カテゴリー: 鑑賞の感想

ハモネプリーグ 第8回大会

ハモネプリーグ 第8回大会

おととい「青春アカペラ甲子園全国ハモネプリーグ8」を、後半1時間ほど(Bブロックのラスト2組以降)だけ見ました。
2晩はさんで印象と記憶に残っていることや思ったことをアトランダムに。
見始めて2組目、大会史上最高の99点を獲得したA-Zの演奏は、和音の溶け合い具合が抜群だと、古典的合唱のほうが馴染み深いせきの耳には聴こえました。
演★パクトの「天城越え」は1人1パートよりも、そこそこ人数のいる合唱で歌うほうが演奏効果の挙がりそうな編曲かな。
AS★KNOWの「POP STAR」を聴き、オリジナル歌手・平井堅の一人多重録音アカペラ曲「キミはともだち」を思い出しました。
この手のアンサンブルだと譜面に起こす形で編曲するのが一般的だと思うのですが、審査員で譜面を見ている人がいなかったような……。合唱コンクールだと譜面を提出する大会も多いんですけども。
あ、立教大学生によるグループ・ジュブナイルと、せきの出身団体・立教大学グリークラブとの関係は存じません。

ハモリ倶楽部 8月号

ハモリ倶楽部 8月号

「Nコンマガジン ハモリ倶楽部」の、昨日8月29日に放映された回について。
合唱部訪問VTRは鹿児島女子高。
「週1コース」なるものを部員を増やす策として導入しているとのことでした。塾やお稽古事に通う学生でも参加しやすいようにというものです。ふつう夏休みは朝から夕方まで毎日のように6時間の練習なのに対し、週1コースでは木曜の午前中だけ練習に参加すればOKだそうで。これで3名が週1コースとして参加しています。
そして迎えたNコン県大会。鹿児島女子高の週1コース参加者でオンステしたのは3名中2名、あと1名は客席で聴いていました。そしてめでたく金賞を獲得、県代表となり、週1コース参加者は皆さん揃って正式入部でめでたしめでたしという顛末。
週1コースは練習が少ないと音楽を体に入れて暗譜するのがが大変そうな気もしますが、それよりも垣根を低くしようとすることが面白い試みだと思いました。
ルポVTRに続き、Nコンリポートの数々。順番が前後してたらご容赦。
その1。
神奈川県大会・中学校の部で、いきものがかり(課題曲「YELL」作者)がサプライズゲストとして登場。当然、会場は大盛り上がり。2階席だか3階席だかの片隅に隠れて本編をずっと見ていたとのことです。
ヴォーカルの吉岡聖恵さんは中学校時代合唱部員、しかも部長経験もあるそうで、Nコン県大会に出場したときの1シーンが流れていました。
その2。
高校の部の課題曲の後半にあるアドリブOKな箇所だけ次々とVTRが流れました。
そこで顧問の辻秀幸氏が、またまた「ロマンチストの豚」を歌いながら(回を追うごとに歌うフレーズが長くなってきているような)登場。課題曲お披露目番組「春だ! ジャンプだ! 合唱だ! ——Nコン2009開幕!——」で高校の部の課題曲・女声バージョンの参考演奏を指揮した辻顧問は、ハモリ隊と藤井まどかアナウンサーによる輪唱「かえるのうた」と一緒に、ゴリ部長とダブルダッチ(持ちネタ「ラジバンダリ」で有名になったレッドカーペット芸人。今月の新入部員という設定)に蛙から連想するオノマトペを口ずさませるという形で、アドリブのポイントを実演指導しました。
そういえば、藤井アナは、小学生・中学生と合唱部員だったことを、今回3回目になってカミングアウトしてましたね。
その3。
今年初の企画「クラス合唱選手権」の中間報告。せきの知るクラス合唱って普通に歌うだけだったように思いますが、いろんな曲をバリエーション豊かに披露している学級が多いようで。
続いて「ロングトーンバトル」。
感想は6月号・7月号のリポートで書いたことの繰り返しになるので割愛。
今月のチャンピオンに輝いた男子部員はオードリー・春日の真似をしながらの登場だったのですが、その次に登場した部活VTRで「○○学校○○部です」と名乗った男子部員(出場者とは別人)がナチュラルにちょっとオードリー・若林っぽかったような気がしました。
次回は今年度の最終回、9月19日。来年度もやるのかどうかは知りません。

