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2017/11/25・26の日記(その3):芸劇の音響特性、および大学ユース合唱の部

今回より「第70回全日本合唱コンクール全国大会」大学職場一般部門を聴いての感想。個々の団体について書く前に、課題曲のいくつかについて大雑把に記す。


この部門は2階席中央、審査員席の3列ほど後ろで聴いた。

前置き:東京芸術劇場コンサートホールの音響特性について。

せきの経験した範囲内において(歌ったことがあるのは改装前だけだが)このホールは合唱に最も適した響きを持つ演奏会場だと思う。演奏者の立場からすると、自分たちの声が客席に届くのが感じ取れるし向こう三軒両隣の声も聴きとれるので非常に歌いやすい。聴衆の立場からすると、小アンサンブルでも百名超の大合唱でも、座席の位置を問わず豊かな響きが味わえる。

とはいえ、人数が室内合唱の規模を超えると、その性能は舞台を広く使うほうが、或いは山台の上段を使うほうが発揮されやすいように思う。初めてのホールだと勝手が分からずステージリハーサルでの調整もできないというコンクール特有の事情があるから仕方ない話なのだが、舞台の使い方が勿体なく感じられた団体もあった。特に気になったのが大学ユース部門ということで、前置きがわりにここに記す。

大学ユース合唱の部について感想など

各団体の自由曲についてはパナムジカ公式サイト「コンクール情報」の「平成29年度(第70回)全日本合唱コンクール出場団体・演奏曲目・結果」(ただし演奏順にあらず)を、課題曲の中身については同じく「平成29年度(第70回)全日本合唱コンクール課題曲」を参照ください。

ナニサマな表現が混じってます。気分を害する御方におかれましては何卒ご容赦いただきたく。

同志社グリークラブ
指揮:伊東恵司/ピアノ:水戸美弥子

トップバッターのためか硬さが見受けられた。山台を1段ずつ上がって並ぶほうが、特に会場も客席も温まっていない状況ではよかったのかも。まあ男声合唱サウンドの魅力は十二分に伝わった。

パンフレットの団紹介文に「課題曲は大先輩たちの委嘱曲」と。指揮者のタクトからは、もっともっと表現で遊びたかったのではなかろうかと拝察。

年明けに行われる定期演奏会では「音速平和」を終曲とする組曲『シーラカンス日和』全曲を演奏する由。最終ステージということもあり、今回以上に熱量の大きなパフォーマンスが期待できそう。

都留文科大学合唱団
指揮:清水雅彦/ピアノ:鈴木真理子

女声が圧倒的に多いけど、人数差を感じさせない調和のとれたサウンド。コンクールであることを忘れて聞き入った。

自由曲の原曲は独唱曲。この時点ではコンクールで取り上げた楽章しか存在しなかったが、とても好評だったようで残りの楽章も混声合唱版が作られることが決まり、来年度の定期演奏会で全楽章初演予定とのこと。きっと多くの団体によって再演されることであろう。

東京工業大学混声合唱団コール・クライネス
指揮:岩本達明

翌日の合唱団やえ山組を聴いて、小さくて壊れやすい宝物を掌でそっと包み込むようなニュアンスを指揮者は課題曲で表現したかったのかなと思った。もし推測が正しいなら、パンフレット記載によると127名のアンサンブルでは、森羅万象を凝縮して一点に集めるみたいなサウンド作りを一同が心掛けないと難しいかも。

自由曲は、エネルギーが徐々に高まっていって終盤で爆発するさまが素晴らしい。今年度の定期演奏会は信長貴富特集ということで、コンクール曲は再演されず。もったいないけど、来年度以降に自由曲を含む曲集全曲を歌うのかしらん。

ジュニア&ユースコーラス“Raw-Ore”
指揮:大槻葉子/ピアノ:小平圭亮

小学生から社会人までの年代が混ざったアンサンブルは、親密な空気感が微笑ましい。ただ、舞台を贅沢に広々と使ったほうがのびのびした演奏になったのではとも思う。

自由曲「Agnus Dei = 空海・真言・絶唱」を聴くのは2度目。何年か前に初めて聴いたときは情報量が多すぎて私には処理しきれなくなった記憶があるが、このたびの演奏はキャパシティオーバーに陥ることなく最後まで聴くことができた。ああいうタイプの曲に私が慣れたのか、演奏者のおかげか。

山口大学混声合唱団
指揮:藤田卓

振ったのは学生指揮者。着実に研鑽を積み重ねている様子で、ほかの指揮者と遜色ない音楽づくり。大学を卒業しても演奏活動を続けていただければと願う。

「鬼女」は、うんと邦楽に寄せ、思い切りはっちゃけてもよかったんでは。

今や愛唱歌として定着しつつある「わが抒情詩」でブルースの味わいが前面に出た演奏スタイルなのが好ましい。

Chor OBANDES
指揮:菊地海杜

課題曲も自由曲も、終盤でソプラノから光を放つかの如き響きが聞こえたのは、この団だったような気がする。アンサンブルが成り立った中で放たれる光はサウンドに独特の彩りをもたらした。

愛媛大学合唱団
指揮:河野汐音

縦の響きを重視するタイプの指揮者と見受けられる。自由曲はその志向性が生きた。一方、ルネサンスポリフォニーの課題曲では残念ながらフレーズが横に流れなかったように感じられた。

北海道大学合唱団
指揮:尾崎あかり/ピアノ:豊田早苗

5年前の第65回@富山以来。各パートの音程や線が極めてよく整理され、これこそが鈴木輝昭作品において作曲者が意図したサウンドかと驚嘆した覚えがある。その後、鈴木氏に新作を委嘱し、このたび自由曲で取り上げた組曲『満天の感情』が書き下ろされた。

今回は、あのときに比べると線が太くなっており、響きはスッキリ感が減った一方で男声合唱ならではの分厚いものになった。どちらにも魅力がある。

「忘却」は今年の東西四連アンコール以来。そのときの指揮者が審査員のおひとりだったりする。再演が少ない曲なのに、まさか2度も聴けるなんて。

関西学院グリークラブ
指揮:広瀬康夫

いつもの関学クオリティ。客席にはOBも結構いらしていたようで、新月会指揮者のおひとりである山田真也氏とロビーで会釈した。

自由曲はチルコット作品2曲。「Newton’s Amazing Grace」はいわゆる黒人霊歌の延長線上にあるコーラス、「Thou, my love, art fair」はすっかりこの団の看板のひとつとなったバーバーショップの経験を生かしたアンサンブル。

混声合唱団 名古屋大学コール・グランツェ
指揮:伊東恵司/ピアノ:小見山純一

プログラムのパンフレットを見る限り、今回の一般の部としては最多人数の136名。だけど伊東メソッドの力か、整理整頓がゆきとどき、物量は豊かだけど鈍重さとは対極に近いサウンド。

課題曲は、いかにも朝らしい爽快な音だったと思う。

九大混声合唱団
指揮:竹田享司/ピアノ:植村和彦

課題曲ではパートがシャッフルされ、111名が山台・舞台いっぱいに広がり、ひとりひとりが3階席の奥に向かって歌いかけた。実にホールの性能が生きて、説得力抜群。

自由曲ではパートごとに固まったオーソドックスな並び。しっかりした演奏ではあるが、課題曲に比べるとエネルギーが少しばかり抑えられたように聴こえた。

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