知り合いがいる女声カルテット「水玉、スキとキライ。」が単独演奏会をやると聞きつけ、新潟市中央区へ聴きに出かけてきた。
このグループの生演奏は、初舞台となった2016年1月の「ながおかまちなか♪コンサート vol.5」以来。その直後声楽アンサンブルコンテスト全国大会に出場したり、今年夏に軽井沢国際合唱フェスティバルのアンサンブルコンテストに出場したりなどにより、全国規模で知名度アップ。
新潟までは在来線で移動。新潟駅の中で昼飯をいただき、バスで新潟市東地区公民館へ。
だいぶ早目に着いたので、スマートフォンいじりなどで時間調整し、開場時間の13時半めがけて会場の部屋へ。直前調整を続けていたメンバーから留守番を頼まれた。
14時開演。和やかな空気の演奏会。メンバーがかわるがわるMC役としてしゃべる形で進められた。
MCでは演奏会の主旨も説明された。練習会場で親しくなった「田巻のおっちゃん」という男性から「自分の葬儀で流したいので、あなた方の歌声を収めたCDが欲しい」とリクエストを受け、せっかくなら聴衆を入れた場で演奏会のライブ録音をしようということで企画された由。
会場にはパイプ椅子が十数脚並べられた。入りは8割くらい。最前列中央は田巻のおっちゃんご夫妻のための招待席であった。
オープニング
- 「積水ハウスの歌」
作詞:一倉宏/作曲:小林亜星/編曲:信長貴富
初舞台の最初にも演奏されたレパートリー。カルテットの特性と相性が良く、名刺代わりにふさわしい持ち歌だと思う。
金子みすゞの世界
- 幻灯
作曲:北川昇 - 打出の小槌
作曲:北川昇 - 空と海
作曲:北川昇
パンフレットには記載されていなかったが、無伴奏女声合唱曲集「見えないもの」からの抜粋という説明あり。全5曲の第1〜3曲ですね。
第2曲のタイトルについてパンフレットに余計な送り仮名があるという訂正アナウンスあり。上記も含め、当記事では誤字などを修正してます(ただしアルファベットはASCIIで表示可能な範囲に改変しました)。
外国語の曲
- Adoramus te, Christe
作曲:Orlando di Lasso - Ave Regina caelorum
作曲:Manolo Da Rold
今夏、軽井沢国際合唱フェスティバルで、招待合唱団のamarcordからレッスンを受けたという曲。少し緊張気味だったように見受けられた。
ちょっとハードな曲
- Psalmus 8
作曲:Petr Eben - Ama Musicam! Amor Musicae!
作曲:Zdenek Lukas
いわゆる現代系の楽曲たち。Petr Ebenという名前はコンクール自由曲(すぐ思い浮かぶものだと「永遠の美容法」など)で目にすることがある。
ご自身はハードな曲とおっしゃるが、破綻なく、むしろ独特の個性がにじみ出た演奏と思う。メンバーの3人がいる合唱団NEWSのパフォーマンスに近い雰囲気かも。
ここで中休み。パンフレットでは「休み休み いくぞぉ」と。休憩中は部屋の脇に備え付けられたお茶道具やお菓子のサービス。
遊び唄、わらべうた
- あんたがたどこさ8
編曲:信長貴富 - 一番はじめは
編曲:信長貴富
「無伴奏女声(同声)合唱のための 7つの子ども歌」からの抜粋。和音の変化が面白い。
おっちゃんも大好きな曲
- 花嫁人形
作詩:蕗谷虹児/作曲:杉山長谷夫/編曲:池辺晋一郎
このたびの演目で最も苦戦のあとが見えた曲。ただ、途中で事故が起きてしまう。
切り絵を嗜む田巻のおっちゃん曰く「花嫁人形の切り絵を作ったのに持ってくるのを忘れていた」。
お待たせしました、唱歌コーナー
- 里の秋
作詩:斎藤信夫/作曲:海沼実/編曲:信長貴富 - 赤とんぼ
作詩:三木露風/作曲:山田耕筰/編曲:信長貴富 - 砂山
作詩:北原白秋/作曲:中山晋平/編曲:坪野春枝 - 冬の夜
文部省唱歌/編曲:坪野春枝 - ふじの山
文部省唱歌/作詩:巌谷小波/編曲:坪野春枝 - 青い目の人形
作詩:野口雨情/作曲:本居長世/編曲:坪野春枝 - ゆりかごの歌
作詩:北原白秋/作曲:草川信/編曲:坪野春枝
信長編曲は『ノスタルジア』、坪野編曲は『ア・カペラ コーラス「日本の童謡と唱歌」』からのチョイス。『ア・カペラ コーラス「日本の童謡と唱歌」』についてメンバー曰く「比較的とっつきやすい編曲で演奏効果もあって、おすすめ」と紹介。
こういう曲の演奏でリラックスした空気が流れるのは素晴らしいこと。
みなさんご一緒に
- あめふりくまのこ
作詩:鶴見正夫/作曲:湯山昭/編曲:坪野春枝 - ふるさと
作詞:高野辰之/作曲:岡野貞一 - 花嫁人形
作詩:蕗谷虹児/作曲:杉山長谷夫/編曲:池辺晋一郎
1曲目は「おっちゃんのリクエスト曲」。曲目リストから田巻のおっちゃんが選ぶという企画だったが、ご本人には決められなかったので令夫人のリクエスト。それに応え、メンバーがその場で譜面を見ながら初見っぽい状態で合わせたが、とてもそうは聴こえない練れたアンサンブル。
2曲目は一同での斉唱。
最後に、先に歌った曲のリベンジというかリテイクというか。つい最近まで私も混声版に取り組んでいた(水玉、スキとキライ。メンバーのconさんに助太刀をお願いした)ので実感として分かることだが、この編曲のソプラノパートは中音域と高音域を反復横飛びのように行き来する跳躍が多かったり、高音域をピアノで伸ばしたりする箇所があり、木下牧子作品や上田真樹作品あたりと同様な声楽スキルが要求されるのである。頑張って歌い通すが、メンバーは悔いが残る様子であった。
メンバー諸氏に軽く挨拶をして、帰宅。コンサート中はちらついていた雪も、終演後やんでいた。