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2014/7/13の日記:第8回東京六大学OB合唱連盟定期演奏会

「OB六連」こと東京六大学OB合唱連盟の演奏会を聴いてきた。

上京したのは2012/1/15の「北村協一メモリアルコンサート MISSION」以来、1年半ぶり。

OB六連を聴くのは2006年の第4回以来。ちなみに出演は10年前の第3回が今のところ最後。会場の東京芸術劇場はリニューアル以後はじめて。


ホールに入ったのは開演10分ほど前の13時20分ぐらい。ツイッターに「前売券を入手し損ねた。当日券の列に並ばねば」と書いたところ、それを読んだ出演者のお一人から連絡をいただき、2階最後列(S席)のチケットを当日預かりとして手配してくださった。素晴らしい席を有難うございました。

第1ステージ:早稲田大学グリークラブOB会・稲門グリークラブ
『合唱のためのコンポジション III』
作曲:間宮芳生
指揮:佐藤拓

指揮者は平成15年卒のOB。卒団後はWorld Youth Choirに参加したのち、現在は少人数アンサンブルを中心に活動中とのこと。

『合唱のためのコンポジション III』は民謡や囃子言葉の断片を再構成したものだが、今回の演奏ではコンポジションに使われた原型に立ち返ったうえで様々な創意工夫が施されていた。第1楽章からその雰囲気はあったものの、それをはっきり感じ取ったのは第2楽章、最初のテーマの主旋律が平たく潰した発声で歌われたとき。第3楽章の前にも、譜面にない民謡を指揮者が歌い、合唱団は合いの手をはさみながらステージいっぱいに広がるよう並び変わっていた。創意の強さは賛否両論かもしれないなと考えつつ、面白く拝見拝聴した。

第2ステージ:明治大学グリークラブOB会合唱団 駿河台倶楽部
男声合唱組曲『終わりのない歌』
作詩:銀色夏生 作曲:上田真樹
指揮:渡辺利雅
ピアノ:村田智佳子

指揮者は平成2年卒のOB。現在は駿河台倶楽部の指揮者だけでなく、明治大学グリークラブOB会会長として、技術面・マネージメント面双方で腕を振るっておられる由。

『終わりのない歌』の初演をせきは客席で聴いている。その模様を綴った「2011/11/27の日記(その2):早稲田大学グリークラブ第59回定期演奏会 #waseda_glee」で次のように書いた。

この作品を一言で紹介するなら、女性の銀色氏がつづった男言葉の恋愛詩を忠実に音像化した、若人の多い団体が喜んで取り上げること確実な曲。『今でも…ローセキは魔法の杖』『ゆうべ、海を見た』みたいな系統、ということはそれらを委嘱初演していた頃の明治大学グリークラブと相性がよさそうな曲。

その明治大学グリークラブOB諸氏がこの組曲を取り上げた。甚だ僭越ながら、選曲の時点で成功は約束されていたように思う。いやむしろ期待を上回るパフォーマンス。

指揮者はパンフレットで《単純な恋愛詩をはるかに超越する哲学的な(これをあえてスピリチュアルな、と言ってしまいたいのだが)歌に昇華している》と記したうえで、青春まっただ中の熱情をストレートに歌い上げるのでなく、かつて自分たちがそういう体験をした日々をいとおしむかのごとき成熟した演奏をした。

ステージの最後、客席にいらしていた作詩者の銀色氏が紹介された。

第3ステージ:立教大学グリークラブOB男声合唱団
リヒャルト・シュトラウス生誕150周年記念『四つの最後の歌』男声合唱版初演
作曲:Richard Georg Strauss
編曲:Krystian Matthias Meyer
指揮:前川和之
ピアノ:内木優子

指揮者は昭和63年卒のOB。かつて自分がこの団で歌っていた当時、住まいが前川先輩と同じ沿線で、しばしば帰りの電車をご一緒させていただいたっけ。

初演と謳われているものの、第3曲「Beim Schlafengehen(眠りにつくとき)」は昨年6月の立教大学グリーフェスティバルで先行して初演されたので、厳密には曲集全曲の初演。なお、来年2月7日に行われる団の単独リサイタルで黒岩英臣先生指揮・久邇之宜先生ピアノにより再演予定とのこと。

パンフレットに載っていたのは、作曲者紹介と、吉田秀和氏による鑑賞文を交えた歌曲集解題。指揮者の筆によるこれらの解説文は充実している。一方で、編曲者紹介や編曲成立の経緯について全く触れられていないのは、紙幅の都合なのかもしれないが、個人的に残念。

ステージを見て、人数が減ったことに驚いた。パンフレットでは29名のお名前が並んでいるが(この時点で10人前後の減)さらに少なかったと思う。

一昨年1月の「北村協一メモリアルコンサート MISSION」で演奏した『Naenie』同様にTop Tenor・Bass・Second Tenor・Baritoneという並びで、サロンで室内楽を楽しむという趣の演奏スタイル。東京芸術劇場だと1階席なら音楽をいかんなく堪能できたのだろうけど、2階以上の席では舞台上で行われていることに入り込む段階で既に難しかった。

第4ステージ:法政大学アリオンコールOB会・オールアリオン
男声合唱とピアノの為の組曲『落日』
作詩:多田智満子
作曲・指揮:酒井惟敬
ピアノ:塚田有香

指揮者は2005年前から法政大学アリオンコールのトレーナーを務め、2008年からはオールアリオンでも指導をしている音楽家。今回は、その指揮者に委嘱した新作の初演である。

