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ドラマ「表参道高校合唱部!」のこと(その3)女子部員編

今年7〜9月クールにTBS系で放映された金曜ドラマ「表参道高校合唱部!」について、いろいろ書き連ねています。シリーズ連載の趣旨は「(その0)はしがき・目次・関連リンク集」をお読みくださいませ。

今回は登場人物(文中敬称略)とか役者(文中さん付け)とかについての第一弾。


香川真琴(芳根京子さん)

主人公。合唱や歌に対する熱意で周りに影響を与え、そこからさまざまな奇跡が起きるという役柄です。

たくさんソロで歌う場面がみられます。役柄そのままの、少しあどけなさが残った素直な声だと思います。むしろこの声で芳根さんがキャスティングされたのではとも思えるぐらい。合唱部では混声4部ということでアルトパートを歌っていますが、細かくパート分けするなら女声3部でいうメゾソプラノ向きなんでしょうね。真琴のキャラクターもメゾっ子(極私的ステレオタイプによる)っぽく見えてきます。

あと、なかなか音域が広いみたいです。第4話「原宿祭りメドレー」(「学園天国」のdivisi上)や第9話「愛の歌」二重唱バージョンではアルトにしては高い音もしばしば出てきますが、ちゃんと歌ってます。トレーニングの成果で音域が広がったということかもしれませんけど。

アルトはずっと佐々木美子こと萩原みのりさんとの2名体制で、パート内で分かれるときは必然的に1名ずつになります。たとえば第9話「何度でも」のイントロ第3〜4小節、歌詞に入る間際で唯一4分音符で動いてるのはアルトdivisi上、すなわち芳根さんの声です。divisiで一人になって目立つ動きをするときと、tuttiでパートとして合わせにゆくときとで、状況に合わせて歌い分けをしているのは結構なアンサンブルスキルだと思います。

この記事を書く参考などに、Smartザテレビジョンというウェブサイトで連載されていた出演者インタビューを読みました。芳根さんについては「もともと普段から合唱曲を聴いていたが、ドラマの影響でさらに聴く機会が増えた」とのこと。今年のNHK全国音楽コンクール全国大会・高等学校の部でゲスト司会を務める芳根さん、目の前で精鋭たちの生演奏を聴くことになるのですね。

2015/10/28追記

歌声についての記述に少々書き足しました。

ところで、本日付けで「第86回ザテレビジョンドラマアカデミー賞」が発表され、芳根さんが「表参道高校合唱部!」で主演女優賞に選ばれました。芳根さんの紹介文として《離婚危機にある両親や、合唱部の部員それぞれの悩みに全力で向き合う、真っすぐで純粋無垢な女の子を爽やかに演じた。きれいな歌声も評判に》、投票者のコメントとして《「田舎っぽさを残しつつ、周りの人間を引き付けていくという役がぴったり」「完全に香川真琴そのものだった」という賛辞が》と記されています。審査員の講評(ネットでは読めない模様)では、カトリーヌあやこさんが《朝ドラより朝ドラヒロイン的瑞々しさがあった》、北川昌弘さんが《芳根京子という逸材を発見して何よりだった》と言及しています。

芳根さんの受賞コメントはSmartザテレビジョンのウェブサイト上で前篇後篇に2分割されたものが載っています。両方に共通して「芳根さんは真琴そのままと周囲から言われる」という発言が出てきます。ドラマ最終回直前にゲスト出演した文化放送「レコメン!」でも同じ発言がありました。Nコンのゲスト司会者ではだいぶ落ち着いた雰囲気で役目を務めていましたが、ツイッターで部長役の泉澤祐希さんたちと絡むときなどは今も真琴っぽい物腰になりますね。

2015/11/15追記

第6話に出てきた岩河三郎作曲「犬のおなか」が芳根さんはことのほか気に入ったようで、最近でもマネージャーさんから「常に歌ってる。犬のお腹。うるさい。」とツイートされたり、今年11月14日付けで更新されたご本人の公式ブログに「犬のおなか」を歌った動画を集めた記事を載せたりしてます。ブログに載っている動画はオンエアよりも少々発声がしっかりしていて、歌いこんでいるさまを窺い知ることができます。

2016/05/15追記

文化放送で2016年4月から「芳根京子のみみにリコピン♪」という15分ほどのラジオ番組が放送されています。5月3日・10日に放送された回では吉本実憂さんがゲストに来て「表参道高校合唱部!」について語り合っていました。

思い出話の中で、ひとつ驚いたエピソードがあります。芳根さんはドラマ制作期間中ぎっくり腰を起こしてしまったことがあるのだそうです。腰痛で病院に駆け込んだら、医師から「最近なにか腰を使いましたか」と尋ねられ、制作と平行して行われていた合唱練習での体幹トレーニングに思い当たってそう答えたところ「やりすぎだと思う」と返事された由。

