「第70回全日本合唱コンクール全国大会」大学職場一般部門についての感想など。
今回は表彰式(両日とも)と、初日に第70回記念の特別企画として行われたミニコンサートについて。
11月25日
開場から程なく、まだミニコンサートが始まってないはずなのにホールから歌声が聞こえてきた。慌てて客席に入ると、大学ユースの出場団体による歌合戦が繰り広げられていた。ただ途中で、全体の進行役を務めた東京都合唱連盟・三好草平事務局長による「皆さん楽しく歌っているのを遮るのは心苦しいんですが、時間ですので」という制止で、歌えなかった団もあった。
さて、この日は表彰式の前に、全日本合唱コンクール課題曲の歩みを概観するミニコンサートが行われた。
- 70回記念特別コンサート
- 指揮:藤井宏樹/合唱:合唱団 樹の会/ピアノ:浅井道子
ナビゲーター:清水敬一
- 1948年(昭和23年)第1回【女声】
「山のかなた」
作詩・作曲:平井保喜(平井康三郎) - 1963年(昭和38年)第16回【男声/高校・職場用】
「夜明け」
作詩:伊藤整/作曲:高田三郎 - 1973年(昭和48年)第26回【混声】
「O magnum mysterium 永遠の奇蹟」
作曲:Tomas Luis de Victoria/訳詞・編:皆川達夫 - 1996年(平成8年)第49回【混声】
「春愁三首」(公募入選作)
作歌:大伴家持/作曲:信長貴富 - 2005年(平成17年)第58回【混声】
「Letztes Glueck」(“Fuenf Gesaenge”より)
作詩:Max Kalbeck/作曲:Johannes Brahms
ナビゲーター清水氏の役目は、曲紹介と司会進行。清水氏はしきりに「こんな演奏会をたった300円で聴けるなんて」とおっしゃっていた。
「山のかなた」は唯一のピアノとの共演曲。時代色は否めないが、演奏はまったく古めかしくなく、むしろ瑞々しい。
「夜明け」は、詩のチョイスが若かりし日の作曲者ならでは。
「O magnum mysterium」はまず日本語詞で演奏された。「O(と) ma(わ)-gnum(の) my(き)-ste(せ)-ri(き)-um(を)」みたいな調子で、原文と韻をふみつつ日本語として意味の通る見事な訳詞。最後まで聴きたいところ、清水氏の小芝居により早々に中断され、改めて原文で最初から最後まで歌われた。翌日、訳詞者の皆川先生と路上ですれ違いご挨拶する機会があったが「あの訳詞すばらしいですね」と申し上げそびれた。
「春愁三首」は、コンクール課題曲として取り組むには歯ごたえの強そうなサウンド。でもさすが現代ものにも信長作品にも慣れ親しんだ樹の会、堂々たる音空間を築き上げた。
締めくくりのブラームスも、コンクール本編の出場団体に引けを取らない演奏。ちなみに、藤井氏の指揮する合唱団が全日本合唱連盟のコンクールから卒業したのは、かの曲が課題曲に選ばれた年度の3〜4年ほど前で、メンバーにはまだ合唱を始めていなかった人もいらっしゃったのではなかろうか。
このあとに続く表彰式も含め、カミ手側のバルコニー席で拝見・拝聴した。極上の響きを堪能したし、藤井宏樹氏の指揮を背中側でなく前から見るのも興味深かった。藤井氏のタクトと合唱団の歌声は1拍ほどタイムラグがあるように見受けられる。この種のタイムラグは悪いことではなく、オーケストラ演奏でもみられる現象というし、とある指揮者(お名前失念)によると独特の重厚さやグルーヴ感が生まれるのだという。
ミニコンサート後、中休みが挟まる。舞台上に椅子が並べられ、表彰式スタート。
成績発表に先立ち、審査員講評や、お歴々のスピーチや、朝日作曲賞の表彰式が執り行われた。
スピーチの中で、東京都合唱連盟副理事長・松下耕氏の「各地域に名産品があるけど、東京にはこれというものがない」「いろいろな地域の代表が集まって行う全国大会だからこそ、広い視野をもとう」「コンクール全国大会の出場団体が日本国内にとどまっているのはもったいない。全日本合唱連盟の岸信介理事長にも言っているんだけど、日本トップクラスの合唱団として海外で演奏会を開いたらどうか」「自由曲に平和への祈りがこめられた曲目が多く選曲されたことは意義深い」といったお話が印象に残っている。
大学ユースの部の皆さんは、自分の団体が金賞と分かった瞬間、アナウンスを掻き消すほどの大歓声で喜びまくり。素直さをまぶしく思う反面、せめて団体名や賞の名前を言い終わるまで待てばいいのにとも感じた。室内合唱の部の皆さんはそういうことはなかった。
朝日作曲賞の表彰式がらみで、ホテルで以下のツイートをした。
朝日作曲賞佳作の鈴木さん、授賞式で川越高校→東工大コールクライネスという略歴が紹介されました。川高音楽部では学生指揮者を務め、当時わたくし川越在住で定期演奏会を聴きに行きましたが、学指揮ステージで自ら編曲したポップスを振ったことが記憶に残ってます。玄人裸足な編曲だったような。
— せき (@chor16seki) 2017年11月25日
私が川越高校音楽部の定期演奏会を聴きに出かけたことは確か2回ほどあります。そこで学生指揮者だったのは、片方が先ほどツイートした鈴木有理さん、もう片方が益楽男グリークラブや名前のない合唱団などで活動している平田由布さん。高校合唱部の学指揮で近年もお名前が残っているのは凄い話です。
— せき (@chor16seki) 2017年11月25日
ところが実は上記には記憶違いによる虚偽が混入していたことを大みそかに発見。慌てて訂正ツイートをした。
広く拡散いただいたツイートに事実と異なる記述があるため今更ながら訂正します。「川高音楽部では学生指揮者を務め」が間違いです。当時の学指揮は別ツイートに書いた平田由布さんで、鈴木有理さんはパートマスターでした。別ツイートで証拠写真を添付します。https://t.co/RHUO83oQwK
— せき (@chor16seki) 2017年12月31日
川越高校音楽部第47回定期演奏会プログラムパンフレットより。1997年7月21日の開催。大掃除中に発掘したものです(別室にあるかと思ったら手元にとっておいてあった)。 pic.twitter.com/ucTnD6Hl0T
— せき (@chor16seki) 2017年12月31日
11月26日
2日目の表彰式についても本記事に記す。コンクール本編が長かったこともあり、表彰式はスピーチと賞状授与のみ。
このときはシモ手側のバルコニー席で拝見。
東京芸術劇場コンサートホールには各種通信機器の電波を遮断する装置が備え付けられていて、コンクール中はそれが作動していた。だが最後の閉会式では「皆さん実況したいでしょうから」という主催者側の計らいで電波妨害装置がoffになった。
計らいに甘え、せきも以下の実況ツイートをした。
表彰式にて、新実徳英審査員いわく「総合講評をやる気は全くありません」「きのう松下耕ちゃんが言っていた通り、広い視野でいきましょう」「ノヴァーリスは『芸術は人間精神の高みに上るものです』と言いました。僕の座右の銘です。芸術を音楽に置き換えても当てはまると思います」
— せき (@chor16seki) 2017年11月26日
最後の最後までいたかったけれど、新幹線終電に乗らなければいけないし、進行が押していたしで、これから賞状授与が始まるというタイミングで退出。