カテゴリー: 鑑賞の感想

いきものがかりの合唱部にエール!

いきものがかりの合唱部にエール!

さきほどNHK総合で放映された「NHK全国学校音楽コンクールスペシャル『いきものがかりの合唱部にエール!』」を見ました。

中学校の部の課題曲作者が全国各地の合唱部を訪問するというものです。昨年もアンジェラ・アキさんが同じ趣旨の番組をやってましたね。

前半は島根県出雲市立第一中学校合唱部へ。副部長がNHKに手紙を送ったそうで、それに応えての訪問でした。初めて課題曲を歌うステージ(4/11のスプリングコンサート)が間近だそうで「作者がどういう思いを込めて曲を作ったか知りたい」とのことでした。それに対し、作詞作曲者であるリーダーの水野さんいわく「作者がどんな思いでこの曲を書いたかを考えてくれてると思うんだけど、僕が考えてることはどうでもいい、歌うのは君ら」。

せき個人は常日頃から、安直に作者本人から答えを教わろうとすることに疑問を抱いています。作者自身が答えを示すのは簡単だけど、考えたり調べたりなどして答えを探すプロセスに意味がある、そう考えるからです。なので、水野さんの答えはさすがだと思いました。

中盤は、ボーカルの吉岡さんが中学時代に合唱部で活動していて(部長だったそうです)、NHK全国学校音楽コンクール中学の部の課題曲にかかわることに特別な思いを抱いているというエピソードの紹介。

『いきものがかりの合唱部にエール!』内では紹介されなかった情報を補足すると、吉岡さんはとにかく歌が大好きで、合唱活動と並行してミュージカル劇団でも歌っていました。高校に入ってから、吉岡さんの兄の同級生2人がやっている路上ミュージシャン「いきものがかり」に加入し現在に至るわけです。途中、吉岡さんは音楽大学のミュージカル専攻に進学したもののレッスンの厳しさに耐えかねて歌うこと自体へのモチベーションを失ってしまい1年ほど挫折状態にあった(その間いきものがかりの活動も中断した)、そんな時期を経ています。

後半は熊本県山鹿市立菊鹿中学校音楽部へ。部員は2人きりで、チェリーズというデュオとして歌っていました。

部活動でコンクールやコンテストがからむと妙にギスギスした部分を感じることもなくはないんですが、チェリーズは純粋無垢に音楽を楽しんでいました。その姿にアマチュアリズムの美点を見た思いがした一方で、せきは吉岡さんの歌い手としての歩みを重ね合わせ、2人の未来が少しばかり気にかかりました。

なお、あさって5月9日に、NHK総合とNHK教育で再放送があるそうです。

ファーストジャパニーズ

ファーストジャパニーズ

NHK BS-1で月1回「関口知宏のファーストジャパニーズ」という番組が放映されています。西村英将さん(合唱歌手・作曲家)の回に興味があったものの見逃してしまい、昨夜NHK総合で放映されたのをようやく視聴しました。

本来は50分の番組ですが、せきが見たのは20分に再構成したダイジェスト版でした。世界合唱シンポジウム関連のくだりが丸ごとカットされていたほか、ところどころ間引かれていたみたいです。


生活の大半を合唱に捧げる西村さんのようなライフスタイルは、せきのようなアマチュアの端くれから見て憧れの存在です。もっとも、経済的には潤っていると言いがたいということも紹介されていましたが。

この番組のために関口さんが書き下ろした曲を西村さんが男声合唱に編曲し、練習の一環という形ながらもエストニア国立男声合唱団で音にしてもらったというのも、うらやましいですね。

せきも合唱編曲をかじっておりますが、音にしていただいた作品は1曲しかありません(鶴岡陽一氏編曲による「St. Paul’s will shine tonight」を女声合唱にトランスクリプションしたもの。鶴岡版男声合唱と合同で混声として演奏されたことが何度か)。


もしこの回がDVDソフトとして商品化されることがあれば、50分バージョンで見たい。

第7回アンコン(その3)

第7回アンコン(その3)

遅ればせながら、第7回新潟県ヴォーカルアンサンブルコンテストの出演者・運営者・来場者の皆様、お疲れ様でした。
感想を、出演者じゃない立場から書きます。
アンコンなるものについて当ブログで記すのは初な上、せきの参加経験自体が今年で2度目ということを、前置きとして断っておきますね。
今回、高等学校部門・中学校部門のときは場内にいなかったもので、どんな演奏がされたか存じません。
プログラムを見る限りで目につくことは、まず昨年同様(そして恐らくは例年通り)木下牧子作品の多さです。高等学校部門では20団体中8団体、中学校部門では24団体中6団体。一般部門はやや減って15団体中2団体。
そして今年だけと思われる特徴として、審査員のお一人だった信長貴富氏の作品が高等学校部門で7団体という人気ぶりでした。なお、中学校部門で信長作品を取り上げたのは2団体、一般部門は木下作品と同じ2団体。
僭越ながら、せきが拝聴した一般の部の後半5団体について感じたことも。
・女声アンサンブルiris
1曲目: T. L. de Victoria作曲「Domine, non sum dignus」のほうが、2曲目: 瑞慶覧尚子編曲「てぃんさぐぬ花」よりも音楽のキャラクターが造形されていたように思います。2曲目は伴奏にあたるスキャットがもうちょっと粒だつほうが個人的には好み。
練習量は昨年の某新潟ユース合唱団と同程度かそれ以下らしいのに、某団とは比べ物にならないアンサンブルの安定ぶりが凄い。
・合唱団NEWS
佐藤さおり作曲、無伴奏混声合唱のための「アルバム I」より「クジャク」「えいえんにゆたかに」。愛唱曲を歌うという雰囲気の、危なげなく楽しげなステージでした。張り詰めた空気が歌で和らいだ一方(エンタテインメント系の曲にあらず。念のため)、少しばかり音楽が拡散しちゃってるような印象も受けました。
・合唱団YEN
木下牧子作曲「サッカーによせて」「さびしいカシの木」、いずれも女声合唱の無伴奏バージョン。ところどころ平べったい母音が曲想の足を引っ張ってたかなあ。それと、メッツォソプラノ(だと思う。最高声部や最低声部じゃなかったのは確か)がたっぷりめに聞こえました。自分はベースなので、ふだん外声パートのほうに注意がいきがちな聞き癖なんですけど。
・レディースクワイヤGiugno
G. P. da Palestrina作曲「Missa “Regina Caeli”」より「Gloria」「Sanctus」、とプログラムに書いてあるんですが、歌ったのは「Gloria」だけだったような。さすがJuneの小部隊、堂々たる演奏。
ひとつだけ気になったのは冒頭のチャントを団員がアルトソロとして歌ったことです。せきは大学時代以降ルネサンス宗教曲の演奏は幾度も聴いてますが(ほぼすべて皆川達夫先生の指揮)、女声合唱の場合ミサのチャントは省略する演奏ばかりだったもので。
・Iride
Eleanor Daley作曲「Ave Maria」。第57回(2004年度)全日本合唱コンクールのF2課題曲だそうで。テンション系の和音に満ち溢れていて、強い耳が要求されるであろう曲を歌いとおすという時点で感服しました。