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2015/12/19の日記:harmonia ensemble 3rd Christmas Concert

上京してharmonia ensemble(ハルモニア・アンサンブル)の「3rd Christmas Concert」を聴いてきた。

実は今日も都内で用事があり1泊した。この記事はホテルで書いている。脱稿したらチェックアウト。


会場は渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール。初めて行くホールだが、要所要所に誘導看板が出ているため予習そこそこでも迷わずたどり着くことができた。

会場到着は18時55分過ぎ。予定では45分に開場していることになっていたがロビーは人でごった返していた。ちょっと経ち、予定より12分ほど押しての開場。

せきは「スマチケ」という、イープラスのスマホアプリで電子チケットを購入していた。紙のチケットよりも紛失の危険性は少ないし、発券手数料もかからないし、開場30分前になると「まもなく演奏会です」というメッセージが出るしで、便利。

開演は予定より5分押しの19時20分。

第1部:クリスマスの教会音楽より
Quaeramus cum pastoribus(羊飼いたちとともに探そう)
作曲:Jean Mouton

舞台上に半円状で並んでの演奏。この曲だけ、シモ手からソプラノ・バス・アルト・テノールというフォーメーションで、指揮者なし。

最初の1音を歌い始めた瞬間から声でホールが満たされ、音楽に引き込まれた。雑味いっさいなし。皆川達夫先生がルネサンスのポリフォニーについて「合唱では楷書体にあたる」とおっしゃっていたが、まさしくそのお手本を見る思いだった。ところどころ挿入される「ノエ」の連呼が印象的。

Quatre motets pour le temps De Noel FP 152(クリスマスのための4つのモテット FP 152)
作曲:Francis Poulenc

この曲以降はシモ手からソプラノ・アルト・テノール・バスというフォーメーションに並び変わり、代表の福永一博氏が前に出て指揮者を務めた。福永氏は曲間のMCもおこなう。

プーランク作品はこの団が積極的に取り組んでいるレパートリーの一つ。結構ややこしい和音が随所に使われていて、音符を追いかけるだけで精一杯という演奏がしばしば見られるが、このたびの演奏は自然そのもの。過度な装飾はなく、音楽がすべてを語るといった趣。

1音符ずつとか1フレーズずつとかのまとまりでなく、単語単位で言葉をまとめているのが興味深い。福永氏が合唱指導を務めたTVドラマ『表参道高校合唱部!』の部員による演奏でも、普通なら切りそうな箇所について、おそらくは何らかの意図をこめてノンブレスでフレーズをつなぐ箇所が散見されたことを思い出した。

第2部:harmonia ensemble a capella collection クリスマス・ソングス vol.1

日本発のオシャレでカッコいい無伴奏のクリスマスソングを作ろうという趣向。全曲書き下ろしアレンジでこのたびが初演。演奏会にあわせて、全音から全10曲をまとめた「harmonia ensemble a capella collection クリスマス・ソングス vol.1」という楽譜が出版された。腕に覚えのある合唱団が取り上げるには好適な曲集という印象。

演奏会プログラムパンフレットには編曲者の解説が記されているが、出版譜にはない。その代わりパンフレットには歌詞が載っておらず、出版譜には載っている。すべて英語詞で演奏され、楽譜にあるのも英語詞(和訳は巻末のみ)。

5人の編曲者が2曲ずつアレンジし、編曲者ごとの個性は確かに多種多様なのだが、人選が若干ジャズ系に偏ったような気がしなくもない。

Santa Claus is Comin’ to Town(サンタが町にやってくる)
編曲:松永ちづる(トライトーン)
Sleigh Ride(そりすべり)
編曲:松永ちづる(トライトーン)

松永氏の編曲は、おなじみアカペラヴォイスアンサンブルのスタイル。遊びがたくさん盛り込まれている。この団体に合わせて書き下ろされたということもあり、聴いている分には楽しいけど歌うのはチャレンジングな編曲。

