四大学女声合唱連盟のジョイントコンサートを聴きに、日帰りで上京してきた。
四大学女声合唱連盟(略して四女連)は、共立女子大学合唱団、日本女子大学合唱団、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー女声合唱団、立教大学グリークラブ女声合唱団から構成される。せきが大学生だったときは三大学女声合唱連盟だったが、何年か前に慶應義塾ワグネル・ソサィエティー女声合唱団が加わって現在の形になった。
30回記念企画としてロビーに全30回の演奏会パンフレットが展示されていた。それで確認したところ、前回せきが聴いたのはまだ三女連だった第15回。
演奏会場は江戸川区総合文化センターの大ホール。初めて足を運ぶ場所。新小岩駅から歩いて十数分。
東京入りしたのは11時過ぎ。会場の15時半まではだいぶ間があったので、新小岩に行く前に、ヤマハ銀座店やカワイ表参道店を覗いてきた。
エール交換
慶應→日本女子→共立→立教の順番で各校の校歌を演奏。ふつう大学合唱団のジョイントコンサートではステージ順と合わせるのだが、あえて演奏順序を変えたのはどういう意図があったのかしらん。
エールは慶應だけ無伴奏。塾歌の編曲は男声合唱版と共通するところが多いが、女声合唱版では1番でユニゾンが多用されているのが特徴的。やたら咳き込む団員(単独ステージや合同ステージでも)がソプラノに約1名いて、心配になった。
日本女子は全体にナマ声で音程が雑だったうえソプラノから喉をしめて高音を絞り出す(ように聞こえる)発声が聞こえ、耳を疑った。記憶に残っていた同団の声から激しく様変わりしていたことに驚愕。
共立はかつてと変わらぬ清澄なトーン。ただ、いまひとつピアノと合唱が咬み合ってなかったような気もした。
立教、ふだんは1番と3番を歌うのだが、今回は2番も含めたフルコーラスを演奏。かつてはソプラノ最高音のG(1番だと「におえる」の「おえ」)で余裕のなさそうな声を出していたのだが、今やすっかり安心して聴ける。
第1ステージ:共立女子大学合唱団
- 工藤直子の詩を集めて
- 指揮:相澤直人/ピアノ:福崎由香
- 女声合唱アルバム『みえない手紙』より みえない手紙
(作曲:相澤直人) - ほほう!
(作曲:横山潤子) - やさしい二部合唱曲集『ぎんいろ じかん』より いっしょに
(作曲:瑞慶覧尚子) - やさしい二部合唱曲集『ぎんいろ じかん』より さよならのテープ
(作曲:瑞慶覧尚子) - 女声合唱アルバム『みえない手紙』より あいたくて
(作曲:相澤直人)
工藤直子をテキストとする女声合唱曲を集めたオムニバスステージ。「ほほう!」はNコン小学校の部の課題曲として発表された同声2部合唱曲。指揮者の書いた曲だけ3部。
選曲・演奏ともカジュアルで、ほどほどに自然体なたたずまいが工藤直子の世界を体現しているかの如し。ピアノと歌の絡み合いもばっちり。
なお、ピアニストの苗字2文字目は正しくは「崎」の異体字(つくりの部分が「立」+「可」)ですが、文字化けを起こす可能性がある文字なので当ブログでは代替表記してます。
第2ステージ:日本女子大学合唱団
- 女声合唱とピアノのための『花のかず』より
- 作詩:岸田衿子/作曲:木下牧子
指揮:榊原哲
- 花のかず
- クルミ
- 曇り日なら
- カゼクサ
- 竹とんぼに
- ある日のたび
全9曲のうち、第2曲「夢のなかの空」、第4曲「足おと」、第8曲「あさっておいで」をカットした6曲を演奏。細かなところまで目配りが行き届いているように見受けられ、なかなかキュートだったと思う。
エールの項で記した発声の問題は、このステージでは感じられなかった。人数をチェックしていなかったけどエールは新入生を加えての演奏だったのであろうか?
