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2017/03/20の日記:harmonia ensemble 第11回定期演奏会——ドイツロマン派宗教音楽の夕べ

harmonia ensemble(ハルモニア・アンサンブル)の「harmonia ensemble 第11回定期演奏会——ドイツロマン派宗教音楽の夕べ」を聴きに上京してきた。


終演時間と翌日の都合を考えて東京駅からアクセスの容易な場所に投宿し入浴してから府中の森芸術劇場ウィーンホールに向かったというのは、昨年秋の「harmonia ensemble第8回定期演奏会 ——柴田南雄生誕100年記念個展」とほぼ同様。違うのはホテルの場所ぐらい。


Die deutsche Liturgie(ドイツ典礼)から
作曲:Felix Mendelssohn Bartholdy
指揮(全ステージ):福永一博

「Kyrie eleison」「Ehre sei Gott in der Hoehe」「Heilig」の3曲を演奏。1曲目が始まるなり歌声で空間が支配され、終演までその状況が続いた。

前述した「harmonia ensemble第8回定期演奏会 ——柴田南雄生誕100年記念個展」で取り上げられた『三つの無伴奏混声合唱曲』の演奏から、楽曲の持つドイツロマン派の香りが感じ取れた。そのときの記憶から、この団体とドイツロマン派ものとは相性がよさそうな気がしていたが、期待通り・想像以上であった。

このステージのあと、福永代表によるスピーチで「ロマン派には大編成の曲が多く、室内合唱団で演奏するのはチャレンジである」とおっしゃっていた。プログラムパンフレットの合唱団員は18名だったが、実際の演奏からは無理している感ゼロ、実に自然。もっともドイツものだから室内合唱団で自然な演奏ができたという可能性もあって、これがスメタナみたいなチェコロマン派だったら大人数でないとつらいような気がする。

Geistliches Lied(霊的な歌) op.30
作曲:Johannes Brahms
オルガン:田宮亮

この会場が有するパイプオルガンが登場。18名の合唱は大オルガンに引けを取るどころか全体で一体の音楽となっているのはさすがである。

Ave Maria (アヴェ・マリア) WAB 6
作曲:Anton Bruckner
Tantum ergo (タントゥム・エルゴ) WAB 42 (1888年版)
作曲:Anton Bruckner
オルガン:田宮亮
Tota pulchra es (あなたはすべてが美しい) WAB 46
作曲:Anton Bruckner
オルガン:田宮亮
Ecce sacerdos magnus (大いなる祭司を見よ) WAB 13
作曲:Anton Bruckner
オルガン:田宮亮
Virga Jesse floruit (エッサイの枝に花が開き) WAB 52
作曲:Anton Bruckner

2012年に富山県で行われた全日本合唱コンクール全国大会で複数の団体がブルックナーのモテットを自由曲に取り上げた。どこも、いかにも後期ドイツロマン派らしき濃密さが前面に出た演奏だったような記憶がある。

今回のharmonia ensembleの演奏からも、もちろん「いかにも後期ドイツロマン派らしき濃密さ」が漂っていた。一方で、パレストリーナやラッススあたりを思わせるようなフレージングも随所にみられ、ブルックナーという作曲家の多面性が感じ取れた。

ここでインターミッション。

Via crucis (十字架の道行き) S.53
作曲:Franz Liszt
オルガン:田宮亮

リストが十年以上かけて作曲した大作。キリストの受難という題材の重たさや、十字架の道行きという儀式にのっとったスタイルゆえ1時間弱という演奏時間を要することなどから、取り上げられることはさほど多くない。

導入部と14の留から成るこの曲は、受難の物語に沿って進む。ずっと混声4部なわけではなく、オルガン独奏や独唱や男声2部合唱や女声3部合唱なども織り交ざる。魂のこもった演奏で、時間を感じさせず聴きとおすことができた。間違いなく白眉というべきステージであった。

前述の「留」とは、受難の場面を再現した絵画や彫刻で、教会の周囲や屋外にあるものだそうである。ドイツ語ではStation。このたびの演奏では、歌詞の対訳を作った三ヶ尻正さんからスクリーンとプロジェクターを貸し出していただき、留であろう当時の絵が、表題や歌詞の字幕と共に映写されるという演出がなされた。オペラが字幕付きで原語上演されることは時々あるが、オペラでない合唱の演奏会では珍しい趣向であろう。この趣向は楽曲世界に入り易くて有難かった。でも、ほの暗い場内で歌い手やオルガンに電球色の照明が当てられている状況下だと、自分が座る後寄りの席からは、字が大きく作られた字幕は難なく読めたけれど、細い線や細かい図柄が多い絵はコントラスト不明瞭で見づらく演奏への集中が少々そがれた。たとえば滝平二郎のきりえや棟方志功の板画みたいな絵のほうが演出に適していたのでは。(余談ついでに、この作品を典礼劇仕立てで上演したら面白そうだなという妄想も頭に浮かんだ)


Josef Rheinberger作曲「Abendlied(夕べの歌) op.69-3」をアンコールに歌い、終演。

福永さんにご挨拶できればと思っていたが、ほかの方々とずっとご歓談中のため失礼する。わたくしの存在には気づいてくださっていた模様なのに申し訳なし。

出演者・スタッフ・来場者の皆様、お疲れ様でした。


会場には作曲家の森田花央里さんがいらしていた。ねっとりを壇蜜さんから洗い落とした、みたいな居ずまいの御方。駅までの帰り道ずっと至近距離を歩いていたっぽいが、当方なにぶんにも人見知りなうえ実は作品未体験ということもあって話しかけるのを遠慮し「あ、この人もしかして……」と心の中でつぶやくにとどめた。ストーカーじみて不気味だったかもしれない。

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