佐々木美子(萩原みのりさん)

同じくアルトということで次にこの人。真琴が入部する前から合唱部にいた3人のうちの1人です。物腰とか居ずまいとか、いかにもアルトにいそうです(同じく極私的ステレオタイプ)。部内では割とズバズバものをいう立場。見せ場は第6話の合宿回ということになるのでしょうが、第9話のクラス発表でのパフォーマンスや第10話の劇中劇で校長先生を演じる姿も見どころだと思います。

萩原さんのブログ「みのりのいのり」には収録の裏話が時々出てきます。たとえば、アルトがdivisiするときは萩原さんが一番下を担当すること最終回の合唱曲のレコーディングが9月19日に行われたこと「美子飲み」と呼ばれた紙パック飲料の持ち方など。

萩原さんの歌声は第10話で確認できます。真琴がいない状態で過去に歌った曲を練習するシーンがあり、アルトが美子ひとりきりになるのです。DVDやBlu-rayの特典映像(レンタルにはない)にある合唱集だと、ドラマ本編では途中で切られている「Tomorrow」が最後まで使われています。当然、終わり間近に出てくるアルトのパートソロは美子ひとりで歌っていて、これが最も分かりやすい。低い声だけど可愛らしさが顔を覗かす可愛らしい中にも軸がしっかりしているみたいな印象を受けました。そして他の曲でアルトだけ動くパターンで職人的に音をはめていくのが主に萩原さんだったのかなとも思いました。

なお、この第10話の「TRAIN-TRAIN」練習シーン後半では、ひとりずつアップになると同時にその人の声を強調するようなミキシングがなされているようです。

引田里奈(森川葵さん)

真琴が合唱部に入部させた生徒・第一号。合唱部員の中では一番の、真琴の理解者といえましょう(ストーリー展開上は夏目快人やハスミンが前面に出てますが)。スクールカーストについて真琴に教えたり、他の部員の異状に気づいて話しかけたり、キレそうな部員をすぐ止めに入ったりなど、面倒見の良い側面が目につきました。大学合唱団なら内政マネージャーあたり適任そう。

森川さんは様々な場面で細かいアクションを挟むことが多いです。他の人にスポットライトが当たる脇でいろいろやっているのは他のキャストも同様ですが、最も目を引くのが里奈ですかね。

第4話まではソプラノパートを歌う部員が里奈ひとりです。合唱での歌声は斉藤由貴さん(「ごめんね青春!」あまりん&校長先生ですね)を彷彿とさせます。この人の歌声を経過観察するといろいろ興味深い発見があるんですが、長くなるので詳細は「その4」で。

なお、第10話の「TRAIN-TRAIN」練習シーンでは終わり近くに里奈の声もクローズアップされます。ここで歌っている箇所はdivisiの下パートです。

桐星成実(柴田杏花さん)

団内ピアニスト兼ソプラノ。入部したのは第3話の終わりですが、第4話は伴奏に専念し、実際に歌うのは第5話からです。キーボードを弾きながら歌うことも多いです。見せ場は霊感を発揮する第6話と、第10話の男装ですかね。入部前もときどきピアノを弾いているほか、あちこちのシーンに映り込んでいます。

歌の声質は谷村有美さん系かな。第9話「何度でも」でオブリガードとしてソロを歌っているのは成実と思われますです(確認が取れました。詳しくは、2016年3月24日に公開した記事「(その9)何度でも」をどうぞ)。第10話「TRAIN-TRAIN」練習シーンでものびのびした声が聞き取れます。複数名で歌うとき、柴田さんはパート内の声をつないでパテよろしく一つにまとめるタイプの歌い手とお見受けします。合唱ではとても貴重です。

調べたところ、柴田さんはもともとミュージカル志望で、さらに音楽大学付属高校の声楽科に通っているのだそうです。納得。で、声楽科について書かれたほうの記事には、映画『くちびるに歌を』発の期間限定ユニットで歌唱指導を務めたことも紹介されていて《この曲は、細かいところを丁寧にというよりノリノリな雰囲気を出した方がいいと思ったので、皆それぞれが持つイメージを大切に音程、リズム、曲の方向性を揃えた程度です》というご本人のコメントがあります。それ合唱団で技術系スタッフがやる仕事と一緒ですよね。

YouTube動画「映画『くちびるに歌を』番外編」で、合唱モードでない柴田さんの歌声が聴けます(1分56秒頃〜2分01秒頃。ちなみに1分44秒近辺からハスミンこと葵わかなさんのソロも)。

