今回より「第70回全日本合唱コンクール全国大会」大学職場一般部門を聴いての感想。個々の団体について書く前に、課題曲のいくつかについて大雑把に記す。
全日本合唱コンクールの新潟県大会に出る混声合唱団は例年なぜか取り上げる課題曲がG1に集中する。今年は名島啓太氏の指揮する団体がG3を選んだので少し目先が変わったが、G2やG4は全国大会で初めて聞き、新鮮な思いだった。
M4については全国大会で演奏した団体がなかったし、女声部門は比較できるほどの団体数を聴いていないし、G1・M1・F1(ルネサンスもの)については当方の素養や能力的な事情で総括ができないため、本記事で触れるのはそれ以外。
あ、G1やM4などの略号が何の曲目をさすかの説明は最小限にとどめます。詳しくはパナムジカ公式サイト「コンクール情報」の「平成29年度(第70回)全日本合唱コンクール課題曲」を参照ください。
G2「Salve Regina」
Divisiがないけど、息の長いフレージングが求められ、1パート1人での演奏は至難な印象を得た。そこそこ以上に人数がいるほうが演奏効果のあがりやすい曲といえよう。
ソプラノが声楽的に大変そう。最初のほうに、五線の中を動く旋律で瞬発的に2点g(五線外の高いソ)が出てくる箇所があるが、その2点gだけ声質が変わりフレーズから遊離してしまった演奏が大半に聞こえた。最後の2点d(五線の中のレ)が消えてしまった団もあった。
後半、ソプラノの旋律をすぐテノールが受け継ぐ箇所がある。どこの団体も旋律を受け渡していることが伝わり、さすが全国大会と感服。
G3「子どもは」
三善作品は演奏者による違いが出にくいという思い込みがあったけど、団体によって光の当て加減などが異なり、思い込みが覆された。
最初のほうに「黒い王様」を連想する和音進行の箇所がある。
G4「まぶしい朝」
G4は前年度の朝日作曲賞受賞作から選ばれる、いわば書き下ろしの新曲。例年に比べると取り上げる団が多かったのが今年の特徴という指摘をしばしば目にした。
一聴して、萩原英彦作品を思い起こした。F3が萩原作品だったものだから余計に萩原作品とのアナロジーを意識してしまう。F4が作曲者の師にあたる鈴木輝昭作品だけど、ずいぶん印象が違う。
M2「Seigneur, je vous en prie」
『アッシジの聖フランチェスコの4つの祈り』第3曲。
組曲の中では間奏曲的な役割で、この曲だけ抜き出して演奏を成立させるには結構な表現力が求められるように思う。第1曲や第2曲のほうが単発で取り上げやすいだろうに。
M3「葉月のお月」
『わが歳月』第4曲。
こちらはM2と違い、組曲が個別にキャラクターの立った曲で構成されていて、ある曲だけ抜き出して取り上げることがしやすい。
高嶋昌二氏の指揮でこの曲を聴いてみたかった。氏の指揮する男声合唱団はM2を取り上げた模様。