ハモリ倶楽部 7月号

ハモリ倶楽部 7月号

前回以上にいまさらながら、「Nコンマガジン ハモリ倶楽部」の、先月25日に放映された回について。

まず、全校生徒34人全員が部員という福島市立立子山中学校合唱部を訪問したルポVTR。

緊張して本番に弱いのをどうにかしたいということで、コンクール強豪として全国にその名をとどろかす福島県立安積黎明高等学校コーラス部の練習にお邪魔して歌うという、TV番組の企画でなきゃ思いもつかないような解決策をとることに。福島市から安積黎明高等学校のある郡山市までは、同じ中通り地方とはいえ割と距離ありますからねえ。

まず立子山中学校合唱部が歌ったときはアガリに潰されてしまったと凹み、安積黎明高等学校コーラス部の演奏を聴いてショックの追い討ちを受けたものの、コーラス部の副部長さんによる「他のメンバーを信頼しあい、聴き合って歌っては?」というアドバイスに助けられ、立子山中の生徒会長さんがリベンジを申し出て、本番への弱さを克服する糸口を見つける演奏ができたとかいう展開でした。

ルポVTRに続き、全国各地の合唱部で取り入れている緊張克服方法の紹介VTRや、大脳生理学だか心理学だかの先生がアガリ克服の研究データについてコメントしたVTR。

ひとしきりスタジオが盛り上がったところで、顧問役の辻秀幸氏が前回に引き続き「ロマンチストの豚」を歌いながら入場し、「緊張を取り除こうとするより、緊張とうまく付き合ってゆくようにしたほうがよいのでは」みたいなアドバイス。おっしゃること自体はうなずけるものですが、その前のVTR(特に学者先生のインタビュー)との温度差に違和感を否めなかったのも事実です。

前回はこのあとにハモリ隊メンバーによるルポVTRがあったんですけど、今回はなかったような気が(うろ覚え)。

続いて「ロングトーンバトル」。

ロングトーンというのはブレスコントロールを鍛えるため、もしくはその成果を見せるためという目的が含まれたことのはず。なのに、途中から蚊が飛ぶみたいに音の高さが上下に揺れていた出場者がいました。狙ってヴィブラートをかけているわけでなく、明らかにブレスコントロールが不十分な声。そんなのじゃ30秒も40秒も伸ばしたところで意味はないと思うんですがね。

エンディングに告知。Nコン本体の企画「クラス合唱選手権」関連とか、中学生の部の課題曲「YELL」いきものがかりセルフカバー版が「みんなのうた」で流れるとか。

次回は今月29日。

ハモリ倶楽部 6月号

ハモリ倶楽部 6月号

いまさらながら、「Nコンマガジン ハモリ倶楽部」の、先月18日に放映された回について。
NHK全国学校音楽コンクール(Nコン)PR番組という名目ではありますが、実質的には中高生向けの合唱情報バラエティってほうが近いですね。中高生じゃなくても楽しめると思います。
まず「全国のユニークな合唱部」として、仙台市立西山中学校男声合唱団を訪問したルポVTR。
Nコンは男声合唱団の参加が極めて少ないというのが衝撃的でした。中学・高校全団体のうち男声合唱団は0.4%だそうで。つい最近、第61回〜第75回(平成6〜20年度)の課題曲集が出版されたんですが、高校男声のだけ出版されなかったのはこういう背景なのでしょうね。もっとも、どっちにしろ男声合唱が冷遇されていることには変わりないわけで、男声合唱愛好者としてはとても残念な思いをしました。
ルポVTRを踏まえ“合唱と男子”をテーマに小ディスカッションが行われましたが、「男声合唱団の参加が極めて少ない」→「合唱に消極的な男子生徒が多い」という話題の転換が無自覚になされ、話がすりかわった(人聞きの悪い表現ですみません)かのような印象を受けました。
そこから、男声が加わるとアンサンブルに厚みが出ることを、本年度中学校の部課題曲「YELL」を題材に出演者一同で実演したんですが、実演した箇所では男声がスキャットだけ。どうせなら全員が縦割りでハモる場所を歌うほうが説得力が増すだろうに。
そういえば、なんか妙に木下牧子作品がフィーチャーされてましたね。西山中学校男声合唱団の練習風景では「サッカーによせて」(曲集「地平線のかなたへ」より)を歌っていたり、顧問としてちょこっと出演した辻秀幸氏が「ロマンチストの豚」を歌いながら登場したり。
続いて、ハモリ隊を名乗る若手女性タレント5名のうち2名がウィーン少年合唱団来日公演の舞台裏におじゃました模様のVTR。
昨年度中学校の部課題曲「手紙」を取り上げたことが紹介されていました。唯一の日本人団員であるカイ・シマダくんによる発音指導および歌詞解説の甲斐あって、なかなかさまになった演奏でした。
最後に「ロングトーンバトル」という対決企画。
どれだけ長く一息で音を発声できるかを競うもので、全国の合唱部員9名がVTRで出場しました。
せっかく声楽家の先生をお呼びしているのですから(このコーナーには出ておられませんでしたが)初回ということでコツなどを解説していただけるともっとよかったのではと思います。
次回は今月25日。都合がついたら見るつもりです。

春だ! ジャンプだ! 合唱だ!

