昨日公開した「佐村河内守 影武者騒動」の続き、もしくはそこで触れなかった観点からの付け足しです。
佐村河内氏の「原爆二世で聴覚障碍者の作曲家」というパブリックイメージを構築・拡散した要因として、2013年3月31日にNHK総合で放映された「NHKスペシャル 魂の旋律〜音を失った作曲家〜」やTBSTBS「中居正広の金曜日のスマたちへ」2013年4月26日放映回といった特集番組が指摘されています。(いずれも新垣隆氏の告白後お詫びのメッセージを公式サイトに載せており、ガジェット通信にまとめられています)
これらの番組へ道義的責任を問う声もいろいろ目にし、かつてNHK総合で放映されていた「プロジェクトX 〜挑戦者たち〜」というドキュメンタリー番組を思い起こしました。2005年5月10日放映回で、大阪府立淀川工業高等学校(現・大阪府立淀川工科高等学校)グリークラブが取り上げられました。ただ、その再現VTRでの紹介が事実と全く異なっていたことが問題になり、番組打ち切りへと至りました。また、それがきっかけで、顧問を務めていた高嶋昌二氏は教諭を辞職し、現在は合唱指揮者を主な生業としておられます。せきは問題になった回を視聴していましたが、問題視された描写のいくつかに首をかしげるとともに、あまりにも学園ドラマの典型に沿いすぎる紹介にどこか違和感をおぼえた記憶があります。
佐村河内氏関連の番組と「プロジェクトX」淀工グリーの回とでは、取材対象の責任が真逆です。すなわち、佐村河内氏のほうは偽りの演技をしていたのに対し(スタッフがどこまで偽りを見抜けたかはさておき)、淀工グリーが嘘をついていたわけでないので、その点で両者をひとくくりにすることに問題はあるのですが、結果として真実に反する「感動的」な番組が放映されてしまった点でいえば共通するものがあろうと思います。
「感動的」なものに虚構が含まれる場合があることは、ルポルタージュに接する際、肝に銘じなければいけません。ルポルタージュも筆者による再構成が加わっているのですから。ただ、逆に演奏を通して表現する立場でいうなら、観客・聴衆を感動させるには、当事者にとって嘘っぽく感じられようとも、なんらかの演出を仕込むほうが効果的な場合があるという考え方も成り立つでしょう。
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