2010/11/3・4の日記(その3):第101回立教大学グリークラブ女声定演
前記事「2010/11/3・4の日記(その1)」では触れなかった演奏会リポートの第2弾。
11月4日の晩「第101回立教大学グリークラブ女声合唱団定期演奏会」を聴きました。
まずお断り。いつも以上に長い記事になった上、批判的な記述が多めです。頭ごなしの罵詈雑言や放言は差し控えたつもりですが、気分を害する方がいらっしゃるのではという不安が拭い去れません。あらかじめお詫び申し上げます。
「合唱アンサンブル.com」の中の人のメモランダム。当ブログの記事はあくまで私的発言で、係わりある団体や組織の見解を代表するものに非ず。
立教大学グリークラブ現役およびOBOG。OBやOGによる合唱団も含む。
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11月4日の晩「第101回立教大学グリークラブ女声合唱団定期演奏会」を聴きました。
まずお断り。いつも以上に長い記事になった上、批判的な記述が多めです。頭ごなしの罵詈雑言や放言は差し控えたつもりですが、気分を害する方がいらっしゃるのではという不安が拭い去れません。あらかじめお詫び申し上げます。
一昨日付けエントリ「グリフェス動画 公開スタート」で紹介した動画以外の、立教大学校歌・応援歌の合唱編曲について、知る限りをまとめてみます。
混声合唱では、石丸寛氏による編曲が歌われていた時期があったようです。せきは、OB男声合唱団「愛唱曲集」の編集を手伝わせていただいたときにこの編曲を知りました。
女声合唱では、北村協一先生による編曲が歌われています。演奏会のエールとしてピアノ伴奏が付きます。それ以外の場ではアカペラでも演奏されます。途中「雲居」のモイについて正規の校歌では付点4部+8部なのが、なぜか4部+4部の均等割りで長らく演奏されています。せきの現役時代、女声に「そこのリズムは付点4部+8部が正式だから」と言ったことがあるんですが聞き入れていただけず現在に至る次第。
男声合唱版も北村協一先生による編曲があり、女声合唱と一緒に混声7パートで演奏可能になっています。確か昭和63年卒団の代(キャプテンは卒団後、北村先生の還暦祝賀として多田武彦先生に書いていただいた「Ful Ful Wonderful」を作詞した人)が幹部だった年度に書き下ろしてもらったものです。エールにしては凝った編曲で、普通に終わるバージョンと、「St. Paul’s will shine」と連呼するバージョンの2通り、エンディングが用意されています。いずれのバージョンも曲の終わりでTop TenorにHi-Bが出てきます。一時期、男声定期演奏会のアンコールで「神ともにいまして」の前に次年度の学生指揮者がこの曲を演奏していたことがありますが、近年は公的な場では演奏されていないようです。
もう一つ、山古堂氏のブログの「第1回 大学合唱最古の録音」に紹介されている、辻荘一名誉部長先生による合唱編曲に西垣鐵雄氏がオーケストラ伴奏を付けた編曲があります。せきは未聴ですが、おそらく前回紹介した編曲を男声合唱で演奏したものと思われます。
男声合唱編曲がいくつかあります。せきが知っているのは2つ。
一つは、前述の山古堂氏のブログ記事で紹介されている、西垣鐵雄氏によるオーケストラ付き編曲。これについては「山古堂所蔵音源」という記事でMP3版の音源が聴けます(いつまで聴けるかわかりませんが)。
もう一つは、ビクターだったかのレコードに収録されている男声無伴奏合唱。ずいぶん前に聴いた音源なので編曲者などのディテールは失念しましたが、鶴岡陽一氏の編曲に若干の手を加えたものです。具体的には、短2度(半音)だったかキーが下げられており、一部フレーズで鶴岡版では違う動きをするTop TenorとSecond Tenorがユニゾンになる程度の違いだったような。
前回の記事に書いたとおり、「女がセントポールを歌うなんて」という抵抗があったため、男声合唱以外の編成で歌われることは長らくありませんでした。
せきがOBになって何年かたってから、グリーフェスティバル後の懇親会などで男女一緒に「St. Paul’s will shine Tonight」を歌うようになりましたが、女声パートは主旋律をなぞっていました。
新たなる動きがあったのは1999年。
11月6日に開催された、グリークラブOB会と立教大学オーケストラOB会の出演による「立教学院創立125周年記念演奏会」で、混声合唱とオーケストラで立教ソングを歌うことになったのです。
そこで、不肖せきが女声3部(全パートにdiv.あり。ただし同時に鳴る音は最大4声)に編曲したものをこしらえました。鶴岡氏による男声合唱編曲をなるべく忠実にトランスクリプトし、女声だけでも、あるいは既存の男声版と合わせて混声7部でも演奏できるようにしたものです。
