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2017/05/06の日記:第66回東京六大学合唱連盟定期演奏会

今年も六連こと東京六大学合唱連盟定期演奏会を聴いてきた。

出演者・スタッフ・来場者の皆様、お疲れ様でした。


チケットは例年通り立教グリー現役部員からのOBOG売りで購入。電話をいただいて購入を申し込んだのは例年より1週間以上早い3月20日だったのに対し、完売の告知が流れた4月半ばになってもチケットが届かず、郵便事故でも起きたのではと気をもんだ。チケット到着は例年同様の4月22日。

エール交歓

エールは学生指揮者が振るということで、指導者先生が助けてくださる部分が少なく、各団体の地力がもろに現れる。かつては団によって出来栄えにむらがある年もみられたが、今年はどの団もちゃんとした演奏。本編に期待がもてる。

第60回(2011年)第64回(2015年)第65回(2016年)は各団体個別の感想を書いていたが、今回はディテールについての記憶が薄れてしまったため割愛。一か月も書かずにいた自分がいけない。

1st stage:東京大学音楽部合唱団コールアカデミー

イザークの4つのモテット
作曲:Heinrich Isaac
指揮:有村祐輔
  • Virgo prudentissima quo progrederis(最も思慮ある乙女)
  • Tota pulchra es(あなたは何もかも美しく)
  • Sustinuimus pacem(私たちは平和を保った)
  • O Maria, Maria Christi(キリストの母、マリアよ)

アンサンブルは例年に勝るとも劣らぬ整い具合のうえ、今年はいつになくサウンドが立体的に聞こえた。パート間の遠近感がクリアだったからかな。ポリフォニーの面白さがよく分かる。ちなみに代表作「インスブルックよ、さようなら」は世俗曲ということで演奏されず。

2nd stage:法政大学アリオンコール

『A Little Jazz Mass』
作曲:Bob Chilcottc
指揮:蓮沼喜文/ピアノ:加藤柚太/ドラム:伊坂浩嗣/ベース:工藤香澄
  • Kyrie
  • Gloria
  • Sanctus
  • Benedictus
  • Agnus Dei

皆さんから歌う喜びが感じとれたような気がする。曲の力とか、3年ぶりの単独ステージだからとか、要因はいろいろあるだろう。指揮者が客席のほうを向いて手拍子を求めたなんて場面もあったっけ。

チラシやパンフレットにはピアニストのお名前しか載っていなかったが、コントラバスとドラム(奏者のお名前は法政大学アリオンコール総合サイト内「ARION CONCERT」の「66th 6ren of 六連」で確認)も加えての演奏だった。歌い手10名ぐらいだが音量バランスもアンサンブルもバッチリ。ドラムスは普通にたたくと他をかき消してしまいがちな大音量になるけど、今回はスティック選びなどに配慮がみられた。

指揮者の蓮沼氏は埼玉栄高等学校でコーラス部を立ち上げて部員人数常時3桁になるまでに育てた御方。十年近く前に退職し、現在フリーランスの合唱指導者。アリオンとのかかわりは昨年度からで、招聘された経緯は「法政大学アリオンコールOB会公式ホームページ」内「スガノミクス 法政大学アリオンコール再生・成長戦略 2016」に詳しい。なお、「スガノミクス 法政大学アリオンコール再生・成長戦略 2017」には、今回の単独ステージで他団体からのサポートを得たことなどが記されている。

3rd stage:明治大学グリークラブ

男声合唱組曲『フェニックス』
原文:Lucius Caecillius Firmlaus Lactantius
作詞・作曲・指揮:佐藤賢太郎(Ken-P)/ピアノ:松元博志
  1. Locus Felix(幸せの地)
  2. Avis Phoenix(彼の鳥はフェニックス)
  3. Mors et Ressurectio Phoenicis(フェニックスの死と復活)
  4. Carmen Phoenici(フェニックスへの歌)

昨年11月にオーケストラと混声合唱のために書かれた組曲の男声版初演。オルガン版も存在するとのこと。全編ラテン語で、ちょっと木下牧子作品っぽいサウンド。あ、この演奏会は前半2nd stageのKyrie以外ずっとラテン語ですね。

佐藤氏が過去の六連で「恋のない日」「秋の瞳」を取り上げたときは一部の楽章で動作を伴う演出を加えていたが、今回そういう趣向は全くなし。

素材の持ち味を損なわない演奏からは曲のカッコよさが余すところなく伝わった。ただ、本来なら70名以上の人数で歌うと演奏効果が十全に発揮される曲だとも思う。極私的嗜好からいうとKen-P氏の作曲は淡白に過ぎるように感じられるところがあって、30名弱で歌うならあざといくらいめりはりをきかせたほうが少なくとも私の口には合うのだろうと思った。

4th stage:慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団

フィンランド独立100年によせて「シベリウス男声合唱曲を歌う」
作曲:Jean Sibelius
指揮:大久保光哉
  • Har du mod(あなたに勇気はあるか)JS.93
  • Ett droemackord(夢の和弦)Op.84 No.3
  • Jone havsfaerd(ヨナの航海)JS.100
  • Likhet(かのごとく)JS.121
  • Evige Eros(永遠のエロス)Op.84 No.4
  • Brusande rusar en vaag(波濤の荒れ狂い)JS.224 No.2
  • Ute hoers stormen(外は嵐が荒れ狂う)JS.224 No.1

