏による編曲は、この種の編曲にしては合唱の比重が大きく、フレーズが長いわ、音域が広いわ、歌詞が膨大(パンフレットに収まりきらぬ詩句もあったようだ)だわ、安田姉妹の「トルコ行進曲」を3倍くらい複雑にしたような感じで、とにかく声楽的ハードルが無茶苦茶に高い。歌いとおしただけで敬服ものだと思う。

今回、前田氏は選曲・編曲に加え、はめ込み歌詞も書き下ろした。「G線上のアリア」「運命」が嘉門達夫やブリーフ&トランクスっぽい感じのもの、残り4曲はDrayton作曲「Masterpiece」みたいなタッチで原曲の作曲者を描いたもの。「主よ 人の望みの喜びよ」は原曲の3連符パートが主旋律、コラールとして有名なパートがバックコーラスみたいな扱いで処理されていた。

プログラムに前田氏が寄せた解説コメントの末尾に『全体に「早口言葉」風に発音されるので全部の言葉を把握できない事は百も承知で、オーケストラ・サウンドを気軽に楽しんでいただければ所期の目的は達成されたものと解釈する』とある。まったくもってそのとおりの演奏。言葉が把握しづらかったのは否めないが、その原因は「早口言葉」風はめ込み歌詞ではなく、別個の歌詞がつけられた異種のフレーズが同時進行したところにあると思う。音色のパレットが豊富な混声合唱ならともかく、モノトーンの男声合唱で、しかも大人数だと、ポリフォニックな歌で言葉をきかせるのは至難の業。

ステージアンコールに「スイス軍の行進」後半。前田氏のステージでのアンコールは、本編終曲に早稲田大学校歌の校名を連呼する有名なくだりを取り込んだバリエーションが演奏されるのが恒例だが、今回はそういう趣向抜きでシンプルに再演。

3rd Stage

男声合唱とピアノのための「ゆうやけの歌」
作詩:川崎洋/作曲:湯山昭
指揮:相澤直人/ピアノ:福崎由香

この曲、録音ではいろいろ聞いたことがあるが、実演に接するのは生まれて初めて。合唱のフォーメーションは、中央に置かれたピアノにあたる部分を長方形から削ったような並び。第2ステージまではTop Tenorの高音域で喉声が耳についたが、このステージから目立たなくなったような気がする。

4ステージの中では最も丁寧な演奏。曲そのものは終始ハイテンションに作曲されているものの、その中でエネルギーが蓄積されつつ徐々に高揚し、最後のFis-dur「Ah」で解き放たれた。途中「ほら(中略)見える」で景色の変化が見えた。いろいろいじりどころがある曲だけど(たとえば、年寄りのセリフで声を潰したり、休符で息を吸うブレスノイズを立てさせたり)、今回その手の小細工はゼロ。

余談。指揮者の相澤氏とは昨年ツイッターで接点ができたが、前世紀からお名前だけ存じ上げていた。一時期、せきはタダタケがらみで中央大学グリークラブに当時在籍していた島田龍之氏とメールで交流を持っていた時期がある。島田氏は都立八王子東高等学校OBの多い「男声合唱団“漢(仮称)”」という団体の代表で、そこの専属作曲家が相澤氏であった。今世紀に入り、全日本合唱連盟の季刊誌『Harmony』広告に某ジョイントコンサートの指揮者および作曲家として相澤氏のお名前を見つけたときは出世ぶりに驚いたものだ。近年は立教女声も加盟している四大学女声合唱連盟ジョイントコンサート(昨年度は合同ステージ指揮者、今年度から共立女子大学合唱団の常任指揮者)に出演しておられるが、三女連あらため四女連には何年も足を運んでいないということもあり、氏のステージを見聞きするのは今回がお初。

4th Stage

男声合唱組曲『終わりのない歌』(委嘱初演)
作詩:銀色夏生/作曲:上田真樹
指揮:高谷光信/ピアノ:塩見亮

上田氏の合唱作品は男声合唱曲に最適化されているのだなと改めて感じた。この作品を一言で紹介するなら、女性の銀色氏がつづった男言葉の恋愛詩を忠実に音像化した、若人の多い団体が喜んで取り上げること確実な曲。『今でも…ローセキは魔法の杖』『ゆうべ、海を見た』みたいな系統、ということはそれらを委嘱初演していた頃の明治大学グリークラブと相性がよさそうな曲。今年度Nコン高校の部課題曲「僕が守る」に通じる空気を持つけれど、あれに比べれば音取りはしやすかろう。

プログラムに載っているのは作者紹介と歌詞だけで解説が一切ないため、ここで記しておこう。詩は書き下ろしではなく、複数の既刊詩集から作曲者が選んだもの。第1曲と第5曲は1988年刊「君のそばで会おう」、第2曲は1992年刊「春の野原 満天の星の下」、第3曲は2006年刊「やがて今も忘れ去られる」、第4曲は2000年刊「そしてまた波音」を出典とする。第4曲前半のくだりが第5曲の終盤で再登場し、組曲全体を最高潮に導く。なお、楽章のタイトルは(後略)。

ひとつひとつのフレーズを大事につむぐ演奏。風の噂では譜面が揃ったのがギリギリだったらしいけれど、そんな気配は見えなかった。せきの趣味嗜好に比べるとだいぶ淡白に聞こえたが、アンコールを聴いてそれが指揮者の持ち味ということが分かった。もしも高谷塩見コンビで「ゆうやけの歌」、相澤福崎コンビで「終わりのない歌」というプログラムだったら、どんな演奏になったろうか?

アンコール

「僕が守る」
作詩:銀色夏生/作曲:上田真樹
指揮:高谷光信/ピアノ:塩見亮
「天使」(川崎洋の詩による五つの男声合唱曲『やさしい魚』より)
作曲:新実徳英
指揮:相澤直人/ピアノ:福崎由香
「くちびるに歌を」(男声合唱とピアノのための『くちびるに歌を』より)
作詩:Caesar Flaischlen/訳詞・作曲:信長貴富
指揮:東松寛之(学生)/ピアノ:若尾史人(学生)
「遥かな友に」
作詩・作曲:磯部俶
指揮:久島知希(学生)

印象は概ね本編に同じ。今年度は「学生伴奏者」って役職もあるんですねえ。

準学指揮アンコールの前に部長らしき現役部員が登場、早稲グリの合宿で生まれた「遥かな友に」誕生60周年についての紹介。早稲グリ定演のアンコールでこうしたスピーチが入るのは異例である。

そして恒例のステージストーム。日頃から歌いこんでいるだけあり、これが最もイキイキした演奏。早稲田ソングは磯部俶氏の手によるものが多いことを思い出し、先程のアンコールと併せて妙な感慨にとらわれた。


10年ぶりに定期演奏会を拝聴し、早稲グリの特性が脈々と受け継がれていることに感じ入る。

出演者、スタッフ、来場者の皆様、お疲れ様でした。


終演後は上野駅で晩飯をと思ったが魅かれる店が見当たらず東京駅で食す。そのまま上越新幹線最終便に乗り、無事に帰宅。

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