初演は、混声7部合唱に、他の方(失念、いまパンフレットが見当たらなくて確認できず)の編曲によるオーケストラを合わせた形で、昭和56年卒・高坂徹氏のタクトにより執り行われました。
その後2〜3年ほど、グリーフェスティバルのアンコールなどで、この混声7部版を演奏していただきました。
現役女声の愛唱曲集にはわたくしの女声3部バージョン楽譜も掲載していただいた時期があり(今もそうなのか存じませんが)、グリー内輪のイベントで女声だけで演奏してくださったこともあるようです。
ただ、のちに鶴岡氏ご本人が女声パートを2声に簡略化したバージョンを作り(大方わたくしの編曲が拙かったせいでしょう……)、混声合唱としては現在そちらが専ら演奏されています。
立教大学には第6まで応援歌が存在しますが、第1・第2以外の公式な合唱編曲は今年まで作成・演奏されなかったはずです。
手前味噌ながら、せきは大学3年ごろからOB男声合唱団に混ぜていただいていた時期までの間、趣味で合唱編曲をたしなんでおり、立教の応援歌群も男声合唱にアレンジして遊んでいました。第3応援歌は、OB男声合唱団の愛唱曲集に載せていただいたことがあります。第1応援歌は現役の某演奏会マネージャーから演奏したいという個人的な打診をいただいたことがあり快諾したのですが、結局お流れになってしまいました。
せきの書いた編曲の中で実際に演奏していただいたのは、前述の女声3部版「St. Paul’s will shine Tonight」が今のところ唯一です。
わたくし以前にも、応援歌の合唱編曲を試みた立教グリーファミリーメンバーはいらっしゃったことと思います。
立教大学グリークラブOB会の公式サイトに「動画コーナー」なるものができました。オープン第1弾として、今年6月21日開催「立教大学グリーフェスティバル」で演奏された以下の4曲がYouTube動画で紹介されています。
今年とうとう立教グリー関係の演奏会に全く行けなかった者としてはありがたいです。感謝でございます。
「次は100回記念定期も載せたいと思っています」とのこと、楽しみです。それと、図々しいことを申し上げて恐縮ですが、著作権が切れた合唱曲(ルネサンスものとかロマン派とか)のステージの動画も見られるようにしていただけるとさらにうれしいです。
以下、このたび公開された動画で演奏される合唱曲について。
校歌を編曲した辻先生(故人)は立教大学グリークラブ名誉部長で、同じく名誉部長であらせられる皆川達夫先生(「神ともにいまして」動画の指揮者)を立教大学に招き入れたお方です。
とある大先輩OBから伺った話だと、この編曲はもともと男声合唱向けに書かれたものだそうなのですが、伝わっている譜面がト音+ヘ音の2段譜で声種が明記されていないということもあり、そのままの形で長年にわたり混声合唱で演奏されています。男声合唱向けとするとBaritoneにあたるパートをTenorで歌っているわけで、Tenorにとっては低い音がいくつか用いられているため一部箇所をオクターブ上げて歌う措置がとられています。
混声合唱版「行け 立教健児」は、今年の春だか初夏だかに男声合唱版と一緒に書き下ろされたものです。それまで少なくとも公的には合唱編曲が存在しませんでした。
編曲者の星野氏は、宇都宮短期大学音楽科作曲専攻コースの主任教授です。動画で指揮しておられる田中秀男氏(現役時代、清水脩作曲「アイヌのウポポ」の初演を指揮)とのご縁によります。
9月初旬、OB会報に同封されて、この混声・男声両バージョンの楽譜が届きました。譜面を見る限り、臨時記号の頻出と新鮮な和音展開が印象的でした。
実際に演奏を聴いてみると、立教に似つかわしい爽やかなサウンドに仕上がっているように思います。
「St. Paul’s will shine tonight」は男声合唱版がおなじみ。こちらは確か第1回東京六大学合唱連盟定期演奏会エール交換に際して、当時の学生指揮者だった鶴岡氏が書き下ろしました。
長らく「女声がセントポールを歌うなんて……」という抵抗が大きくずっと男声合唱だけで歌われてきたものが、時流の変化で混声合唱でも歌いたいという声が上がり、既存の男声4部合唱編曲に重ねる形で、晩年近くに編曲者ご本人が女声2部を書き足しました。動画で演奏されているのはそのバージョンのはずです。
鶴岡氏は混声5部バージョンも書いたとのことですが(G-durの中間部はBaritoneが主旋律を歌うらしい)楽譜がなくなったとご本人がおっしゃっていたのを耳にした覚えがあります。
「神ともにいまして」は立教グリー単独演奏会のクロージングテーマ。辻先生編曲による男声合唱版や女声合唱版も歌われています。
この曲は辻先生および皆川先生が指揮するのが通例です。