春だ! ジャンプだ! 合唱だ!

2009年度NHK学校音楽コンクールの課題曲をお披露目する番組「春だ! ジャンプだ! 合唱だ! ——Nコン2009開幕!——」を、ようやく昨日5/09の再々放送で、家でデスクワークをしながら見ました。

番組最後に、先月オンエアが終わった課題曲解説番組の宣伝をそのまま流していたのは、さすがにまずいと思いました。


小学校の部の課題曲が2曲から選ぶ方式になった理由について知らずにいたままでしたが、オンエアで説明があったのですね。
経緯を記しておくと、作詩者の覚氏がA案・B案みたいな感じで詩を2つ書いて持っていったところ、作曲者の千住氏が「どちらも素晴らしい詩だから両方に曲をつけよう」ということになり、2曲ができたということだそうです。で、キャラクターが異なる歌なので、歌い手の個性に合うほうを選んでもらおうということでああなったと。
「ここからいちばん とおいところ」と「夢の太陽」は、将来もしかしたら兄弟姉妹にあたる曲が書き足されて組曲にまとめられるのではないかという予感がしました。


中学校の部の課題曲や、いきものがかりの説明については、『いきものがかりの合唱部にエール!』と重複する映像がありました。

鷹羽氏によるアレンジは、原曲の持ち味を最大限に生かしつつ(合唱として歌われることを想定して書かれたものである点を差し引いても)合唱曲としての演奏効果も遺憾なく発揮される見事なものだと思います。ポップスの合唱編曲って往々にしてダサさや野暮ったさが付きまとってしまうんですが、昨年の「手紙」も今年の「YELL」もそういう劣化が感じられない。


高校の部の課題曲は、あの詩に寄り添って作曲するとああいう曲になるんだなと思いました。池辺晋一郎氏や多田武彦氏らが「詩の流れや場面転換に沿って音楽を切り替える」みたいな発言を時折しますが、その具体例ですね。

詩そのものは1990年代のガールポップやバンドにありそうな感じで、ポップスやロックとしてなら終始アップテンポに作曲するアーティストがいても不思議はないかな。

せきは大島ミチル氏を「Shalion」(昔フジテレビ系列で放映していた「ワーズワースの庭で」「ワーズワースの冒険」の主題歌)で知ったので、異国情緒を感じさせる作風という印象を抱いていました。男声合唱界に足を踏み入れてから聴いた「御誦」や「パパラギ」は、その印象を裏打ちする要素が多いように思います。もっとも、1990年代あたりから劇音楽を積極的に手がけるようになってからの大島作品はここまでに書いた印象とは異なる方向に展開していて、「あの空へ 〜青のジャンプ〜」も異国情緒は皆無です。むしろ劇音楽作家ならではの引き出しの多さが感じられます。


小学校の部の課題曲選択制といい、高校の部の課題曲でアドリブのスキャットやボディパーカッションが取り入れられたことといい、歌い手の個性・自発性を引き出そうとする傾向が感じられます。おそらくは、昨年の中学校の部の参考演奏で、楽譜にない手拍子(この手拍子は、作者によるセルフカバーでも若干リズムを変えた形で反映された)を指揮者・雨森文也氏が付け足したことが影響しているのでしょう。いずれ、柴田南雄氏の「追分節考」「北越戯譜」や高橋悠治氏の合唱作品群みたいに、楽節の断片がバラバラに提示された形の譜面から歌い手が自由に音楽を組み立てるようなものが課題曲になることがあるのかもしれないですね。


アドリブといえばで蛇足ですが、「御誦」には、ピアノとパーカッションがアドリブで応酬しあうインプロビゼーション部分が、作曲後の改訂で挿入されたはずです。せき自身は演奏経験がなく(立教大學グリークラブOB男声合唱団がOB六連で演奏したとき、せきは客席で聴いておりました。OB男声と疎遠になっていたため練習には全く参加せず)譜面を見たことしかないので詳細は記憶にありませんが。