Silent Night(きよしこの夜)
編曲:上田真樹
The First Nowell(まきびと羊を)
編曲:上田真樹

演奏前、編曲者が壇上に呼ばれてインタビューを受ける。それによると、扉を開けたら一面の銀世界というイメージで編曲を書いたとのこと。

実際のサウンドを聞くと、1曲目は銀世界ばかりでなく、雪の結晶が目に浮かぶような透明な演奏。2曲目は転調していくのが面白い。そして相変わらず上田氏はソプラノに容赦のないハイトーンを書く。

Winter Wonderland(ウィンター・ワンダーランド)
編曲:森田花央里
Angels We Have Heard on High(あら野のはてに)
編曲:森田花央里

演奏前、編曲者が壇上に呼ばれてインタビューを受ける。森田氏はこれまでの演奏を絶賛した後「歌詞に立ち返り、英語についてアドバイスを受けながら編曲した。いろんな団が取り上げられるよう、シンプルなフォームの中にも会場を巻き込んだ演奏ができるよう心がけた」などとコメント。

編曲はジャズヴォーカルとして演奏するのもありだろうが、今回はBS-TBS「日本合唱アルバム」で同団がみせるポップスとクラシックの中間みたいな演奏。この団体がああいうスタイルで演奏すると、時々混声カルテット「サーカス」っぽい音が鳴るように聞こえる。

The Christmas Song(ザ・クリスマス・ソング)
編曲:狭間美帆
Jingle Bells(ジングル・ベル)
編曲:狭間美帆

狭間氏は米国在住とのことで会場にはいらっしゃらず。

編曲者はジャズ畑の人だが、ジャズのスタイルというよりも、現代アメリカ合唱曲とかにみられがちなジャズテイストを盛り込んだ合唱曲とでもいうべきアレンジ。

O Holy Night(オー・ホーリー・ナイト)
編曲:加藤昌則
We Wish You a Merry Christmas(おめでとうクリスマス)
編曲:加藤昌則

加藤氏は、第2部で上田氏がインタビューを受ける直前にご子息と一緒に会場入りし、わたくしの斜め前に座った。帰り際、近くに座っていた上田氏と少しおしゃべりをしておられたような。

加藤氏のインタビューでは「新進気鋭の作曲家に依頼というお話でしたが、私は新進気鋭とはいえないおっさんでして」みたいな自虐コメントに始まり、ワルシャワの教会で体験したクリスマスの思い出話などを語る。

今回の中では加藤氏による2曲が最も合唱人にとって取り組みやすそうな編曲。男声合唱や女声合唱の醍醐味を生かした部分があるので、ある程度人数がいたほうが演奏効果はあがりやすいだろう。


アンコールに、第1部で演奏した『Quatre motets pour le temps De Noel FP 152』終曲「Hodie Christus natus est」を再演し、21時10分終演。

実は目黒で行われた岡村孝子のコンサートと迷ったけれど、こちらを選んでよかった。合唱の演奏会の年内聞き納めとして最高の贅沢であった。

出演者・スタッフ・来場者の皆様、お疲れ様でした。



蛇足。渋谷区文化総合センター大和田「さくらホール」は天井が高く音響効果がすばらしい。けれど重大な問題点がある。演奏者には責任のない話だが、あえて記す。

ステージが始まると、時折壁際のほうからバチバチと何かがはじけるような音が鳴り、第1部の静かな音楽で特に耳についた。そのノイズについてはちょっと前にツイッターで話題になっていたので、せきは「ああこれか」と思ったのだが、ほとんどのお客様が不審に思ったはず。実際、隣のお客様が「この音があるとレコーディングには使えない。ホールの責任だよね」とこぼしておられた。

音の正体は次のとおり。渋谷区文化総合センター大和田の皆様におかれましては一日も早く対処いただきたいところ。

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