全曲の楽譜が揃ったのは5月半ばとのこと。ずいぶんゴツい作品である。2曲目は三善晃作曲『縄文土偶』楽章の変わり目付近、3曲目は三善晃作曲『王孫不帰』第2楽章終盤みたいな雰囲気。欲を言えば、2曲目と3曲目の間に緩徐楽章があったほうが(演奏時間の制約で厳しいだろうけど)組曲の構築性が増しそうな気がした。

第5ステージ:慶應義塾ワグネル・ソサィエティーOB合唱団
〜生誕150年を記念して〜『リヒャルト・シュトラウス歌曲集』
編曲:福永洋一郎
指揮:須田和宏
ピアノ:永澤友衣

指揮者はOBだが、編曲者として広く活動している。第7ステージでもタクトを振った今回ただ一人の指揮者。

故・畑中良輔先生の指揮でたびたび取り上げられた編曲もので、歌ったのは「Heimliche Aufforderung(ひそやかな誘い)」「Allerseelen(万霊節)」「Wiegenlied(子守歌)」「Morgen!(あした)」「ツェツィーリエ(Caecilie)」の5曲。

オンステメンバー数は唯一の3桁で、畑中先生の薫陶を受けた方々が総力を挙げてという演奏だった。

どうしても同じ作曲者の歌曲編曲ものということで立教のステージと比べたくなってしまうところ。編曲は、福永氏にしてはデコレーションが控えめゆえ、結果として意外に近い形となっている。そこで演奏スタイルの比較となるわけだが、2階席で聴いた立場としては慶應へ一票を投じたい。

第6ステージ:東京大学音楽部OB合唱団アカデミカコール
『Le Preghiere Semplici 〜三つのイタリア語の祈り』
作曲・指揮:三澤洋史
第一バイオリン:藤田めぐみ(コンサートミストレス) 第二バイオリン:福田貴子 ビオラ:大澤美佳 チェロ:葛西英一 コントラバス:徳高宏行
アコーディオン:津花幸嗣
ピアノ:水野彰子

指揮者および作曲者は、故・福永陽一郎氏あたりに近い形態で活動をしている人というか、現在では本山秀毅氏と双璧をなす人というか。詳しくは三澤氏ご本人のウェブサイトをご覧いただくほうがいいと思います。

第1・2曲は、ソプラノ独唱と混声合唱のための組曲『アッシジの風』収録曲からのトランスクリプションというか改作というか。終曲は書き下ろし。いずれも、弦楽五重奏やアコーディオンが大活躍し、「宗教曲」のステレオタイプとは一線を画した軽快な(でも軽薄ではない)ナンバー。歌い手は楽曲や共演楽器の力を得ての演奏をしていたように思う。

本記事を書き始めてから、1999年に行われた第1回OB六連のプログラムパンフレットで、東京大学音楽部OB合唱団アカデミカコール単独ステージで演奏されたLuigi Chrubini作曲『レクイエム』について、そのときも指揮者だった三澤氏による寄稿を思い出した。三澤氏はレクイエムを重たく陰鬱・ウェットに演奏することを否定し「神に向かう人の心は明るく軽い」という趣旨で記している。そんなスタンスを踏まえると、三澤氏ご自身が一から書き下ろしたオリジナル曲の軽快さは当然至極といえよう。

第7ステージ:東京六大学OB合唱連盟によるエール交換
  • 早稲田大学校歌(指揮:平成18年卒・大和田佳法)
  • 明治大学校歌(指揮:平成8年卒・村中和之)
  • 立教大学カレッジソング“St. Paul’s will shine tonight”(指揮:平成7年卒・渡辺亨)
  • 法政大学校歌(指揮:昭和48年卒・茂手木裕二)
  • 慶應義塾塾歌(指揮:昭和58年卒・須田和宏)
  • 東京大学の歌「大空と」(指揮:昭和53年卒・酒井雅弘)

OB六連の合同演奏は、各大学のエールを六大学のメンバー全員で歌うのが恒例。初回は多田武彦氏が自作を、第2回は三澤洋史氏がワーグナーのオペラナンバーを指揮するという本編もあったし、全体のアンコールが別に演奏されたこともあったが、今回はエールだけ。

慶應義塾塾歌は半音高く移調して歌うこともあるのだが、今回は原調のハ長調で演奏。

東京大学の歌について、主旋律の歌詞の入れ方で自分の記憶と異なっている箇所がいくつかあった。「編曲補 大橋正教」は第3回OB六連で付け加えられたエンディングに対するクレジットのはず。長らくご無沙汰しているといろいろ変わるものである。そういえば呼び名も「東京大学運動会歌」ではなくなっている。

現役時代つながりのあった人や、自分よりはるかに若い代の人が指揮者として登場したのを見るのは感慨深い。


ロビーでご挨拶申し上げたのは立教の先輩のみ。今回は出演しておられなかった高坂徹氏と、OB会事務局の中枢スタッフ数名と、出演者2〜3名。

合同演奏で明治大学校歌を指揮した村中氏(せきとは同期)の姿を終演後に見かけて声を掛けようとしたものの、気づいてもらえず。


末筆ながら、出演者・スタッフ・来場者の皆様、長丁場の演奏会お疲れ様でした。

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