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2015/11/08の日記:第15回東京男声合唱フェスティバル

毎年11月に行われている男フェスこと「東京男声合唱フェスティバル」にはかねてより興味があったが、今年はじめて足を運んだ。10時半の開演から10時間を超えるフェスティバルにほぼフル参戦。


朝10時近くに前日から泊まっていたホテルをチェックアウトし、清澄白河駅から大江戸線に乗って築地市場駅で下車し、男フェス会場の浜離宮朝日ホールへ。前回このホールで演奏会を聴いたのは大学2年だか3年だかのときで、実に20年超ぶり。雨模様だったけど、このルートだと地下鉄を降りてから全く雨にぬれることなくホールまで行けるのが有難い。

ロビーに出店していたカワイ表参道店のブースをチラ見し、開演数分前に客席へ。


ステージは全62団体プラス招待演奏プラス公募合唱団の計64団体。曲目や団体名は演奏曲目(年度が替わると消えるかもしれないので魚拓を使いました)をご覧ください。プログラムパンフレットで、参加団体が増えたのは喜ばしいけどこれ以上増えると演奏時間の短縮や参加希望の足切りなどに踏み切らざるを得ないので来年は早目に申し込んでほしいという趣旨のことを東京都合唱連盟の金川明裕理事長が書いておられた。

今年7月に参戦した第4回全日本男声合唱フェスティバルin京都は都道府県代表というべき団体が集ったためかオーソドックスな選曲が多かったけど、こちらはとにかくバリエーション豊富。これだけ多様なスタイルの演奏が楽しめる合唱イベントはそうそうないと思う。

個々の団体すべてについては書ききれないので、ここでは賞をとった団体+αのみについて触れる。記載のない団体の感想については当ブログのコメント欄なりツイッターなり私信なりでお尋ねいただきたく。

招待演奏は、前年度の出演者互選人気投票で1位を獲得した首都大学東京グリークラブ。昨年度卒のOBや新入生を加えた計18名での演奏。指揮として金川明裕氏のお名前がクレジットされていたが、氏は「振らない指揮者の金川です」で始まるMCで曲間のみに登場。実際の演奏は指揮者なしで行われた。自己紹介文で《私たちは男声合唱の繊細なハーモニーを基礎とした上で、フレーズや呼吸を統一するよう心がけ練習を重ねております。指揮があっても、なくても、文字通り息を合わせて演奏するのが特徴です》と記された演奏は、抜群のアンサンブル精度で、なんとも生き生きとしていて、とにかく素晴らしい。昨年の全日本合唱コンクールで全国大会に進出して注目を集めたことに、遅ればせながら納得。目くばせを積極的に用いるさまから、先日まで当ブログで連載していた『ドラマ「表参道高校合唱部!」のこと』「(その7)アイコンタクト」に書いたことを思い起こしていた。

今年度の人気投票で1位を獲得したのは、Actiniaという初出場の団体。木下牧子作曲「鴎」「夢みたものは」を、重厚すぎず軽薄すぎず、ほどよい密度で演奏した。実は首都大学東京グリークラブのメンバーを中心に結成された合唱団ということから、まさか1位はなかろうと思っていたが、結果はごらんのとおり。表彰式では、金川氏が賞状を渡す前に代表者を軽く小突いておられた。

人気投票2位は3団体。まず、男声合唱団銀河。第4回全日本男声合唱フェスティバルin京都にも出演した団体である。2曲目のTimothy C. Takach編曲「Keep Your Lamps」は男声3部と打楽器のための曲。打楽器パートは楽譜だとバスドラムとタンバリンだが、今回は和太鼓(バスドラムパートは和太鼓の皮、タンバリンパートは和太鼓の縁を打つ)での演奏。いわゆる黒人霊歌と和太鼓の取り合わせから千原英喜を連想した。

人気投票2位の2団体目は、アンサンブルじい。タダタケもなかなかだったが、「引き念佛」のほうが団との相性がよさそうに聴こえたかな。

人気投票2位の3団体目は、Ensemble Galactic・G。初出演だが、前述の男声合唱団銀河とアンサンブルじいの合同で、結果発表では進行役の三好草平氏から「また喜んでいただきましょう!」といわれていた。早稲田大学グリークラブが六連の単独ステージなどでやることに近いパフォーマンスだったかな。まず、CHAGE & ASKAに扮した2名が登場(飛鳥涼役はもう少し見た目をご本人に寄せてほしかったけど)。続いて他の団員が入場し、客席を手拍子で煽りつつ「YAH YAH YAH」を歌う。原曲のプロモーションビデオで風に吹かれて歌っていた場面を、チャゲアス役の服の裾をほかの団員が掴んで後ろからバタバタさせることで再現した。さらに、飛鳥役がチャゲ役の服を掴んでバタバタに加わるというギャグまでも。せきは「これ反則だよ」とつぶやきつつ、世代的に大笑い。

Ensemble Galactic・Gの演奏で場が温まったと思ったら、次に登場したChor Gnosinaの男声部が更に客席を加熱した。1曲目「ペガサス幻想」はアニメ「聖闘士星矢」オープニング曲。2曲目「ジョジョ〜その血の運命〜」はアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」オープニング曲で、にせあひること田中達也氏による編曲譜の冒頭に書かれた指示がとても話題になった。どちらもアニメおよび原作漫画の世界観を忠実に再現しつつ、演奏もきちんとしていて、長時間のフェスティバルで聴き疲れしていた身にはたいへん刺激的だった。

