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2016/10/15の日記:タダタケを歌う会“コンサート第伍”

上京し、上野学園 石橋メモリアルホールで催された「タダタケを歌う会“コンサート第伍”」を聴いてきた。

コンサートを聴くのは“コンサート第壹”および“コンサート第肆”以来。

演目を知った時点で足を運ぶことは決めていた。この団による委嘱初演を聞きのがした『鳥の歌』が再演されるし、個人的にとても思い入れの深い『ソネット集』が取り上げられるし。


上野駅から演奏会場へは、台東区内の循環バス「めぐりん」で移動。ずいぶんな混雑で、満員で「次のバスに乗ってください」という区間もあった。


プログラムのパンフレットには多田武彦氏が1ページ寄稿しておられた。氏が長年探求してきた合唱練習メソッドの骨子が大半。ところどころ直球な記述が混ざる。「お追従だらけの客席アンケートは読む必要なし。音楽マニアのアンケートも不要」とは前回のコンサートで「厳しいご意見も遠慮なくどうぞ」とアナウンスしていたことをふまえてかな。気に入った交響曲をスコアを見ながら百度繰り返して聴いて構築性を学べと記したくだりに「カール・ベーム指揮のウィーンフィルによる演奏をすすめる。カラヤンみたいに表情で指揮する演奏は聴く必要なし」とも書いてあった。

と作曲者はのたまっているが構わず当ブログは記録として感じたことをしたためる。


第一ステージ

男声合唱組曲『鳥の歌』
作詩:三好達治 作曲:多田武彦
指揮:高坂徹

おととし初演。その名の通り、鳥を題材にした達治の詩を集めて構成された組曲。渋いが、めりはりが効いていて飽きさせない。近年の多田作品同様ソロが多用されており、この組曲では7曲中3曲にソロがある。

多田武彦メソッドではアンサンブルにおいて「聞き耳を立てる」ことを歌い手各人に求めている。ピッチやトーンの統一という観点では概ね徹底されていたように思うが、ところどころ子音のタイミングが揃わず飛び出す人がいたのは聞き耳の不足という点で気になった。この傾向は他のステージにも見られた。

第二ステージ

タダタケ ア・ラ・カルト
作曲:多田武彦
  • 黎明
    (『白き花鳥図』第1曲/作詩:北原白秋/指揮:下河原建太)
  • 白鷺
    (『白き花鳥図』第6曲/作詩:北原白秋/指揮:下河原建太)
  • 或る誕生
    (『雪国にて』第2曲/作詩:堀口大學/指揮:小池由幸)
  • 夢みたものは
    (『ソネット集 第二』第1曲/作詩:立原道造/指揮:小池由幸)
  • 夜ふる雪
    (『東京景物詩』第6曲/作詩:北原白秋/指揮:下河原建太)

アンサンブルリーダーによるステージ。下河原氏は縦の響き(ハーモニー)、小池氏は横の流れ(フレージング)が前面に出た音楽づくりと見受けられる。下河原氏の前半2曲が白鷺を描いたものだったのは、前のステージからの流れを念頭とした選曲だったのだろうか。小池氏の選曲は「幸せ」がテーマとのこと。

アラカルトの曲目を眺めていて気づいた。前回までは古くからのスタンダードナンバーと近作とを意識して混ぜたプログラムだったのに対し、今回コンサート本編で演奏されるのは「或る誕生」を除き平成に入ってから生まれた曲ばかり。『白き花鳥図』の原型は1965年に初演されたピアノ付き同声合唱組曲だが、のちに無伴奏の混声合唱組曲として大幅に改作されたとき「白鷺」が書かれ、このたび演奏された無伴奏男声合唱版は1995年初演なので、平成生まれの仲間に入れてもまあ間違いではなかろう。

第三ステージ

男声合唱組曲『ソネット集』
作詩:立原道造 作曲:多田武彦
指揮:高坂徹

この組曲といえば、1999年、第1回OB六連の立教単独ステージ。当時の演奏について未だにツイッター等で話題にのぼることがある。参加者のひとりだったせきとしては誠に嬉しい。話題にしてくださる方の中にはタダタケを歌う会のコアメンバーもいて、このたび選曲されたのは当時の感激も理由の一つなのだろう。コアメンバーの思い入れは演奏の端々から感じ取れた。

高坂氏の指揮は、OB六連のときなどでは行わなかったことがいくつも付け足されていて、興味深い。たとえば第1曲の「長い長い」に意味が込められているあたりとか。第5曲「旅人の夜の歌」は譜面だとバスの長いパートソロで始まるのだが、今回はバリトンも一緒に歌った。

『ソネット集』は歌ったことしかなく客席で聴くのは初めて。汲めども汲めども尽きない音楽の味わいや魅力を再確認した。技術的なハードルは低めで取り組みやすいと思うが、演奏頻度が低いのは実に残念。

アンコール

  • 南国の空青けれど
    (『南国の空青けれど』第6曲/作詩:立原道造/指揮:下河原建太)
  • 早春
    (『父のいる庭』第3曲/作詩:津村信夫/指揮:小池由幸)

  • (『草野心平の詩から』第4曲/作詩:草野心平/指揮:高坂徹)

「早春」「雨」は初期に近い曲ですね。このへんで耳馴染みのある選曲に安心した聴衆もいらしたかも。

アンコールに「雨」が出てくることはなんとなく予想がついていた。コンサート開始からずっとシモ手に小さい番傘が置かれていたからである。アラカルトで演奏された「夢みたものは」や「夜ふる雪」でも傘は出てくるけど日傘でも蛇の目傘でもないので、アンコールだろうなと。本編終了後に舞台袖へ引っ込んだ高坂氏が再登場したとき大きな番傘を携えたことで、予想は確信に変わった。


面識のある方々とは高坂氏を除き終演後ひととおりご挨拶できた。

出演者・スタッフ・来場者の皆様、お疲れ様でした。

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