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新実徳英著『合唱っていいな!』を読む

昨年、合唱ネタの本として2015年12月29日付「青島広志著『ブルー・アイランド版 合唱(コーラス)まるかじり』を読む」以外にも読んだものが2冊ほどあったんですが、書くのを失念してました。

そのうち、今回取り上げるのは新実徳英著『合唱っていいな! 〜作曲・演奏・指揮をめぐって〜』洪水企画発行/草場書房発売です。奥付によると初版刊行は2015年8月1日付でした。こちらは『合唱まるかじり』と違い、パナムジカでも取扱いがあります。


この本は全6章で構成されています。

第1章「合唱音楽の魅力を考える」と第3章「研究室 音楽の要素を考える」は著者による文章(聞き書きの可能性もありますが)。本書のための書き下ろしと思われます。前者は合唱について、後者は楽典的なことについて、いずれもイロハから応用面まで説いています。論考としては垣根が低く、エッセイとしては広く深い文章です。

第2章「対談 指揮者とともに」は読んで字のとおりで、栗山文昭氏と著者のと対談と、清水敬一氏と著者の対談の2編が収められています。前者は雑誌「洪水」の再録、後者は恐らく語り下ろしです。いずれも演奏の実際に即したもので、「白いうた 青いうた」「つぶてソング」のような裾野をも視野に入れた作品についても、いわゆる現代音楽バリバリの先鋭的な作品についても、話題が出てきます。

第4章「対談 作曲家とともに」も同様、松下耕氏とのと対談と、寺嶋陸也氏との対談の2編が収められています。前者は恐らく語り下ろし、後者は雑誌「樹音」の再録です。松下氏とは合唱を愛する人どうしの対話、合唱界を引いた目で見る寺嶋氏とはフランクながらも温度差の違う対話が楽しめます。

第5章「『つぶてソング』について」は、この本の編集者を務めた池田康氏が雑誌「洪水」に寄稿した演奏会評論と、作詩者・和合亮一氏と著者との対談(雑誌「教育音楽 中学・高校版」からの再録)が収められています。和合氏との対談については『つぶてソング』だけでなく、東日本大震災より前の共同作品「ふくしまをてのなかに」『宇宙になる』の話題も出てきます。新実氏による『つぶてソング』に限らず、和合氏の詩に作曲した歌曲や合唱曲を取り上げる際に参考となる部分は多いことでしょう。

第6章「合唱音楽の名作を選ぶ」は、この本に登場する清水氏・松下氏・寺嶋氏が、著者の問いかけ「古今東西の合唱曲から、あなたが名作と考える曲を10作品選び、難←→易(縦軸)および無調←→調性(横軸)の4象限にプロットせよ」に答えるという趣向です。著者ご自身も自選という形で同じ図表をこしらえ、さらに得られた回答群について解説を加えています。何をどういう形で選んだかは読んでのお楽しみ。なお、栗山氏にも同じアンケートをとろうとしたものの、合唱指揮者としてのキャリアや委嘱初演歴を考えたら《悲鳴に近い声がかえってくるような気がして、思いとどまった(笑)》だそうです。


どの章も、中高生から成人まで、年齢や合唱経験を問わず、興味深く読めるように思います。読むのに早すぎるとか遅すぎるとかいうことはありますまい。店頭だと、大きな楽譜店とか、音楽や詩の専門書に強い書店でないと置いてなさそうで、ネット通販(版元直販とかパナムジカとか)のほうが確実に入手できるかと。

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