だいしホール(新潟市中央区)で行われた「合唱団NEWS第17回演奏会」を聴いてきた。この団の合唱団は演奏会にサブタイトルを付けることが時々あるけれど、今回はサブタイトルなし。
せきは新幹線で新潟入り。新潟駅構内で昼食をいただき、新潟駅周辺でいろいろ物色して時間調整したのち、路線バスでだいしホールへ。近辺にはバス停が多く、大荷物がなければ公共交通を使うほうが便利なのだ。
ホールに着いたのは開演10分ほど前。チケットは事前にクラシックCDショップ「コンチェルト」で買い求めておいた。
客席に入る間際、全ステージを指揮した金子こっち央氏に逢い、ご挨拶。
- オープニング
- Ave Maria(作曲:Jacques Arcadelt)
プログラムの曲目紹介ではレストランのコースメニューに見立てた解説が記されていて、そこで「食前酒」と紹介されていた。
現代ハンガリー宗教曲
- Jubilitate Deo(作曲:Laszlo Halmos)
- Hodie Chiristus natus est / Tui sunt coeli(作曲:Laszlo Halmos)
- Crucifigatur(作曲:Gyorgy Deak-Bardos)
プログラムでは「前菜」扱い。3曲とも新潟県内では初演とのこと。実際、作曲者はお二方とも初めて目にするお名前。
Laszlo Halmosの作品は2曲とも耳に馴染みやすく、これまで実演に接する機会がなかったことが不思議なほど。
「Crucifigatur」は、なんとなく松下耕作品を連想する雰囲気のハードなモテット。ちなみにGyorgy Deak-Bardosは、Lajos Bardosの弟だそうである。
Die launige Forelle(ゆかいな ます)より(編曲:Franz Schoeggl)
- Thema : “Die Forelle” von Franz Schubert
- Mozart : Eine kleine Nachtforelle
- Beethoven : Zur Ehre der Forelle
- Weber : Der Freifisch
- Wagner : Fischerchor
- Fischfang mit Lis(z)t
Franz Schubertの歌曲「Die Forelle(鱒)」を、Franz Schoegglが様々なスタイルでパロディ的に合唱アレンジした曲集。日本だとかつて青島広志が時々やっていたような感じ。鱒だけあって、プログラムでは「メインの魚料理」扱い。
今回は平井多美子による訳詞で、全10曲のうち前半5曲と終曲を抜粋して演奏。元ネタの作曲者名が明かされているものを選んだのであろうか?
なお、元ネタのチョイスあたりから男声合唱のにおいを感じて帰宅後に確認したら、やはり混声合唱版の他に男声合唱版も存在した。
増田順平編曲作品集
- アイスクリームの歌(作詞:佐藤義美/作曲:服部公一)
- あわて床屋(作詩:北原白秋/作曲:山田耕筰)
- 砂山(作詩:北原白秋/作曲:山田耕筰)
- 待ちぼうけ(作詩:北原白秋/作曲:山田耕筰)
プログラムでは「和風」メニューとして「お口直しのアイスクリーム…ではなく、お耳直しに増田順平編曲集」「色とりどりのお菓子のようにつまんでいただけたら」と書かれている。確かに親しみやすそうな選曲で聴いて楽しいアレンジ。
1曲目は愛唱歌らしく、終演後のロビーコールでも演奏されていた。
2曲目が終わった後、最前列で聴いていた一人のお客様が大歓喜の様子で拍手をした。
混声合唱のための ありがとう(作詩:谷川俊太郎/作曲:石若雅弥)
- 一人きり
- 幸せ
- 走る
- もどかしい自分
- ありがとう
石若氏は関西を中心に活躍しており、指揮者氏がしばしば取り上げる作曲家のお一人。
この曲はピアノ付きでも無伴奏でも演奏可能だが、今回は無伴奏での演奏。
せきにとって石若作品の実演を客席で聴くのは初体験。引き出しが多い作曲家ですなあ。
アンコール
- アンパンマンのマーチ
- 作詞:やなせたかし/作曲:三木たかし
編曲:石若雅弥 - またね
- 作詩:山田ゆきえ/作曲:佐藤さおり
1曲目はカワイ出版による“「歌おうNIPPON」プロジェクト”のために書き下ろされた編曲。冒頭とエンディングはゆっくりめ、「なんのために」からおなじみのテンポで演奏された。
2曲目は吉例というべきクロージング曲。同団の演奏会ではいつも佐藤さおり作品をプログラム本編に組み込んでいるのだが、今回はアンコールのみ。
出演者、スタッフ、来場者の皆様、お疲れ様でした。
同団の演奏会は2011年の第13回、2012年の第14回に続いて3度目。その中では今回が最もまとまりがよいサウンドだったように思う。もろもろ楽しませていただいた。
ただ今回は、SopranoとAltoが女声4名ずつ、Tenorは男女各1名、Bassが男声2名で、このパートバランスだったら混声3部合唱という編成からアプローチした選曲がもっとなされていいのではとも感じた。僭越ながら、近年のものでは周藤諭[すとう さとし]氏が何曲か作編曲している無伴奏混声3部合唱作品あたりと相性がよさそうな気がする。