桐蔭学園中学校・高等学校グリークラブの方からは、男フェス前に私信で「どのことばよりも」男声合唱版初演についてご案内をいただいていた。実際に聴いたところ、とっつきやすそうでいて深みのある曲にきちんと向き合った演奏であった。ただ、若々しい声は「うりぼう」のほうが相性よかったかな。来年3月22日に横浜市青葉区民文化センターフィリアホールで行われる第10回記念定期演奏会で現役OB合同により再演する予定だそうなので、ご都合のつく方はどうぞ。

ほか個別の団体については、お江戸コラリアーずを富山で聴いたときは安全運転をする団体だという印象を「バトンタッチのうた」で持ったけど今回はのびのびホールを鳴らしていたとか、besar dada 95は1990年代初頭の関西学院大学グリークラブの流れをくむサウンドでせきの男声合唱観の源流を確認する思いだったとか(ついでに書くと、なにわコラリアーズは同じ時期の同志社グリーを思いっきり洗練させたサウンドだとか、ドンクサック合唱団は同じ時期の早稲グリのエネルギーを濃縮させたサウンドだとかいう、極私的イメージを持ってます)、7月の風が素肌にジャケットという格好で「2億4千万の瞳」を歌ったけどあれに騒いでたら数年前に早稲グリが六連でやった「YATTA!」はどうなるんだとか(実際、当時もかなりの拒否反応が起きた。笑う犬シリーズの「はっぱ隊」を知らない人が多いんだなあと思ったものだが)、作曲者・松下耕氏が激賞したEmsemble Bel Hommeの「今年」および明治大学グリークラブの「出発」は確かにどちらも曲の物語を丁寧に描いた演奏だったなとかいうあたりが、さしあたって思い浮かぶところ。

公募合唱団は、約60人とは思えない芳醇な響きで、音の海に飲み込まれたかの如し。鈴木成夫氏の振る木下作品は他の指揮者とは違う特別な光彩を放つように思うのだが、その特質がちょっと見えたような気がした。


バーバーショップ系のレパートリーを取り上げた団体がいくつかあって、大半はフォーメーションに動きを取り入れていた。ちょっと前にツイッター上のどこぞで「あれは北村協一先生の演出ステージがルーツでは」みたいなやりとりを目にしたけど、違うと思いますよ。バーバーショップ系のレパートリーについては、本場アメリカで同じことをやっているのに倣っただけかと。日本だと東京バーバーズあたりも同様なパフォーマンスをやってるし。一方、北村先生が『おとこはおとこ』やミュージカルの編曲ものなどで振り付きを取り入れて演奏したのは、北村先生がオペラ指揮者でもあったことに基づく着想とせきは認識している。

今回いちばん多く演奏されたのは、多田武彦作曲「梅雨の晴れ間」と上田真樹作曲「酒頌」。後者は初めて聞いたけど、こりゃ未出版にもかかわらずあちこちで取り上げられるのは必然だと思った。あわせて、上田真樹は男声合唱に適した作曲家であることを再確認。どんな曲かは、YouTubeで公開されている首都大学東京グリークラブによる昨年の演奏動画で(同団がどんな演奏をするのかも)聴けます。


マネージメントで気になったこといくつか。

ピアノを舞台シモ手に移動させた際、ピアノ椅子の置き場所があまりに壁に近すぎて、合唱団が出入りするとき椅子が邪魔で通りづらそうにしていた指揮者が何人もいた。

パンフレットに合唱団の人数を書いてあったが、誤差レベルでない差異があった団体が散見された。コンクールやアンサンブルコンテストは規定にかかわるので人数にも意味があるけど、このフェスティバルにそういう制約はなかったはずで、人数を記すことにどこまで意味があるのか疑問に思う。

プログラム後半になると写真撮影する聴衆が次々現れていた。インターミッション明けなどで撮影禁止のプラカードを持った係員が巡回したり、撮影した団体の演奏が終わるごとに「写真撮影や携帯電話の使用は禁止とさせていただいております」というアナウンスが流れたりしたが、前者は特定の団体めあてで途中入場した人には効果がないし、後者はあとの祭りといった状況。美しくないけど、チケットやパンフレットに注意書きを大きく明記でもしないと対処できないのではと思った。あと、出演者のコネクションによるお客様に対しては、チケットを案内する際に出演者のほうで撮影禁止のむね釘を刺しておくべきであろう。

翌年の招待演奏を決める人気投票について「出演団体の互選による」という部分が、一般聴衆にいまひとつ周知されていない様子。隣に座っていた見ず知らずのお客様から「投票券もらってないですよね?」と尋ねられた。せきは「だって私ら出演者ではないですよね」と返答したのだが、伝わったかどうか。


いろいろ苦言を呈した部分もあったけど、でもとても堪能させていただきました。出演者・スタッフ・聴衆の皆様、お疲れ様でした。


終演後は雨の中を新橋駅まで歩き、JRに乗って新幹線最終便で長岡に帰宅。

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