「フィンランド独立100年によせて」という副題のわりに全曲スウェーデン語だし、「フィンランディア」みたいな定番ものを外したりだしと、ひとひねりした選曲。

往年のワグネルトーンを思わせながらも北欧っぽさがあって力強い音色と高い音圧。個々人も育っているようで、何人か出てきた独唱はみな立派(特に「Evige Eros」の長大なバリトンソロと、合同ステージアンコールのテナーソロ)。もちろんアンサンブルも堅牢で、伝統的男声合唱サウンドの美味を堪能した。

5th stage:立教大学グリークラブ

男声合唱組曲『方舟』
作詞:大岡信/作曲:木下牧子
指揮:田中豊輝/ピアノ:内木優子
  1. 水底吹笛
  2. 木馬
  3. 夏のおもひに
  4. 方舟

田中氏の指揮による演奏は、昨年の六連合同と、5年前に富山県で行われた全日本合唱コンクール大学・職場・一般部門の全国大会で拝聴し、表情の変化を大事にしたダイナミックな音楽をつくるという印象を持っている。そこで丁寧な歌唱をする立教男声が木下作品に取り組むとどうなるか。結果、相乗効果でなんともいえない抒情性の漂うステージとなった。

スタミナの要る組曲(この曲の混声版に取り組んだ知り合いで、練習を「方舟ダイエット」と呼んだ人がいる)ということでペース配分を意識しているように見受けられた。さすがに終曲中盤ぐらいからテナー系が燃料切れっぽくなっていたが、27名でよく頑張った。

内木氏はもともとOB男声合唱団がお世話になっているピアニストで、現役とも十数年のおつきあいだが、六連は初登場。田中氏と組むのもお初なはず。

作曲者ご臨席。すぐ近くに座っておられた。最初に実物を拝見したのは二十年以上前せきが大学生だったときだが、お変わりないですね。

6th stage:早稲田大学グリークラブ

男声合唱とピアノのための『ブレイブ・ストーリー』
作曲:川井憲次
指揮:中島龍之介/ピアノ:角野隼斗
  • 第一幕 バラバラになる現実
  • 第二幕 見習い勇者ワタルの旅立ち
  • 第三幕 スペクタクルマシン団
  • 第四幕 ミーナのバラード
  • 第五幕 分裂するワタルの心
  • 第六幕 運命の塔
  • 第七幕 再びあいまみえる時まで

書き下ろし初演。昨年に引き続いての、創作オリジナル合唱劇。テキストは、宮部みゆきの小説「ブレイブ・ストーリー」を団員が合唱組曲仕様に再編したもの。こういう新作を生み出し続けていくことは、合唱界全体にさまざまな影響を与えてゆくのではと思う。

ところどころ台詞あり。照明を多用した演出。上はやたら高くて下はやたら低い音がしばしば出てくるのは演奏が難儀そうだが、ちゃんと聴かせる。原作を読んでいたら楽しみが倍だったかもと思いながらも、少年ワタルの成長物語を横糸にした構成は分かりやすかった。

作曲者は映画・ドラマ音楽(いわゆる劇伴)の仕事が多い人。せきはTVドラマ「科捜研の女」でお名前を知った。

7th stage:六大学合同演奏ステージ

同声(女声または男声)三部合唱とピアノのための組曲『永訣の朝』
作詩:宮澤賢治/作曲:西村朗
指揮:雨森文也/ピアノ:平林知子
  • 永訣の朝
  • 松の針
  • 無声慟哭

雨森文也氏は新潟ユース合唱団でご指導いただいたことがあって少しばかり存じ上げている。楽曲によって表現のアプローチを変えてくる指揮者。

このたびはタクトと合唱が熱量をぶつけあうステージであった。声で表現する魂の叫びの集合体といった趣で、声の塊が次々と突き刺さってくる。第2曲「松の針」はポリフォニックに早口言葉が折り重なるように書かれており、歌詞がききとれないのは作曲上の意図である。そのぶん全パートが縦に揃う箇所のインパクトが強烈。

ピアニストもものすごかった。ピアノソロの部分では西村作品に特徴的なゴツいピアノサウンドを実にゴツく奏で、合唱が加わる部分では合唱と掛け算するようなアンサンブルに徹し、見事なものを聞かせていただいた。

ステージでは紹介されなかったが、作曲者ご臨席の由。

アンコール:合同演奏

作詩:八木重吉/作曲:多田武彦
指揮:雨森文也

本編は学生の希望による選曲に対し、このアンコールは指揮者の提案によるものとのこと。演奏そのものも素晴らしかったし、妹の最期を激越に悼む本編と、自らの最期へ静かに思いを馳せるアンコールとの対比ときたら。なおピアニストの平林氏はアンコールでトップテノールに混じって歌った。


今回は余談として、六連のパンフレットで気になったことを記す。

団紹介のページ。法政、顧問指揮者の項目がなくなった。ただし田中信昭先生への言及と謝辞あり。

同じく団紹介のページ。立教、二十年ご指導いただいた高坂徹氏と、その倍近くご指導いただいた大久保昭男先生の名前が消え、諸行無常の感あり。単独ステージではバリトンが今までになく軽めの音色で、大久保先生のメソッドから離れつつあるように感じられた。高坂氏については昨年の男声定演やOB会総会に顔を出していれば事情が分かったのかも知れないが、あいにく当方その時期はオペラ「てかがみ」にかかりっきり。

広告ページ。左8分の1ページと右4分の3ページが空欄。現役の皆さんが広告集めに難儀したであろうことや、出広しようというOBが少ないことなどを思うと、切ない。かくいう自分もどうにかできるような身ではないので、なおさら心苦しい限り。

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