第3ステージ:慶應義塾ワグネル・ソサィエティー女声合唱団
- Jazz Classics
- 編曲:Berty Rice
指揮:樋本英一/ピアノ:小林功
- When Sunny Gets Blue
(作詞:Marvin Fisher/作曲:Jack Segal) - Fever
(作詞・作曲:John Davernport & Eddie Cooley) - Lullaby of Birdland
(作詞:George Shearing/作曲:George David Weiss) - Fly Me To The Moon
(作詞・作曲:Bart Howard) - Misty
(作詞:Erroll Garner/作曲:Johnny Burke)
ジャズのスタンダードナンバーを女声合唱とピアノのためにアレンジした曲集。パナムジカの商品ページを見ると、抜粋はせず、曲順を入れ替えただけみたいですね。編曲は凝りすぎてなく、ジャズ入門編みたいな趣で、歌い手にも聴き手にもとっつきやすそうな雰囲気。
「Fever」は歌い手がフィンガースナップするにとどまらず、途中で指揮者が客席を向いて拍手を求めた。
演奏はやや慎ましやかだったような気もしないではないけど、パンフレットに「気だるく憂鬱でJazzyな世界に挑戦」と記されたとおりの空気が漂うステージであったと思う。
第4ステージ:立教大学グリークラブ女声合唱団
- 女声合唱とピアノのための『ファンタジア』
- 訳詩:木島始/作曲:木下牧子
指揮:湊晋吾/ピアノ:田村祥子
- 雪ひらひら
(作詩:ウォルター・デ・ラ・メア) - 窓
(作詩:カール・サンドバーグ) - 風をみたひと
(作詩:クリスティナ・ロセッティ) - ジプシー
(作詩者不詳) - 重いのはなあに?
(作詩:クリスティナ・ロセッティ) - 夜は決してじっとは
(作詩:エリーナー・ファージョン)
せきが現役1年のとき立教大学グリークラブ女声定期演奏会の最終ステージで演奏された組曲。ゆえに個人的に懐かしい。一方で、そのとき現役生だったメンバーのお姿を今回の客席で見かけなかったのが残念である。
演奏は破綻なく安定感たっぷりの一言。
今回、この曲集におけるピアノが、木下作品にしては具象的・描写的な音をたくさん弾いているということに気づいた。「窓」では左手が汽車のガタゴト揺れるリズムを奏で、「風をみたひと」ではアルペジオが風の吹き去るさまを描き(この手法は『真夜中』とかでも出てくるけど)、「ジプシー」ではロマ音楽っぽいスタイル(たとえば、ドヴォルジャーク作曲の歌曲集『Zigeunermelodien』などを参照)といった具合。
ところで、パンフレットのピアニスト紹介に誤りがあったようで、該当箇所には正しいプロフィールを上から重ね張りされていたり、さらに別紙で正しいプロフィールも挟み込まれていたり。
第5ステージ:合同演奏
- 女声合唱とピアノのための『この星の上で』
- 作詩:谷川俊太郎/作曲:松下耕
指揮:森田悠介/ピアノ:松元博志
- はる
- 地球の客
- おべんとうの歌
- ほほえみ
- 今年
大人数の長所を生かした息の長い音楽づくりと、大人数らしからぬ丁寧な発語。楽曲の奥に潜むエネルギーと相まって、音楽に終始ひき込まれ続けた。
「ほほえみ」冒頭のソロ、前半4小節は立教の団員さんがしっかりと歌い上げた。慶應の団員さんが歌った後半4小節は言葉のさばき方が見事。
アンコールは、同じ作詩作曲者コンビによる「私たちの星」。
客席で、立教大学グリークラブOB会砂田会長と立教大学グリークラブOB男声合唱団幹部メンバー何人かのお姿を見かけたが、ご挨拶しそびれた。
末筆ながら、出演者・スタッフ・来場者の皆様、お疲れ様でした。ひさびさに堪能させていただきました。
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