2015/11/01追記

なぜか柴田さんについては「表参道高校合唱部!」がらみでのインタビュー記事が見当たりません。その代わり、同じく合唱を題材にした出演映画「くちびるに歌を」がらみの記事がいくつかあります。そのうちの柴田さんのインタビューに《合唱は声をひとつにしなければいけないので、みんなの息を合わせるのが凄く難しくて。声量がある人達ばかりだったので、一人ひとりの声が目立ってしまって、声の色を合わせるのにはとても苦労しました。》という記述を見つけました。やっぱり合唱団の技術系スタッフがとりがちな見方ですよね。こうした経験が「表参道高校合唱部!」の合唱練習に生かされたという可能性は十分に考えられます。

上記インタビューによると、プライベートでの学校の授業や合唱コンクールではソプラノ、映画「くちびるに歌を」ではアルトを歌っていたそうです。「表参道高校合唱部!」ではもとのパートに戻ったということになります。

谷 優里亞(吉本実憂さん)

ドラマ前半のキーパーソンです。当初はワルい役として登場します。歌の力で優里亞が「本当の声」に触れ、改心して合唱部に入る第5話は圧巻。そのあとはおしゃれに興味のある、ちょっとけなげな普通の高校生になりますが、どこか悪戯っぽい要素が残っているようにも見えます。

登場人物の中で、極私的ステレオタイプでいうところの「ソプラノ」に最も近いキャラクターの部員は優里亞であろうと、せきは思います。真琴も言ってますね、「谷さんはソプラノだね」。

文化放送「レコメン!」に吉本さんがゲスト出演した際、ワルい役だった時期のセリフをよく真似されたというエピソードを話していて、番組内でも芳根さんと一緒に「応援、してるからね」「なんでもないよー、桜庭クン」などとセリフを再現してました。

優里亞にはソロで歌うシーンがありません。第5話で合唱部の路上ライブに合わせて「TRAIN-TRAIN」を口ずさむほか、例の第10話「TRAIN-TRAIN」終盤でちらっと声がクローズアップされますが(その箇所では、出版譜だとアルトに書かれているフレーズを歌っているように見受けられます。真琴がおらずソプラノ3人対アルト1人という状況だったので、パートバランスの都合などでアルトの助っ人に回ったのかも)ちょっとわかりづらいかな。

むしろ、他の2名の声を知ることで、吉本さんの歌声の特徴もつかめそうです。とはいえ、里奈は合唱部で歌う全曲に参加しているため、必然的に、成実がピアノを弾くだけで歌わずソプラノが優里亞と里奈ふたりの第7話「ハナミズキ」が最大のヒントということになります。そこで聴く感じだと、吉本さんは話し声との差が少ない、ノンビブラートの軽いトーンとお見受けいたします。中低音域で音量が抑えめな箇所は吉本さん、盛り上がる個所や高音域では森川さんの声が主となるように聴こえます。ちょっと硬めな声質は萩原さんの声と相性が良いかも。

ソプラノ内でdivisiするとき吉本さんが上下どちらを担当しているかは不明です。なんとなく下のような気がしますが(自信なし)。


さて、ドラマ公式サイトの「オモコー合唱部通信」第6回(2015/10/25追記:公開終了されたようです)で、森川さんと萩原さんとの間で「ソプラノが3人になってから、合唱指導の先生からも周りの人からも『この3人が合わさるとソプラノの透明感が凄い』とほめられる」という話が出てきます。

ここまで読んで下さった方には、せきがその理由をどう分析したか察していただけるはず。すなわち、柴田さんの声がソプラノの主軸をなしていて、吉本さんの声で清涼さが、森川さんの声で奥行きが増強されているのではというのが、わたしの耳が導き出した仮説です。もちろん音程や発音がよく揃っていることが大前提。

合唱指揮者(故人)の関屋晋さんが「合唱は石垣みたいに、さまざまな声をブレンドしてサウンドが生まれる。声の組み合わせで響きが変わるのが面白い」とかいう趣旨のことをおっしゃっていますが、その実例を見る思いがしました。


女声部員だけでずいぶん長く、やたらマニアックになってしまいました。男声部員や周りの大人たちについては日を改めて別記事にしたいと思います。

追記(2015/10/10)

引田里奈こと森川さんの歌声について追いかけたら、いろいろ面白い気づきが得られたので、男声部員や周りの大人たちについての記事より先に、新たに記事を起こすことにしました。併せて、各記事にサブタイトルを付けました。

追記(2015/10/19)

前回の追記にNコンの後日談をいろいろ書いておりましたが、いったん消して別記事「その8」で書き直すことにしました。あと、divisiのことや「みのりのいのり」についてなどを書き足しました。

追記(2015/10/25)

YouTube動画「映画『くちびるに歌を』番外編」について書き足したり、「オモコー合唱部通信」公開終了を反映させたり等の加筆をしました。

追記(2015/11/03・07・17)

ソプラノのdivisiがらみなどを加筆修正しました。ほか、いくつか表現を改めた箇所があります。

追記(2016/02/07)

DVD・ブルーレイを見て確認したことに基づき加筆修正しました。

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