私、せきが合唱団の一員として出演する第3回小千谷市民オペラ「ラ・ボエーム」について、このたび演出を担当する中島康晴先生があらすじを(最後の註釈も含めて)書いてくださいました。上演前ですがPRのためなら拡散OKとのことなので、当ブログに転載いたします。是非是非お運びをいただければ幸いです公演は盛況のうちに終演しました。
『ラ・ボエーム』あらすじ(全4幕)
原作は西吉谷の郡殿の池に住んでいたとされる伝説の河童が北越戊辰戦争を目の当たりにし、のちに人間の姿になって慈眼寺に残した物語に、東吉谷出身の作曲家ショナールがメロディーをつけ作曲しました。今回はイタリア語に変更しての初演。不完全版。
舞台は1890年代の小千谷。貧しい芸術家たちの友情と恋と、そして悲劇的な別れを描いた物語です。
第1幕:おんぼろ長屋での出会い
寒い新嘗祭、詩人ロドルフォと浮世絵師マルチェッロは小千谷のおんぼろ長屋で暖を取るため、ロドルフォの漢詩を書く半紙を燃やしている。思想家コッリーネと作曲家ショナールも加わり、貧しくも陽気な芸術家仲間が集う。ショナールが食料や薪を持ち帰り、大家ベノアが三か月の家賃を取りに来るが麻雀で負けさせ、家賃とそれまでの借金をチャラにしてしまう。気持ちよく皆でお茶屋・モミウス(籾臼)へ出かけようとするが、ロドルフォは同人誌「粕と炉」の原稿の仕上げのため残る。
そこへお針子のミミが灯明の火を借りに訪れる。彼女は体調を崩して倒れ、ロドルフォに介抱される。鍵を落としたミミと暗闇で探すうち、二人は互いに惹かれ合い、自己紹介のアリアを歌い合う。恋に落ちた二人は仲間を追って小千谷闘牛場の角突きへ出かける。
第2幕:喫茶・モミウスの喧騒
賑やかな闘牛場内の出店モミウスで、ロドルフォはミミに頭巾を贈る。仲間たちとお茶屋で食事を楽しむ中、マルチェッロの元恋人ムゼッタが小千谷の有力者アルチンドロと現れる。ムゼッタはマルチェッロの気を引こうと誘惑し、ついには靴が痛いと騒ぎ、アルチンドロを困らせる。
その隙にムゼッタとマルチェッロは再び愛を確かめ合い、仲間たちはアルチンドロに勘定を押し付けるが、あまりの高額の為払えず、「無銭飲食の者は罰として牛と戦う」というお茶屋モミウスの決まり通り、牛と戦うことになる。闘牛場を行きかう見物客に紛れて、ロドルフォ達は意気揚々と立ち去る。
第3幕:別れの予感
冬の早朝、慈眼寺門内・中庭・本堂。コッリーネとショナールは座禅を組み、厳しい修行に耐えている。小千谷の民は戊辰戦争で戦死した武士の墓参りに訪れる。河童和尚に挨拶をし、故人を弔う。ミミは激しく咳き込みながら襖絵を描くマルチェッロを訪ね、ロドルフォとの関係に悩んでいると打ち明ける。ロドルフォは嫉妬深く、冷たくなったという。マルチェッロはロドルフォが小千谷談判の間で寝転がっていると告げる。
ロドルフォが現れ、マルチェッロにミミの病気を心配していると語る。ミミはその会話を陰で聞き、涙ながらに姿を現す。二人は互いの愛を再確認するが、病気と貧しさのため、春までの別れを決意する。
第4幕:最後の別れ
翌年の春。再びおんぼろ長屋。ロドルフォとマルチェッロは恋人との別れを嘆きながらも、貧しいながら明るく過ごしている。ショナールとコッリーネも加わり、仲間たちは冗談を交わすが、お団子をめぐって争いを起こしてしまう。
そこへムゼッタが瀕死のミミを連れて現れる。ミミはロドルフォの腕の中で最後の時を迎える。仲間たちは薬や手当てを探すが、手遅れだった。ミミは初めてロドルフォと出会った寒い新嘗祭の夜を思い出し、暗闇の中で鍵を探しながら互いの手が触れ合い、心が通じ合った思い出とともに、恋人の腕の中で静かに息を引き取り、ロドルフォは絶望の叫びをあげて幕が静かに閉じる。
※このあらすじはフィクションです。実際のオペラ「ラ・ボエーム」のあらすじとは相当違う点がある事をご留意ください。