そして、定期演奏会でこの曲を歌うとき、3番になると皆川先生が指揮台を降りて最前列に並ぶ4年生ひとりひとりに握手をする(演奏時間内に握手しきれなかった人にはレセプションの場で握手をしてくださる)ことと、緞帳の有無にかかわらず曲の終わり近くに譜面台を緞帳にぶつからないようにずらして指揮台を降りる(今回の動画では譜面台ずらしがありませんでしたけど)ことが、せきの知る当時での恒例。
4年生にとっては定期演奏会が現役最後のステージなので(そのあとメサイア演奏会もあるが4年生のオンステは有志)、その締めくくりに歌うこの曲には思い入れ・懐かしさがひとしおなのです。立教グリーOBOGに共通する感慨だと思います。
せきがオペラ的なステージへ出演したのは『直江の婿えらび』が生涯で2回目。
1度目は大学3年生のとき、立教大学グリークラブ男声上級生の一員として東京二期会オペラ劇場の公演に出た。
演目は、Sigmund Romberg作曲『学生王子』。学生がたくさん出てくる作品である。Bunkamuraオーチャードホールにて、1994年9月28〜30日の3回公演。オリジナルは英語だが、この公演では日本語で上演された。『学生王子(Student Prince)』はもともとミュージカルなのでオペラ扱いすることに違和感をお持ちの人もいらっしゃるでしょうが、そこらへんは大目に見ていただければと。
立教グリーや二期会合唱団の男声合唱が演じる学生は「ザクソン隊」「レニシア隊」の2群に分かれ、せきはザクソン隊だった。
主演は、初日と楽日が錦織健氏・足立さつき氏、中日が星洋二氏・澤畑恵美氏。指揮は飯森範親氏。
3日通しで笛吹きニコラス役で青島広志氏が出演していて、プログラムのパンフレットに文章を寄せておられた。
ちなみに腰越満美氏のオペラデビュー作でもある。
確か8月の半ば頃から、グリー本体の通常練習と別枠で、毎晩のように『学生王子』の練習があった。
練習場所は新百合ヶ丘とか豊洲とか、どっちにしろ大学のある池袋や当時せきが住んでいた川越からえらく離れていた。
演出・台本の中村哮夫先生は厳しくて、動きかつ歌いながら指示にこたえるのでアップアップだったけど、終わって振り返れば楽しかったなあ。
今年『直江の婿えらび』に参加したせきは、練習中や本番舞台裏で時折ちらほらと『学生王子』の日々を思い出していた。
そしてつい両者を比べてしまい、オペラづくりの手間暇を再確認するとともに、そういった活動を本業とする二期会の凄さを痛感するところがあった。一方で『直江の婿えらび』は地元民による地元民のための手作りオペラということもよく分かり、手間暇をもろともせぬ情熱も強く感じ取れた。
余談。
『学生王子』は北村協一先生の編曲・構成による男声合唱メドレーが知られている。編曲者による創意がかなり大きく入り込んだメドレーである。
曲順の入れ替えは2幕のオペラを合唱演奏会1ステージぶん(十数分)に凝縮することに伴うものだろう。ただ、それにとどまらず、和音配置なども大胆に手が加えられている。
前回は先輩との再会にまつわる話。そこからの連想で、今回は後輩と再会した話。
昨年、新潟ユース合唱団が関東合唱コンクールに出たときのこと。ロビーに見覚えのある女性がいた。おや、もしかしてトントンじゃないか?
トントンとは、立教大学グリークラブの後輩。せきが4年のときの1年にあたる。Sopranoだが、あのパートによくいるお姫様系キャラとは雰囲気が違い、庶民的で、いつも愛想が良かったような印象がある。高校時代から合唱をやっていて、立教グリー4年次は学生指揮者として女声定期演奏会を成功に導いた人。
トントンさん(以下、敬称を付ける)の卒団から1〜2年ぐらいは立教グリー関係の演奏会ロビーで挨拶していたが、いつの間にかご無沙汰になった。理学部を卒業してから大学院に進んだとかいう話を聞いた覚えはある。
トントンさんは千葉県代表になった合唱団のメンバーとして、りゅーとぴあに来ていた。演奏を聴きたかったが、既に終わったとのこと。どうも新潟ユース合唱団の直前練習と時間がバッティングしていたようだ。その団は金賞だったとのこと(全国進出は逃したようだが)、聴けなくてなおさら残念。
合唱連盟のコンクールに参加するような活動をしている立教グリーOBOGはほとんど知らなかったので、こんなところで会うと思っておらず、驚く。お互いそうだったようだ。
一方で、合唱を続けている後輩の存在を知って嬉しかったのも事実。
合唱を続けているという以外の近況とか、せきの団の演奏への感想を聞きたかったけど、そこまでの言葉は交わさずじまい。
トントンさんや他のOBOGと次に再会できる日はいつになるやら。ただ、どうも11/14の立教グリー100回定期演奏会は行けなさそうなので(チケット完売になったらしいし)、チャンスがあったとして来年以降になるけど。