2024/06/16の日記:第13回東京六大学OB合唱連盟演奏会

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とんぼ返りで日帰り上京し「OB六連」こと東京六大学OB合唱連盟の演奏会を聴いてきた。

会場はおととしの前回同様、東京芸術劇場コンサートホール。13時開演、16時10分頃に終演。

出演者・スタッフ・来場者の皆様、お疲れ様でした。

あらかじめ予約しておいたチケットを当日午前中セブン-イレブン豊島南池袋1丁目店で発券し、会場入り。

1st stage:立教大学グリークラブOB男声合唱団

7つのスペイン民謡(男声合唱とマリンバのための新編曲初演)
作曲:Manuel de Falla
編曲・指揮:前川和之/マリンバ:大熊理津子/ピアノ:山北響斗

合唱パートは指揮者による新編曲。作曲者の意図を推察するに既存の青島広志編曲版は「いささか装飾過剰の感も否めない」と、音域拡大のためのオクターブ処理やヴォーカリーズを一切なくす形で新たに編曲した由。ユニゾンや独唱も多用され、昨今の独唱曲→合唱トランスクリプションのトレンドに添ったシンプルな編曲。

マリンバパートはマリンバ奏者の大熊氏による編曲で、うたに徹した合唱パートに替わって装飾、というより刺激を増強し、音としては共演するピアノを拡大するようなもの。アドリブの箇所もあったらしい。面白く聞けた。

スペイン語歌唱指導に服部洋一氏を招聘。指揮者がタクトを下ろした瞬間、客席で聴いておられた服部氏から「Bravi!」の声。確かに、いつもの諸先輩方らしい丁寧な熱演だったように私も思う。

2nd stage:慶應義塾ワグネル・ソサィエティーOB合唱団

男声合唱組曲『ひたすらな道』
作詩:高野喜久雄/作曲:髙田三郎
指揮:藤井宏樹/ピアノ:岩本果子

音大生時代に畑中良輔氏から薫陶と合唱指揮者への導きを受けた藤井氏の指揮とワグネルOBによる演奏は、この組曲が持つドラマとあいまって説得力抜群。

この男声合唱版はワグネル現役が委嘱初演したもの。その年度に学生指揮者を務めたメンバーが『ひたすらな道』男声合唱版の初演後、作曲者は木下保+ワグネルに『野分』初演を依頼した(諸事情で実現せず、東京大学音楽部コールアカデミーが初演した)というエピソードを寄稿していた。

余談。この組曲を私が初めて聞いたのは、大学3年次の早慶交歓演奏会ワグネル単独ステージで、当時学生指揮者だった吉川貴洋氏のタクト。畑中先生と北村協一先生の影響が濃厚な演奏だった。その翌年の六連では早稲田大学グリークラブが阿部昌司氏の指揮により同じ組曲を演奏した。早稲グリは六連だとエンターテインメント性の強い演目を取り上げることが多いが、その伝統を打ち破り、振り返れば1年間シリアス一辺倒となった。この年度の早稲グリ学生指揮者が西川竜太氏。

3rd stage:明治大学グリークラブOB会合唱団 駿河台倶楽部

男声合唱とピアノのための組曲『漠とした輝きの欠片』
作詩:御徒町 凧/作曲:宮本正太郎
指揮:栗原寛/ピアノ:村田智佳子

昨年京都で初演。注目を集めている作曲者で間もなく出版されたこともあり、今年度あちこちで取り上げられた組曲。もっともなぜか首都圏では演奏されず、このたびが男声合唱としては東京初演にあたるはず。ただ、その1か月ほど前に混声六連の合同ステージで混声合唱版の委嘱初演が行われたわけではあるが。

京都での初演は4つの大学男声合唱団OB団体の合同で行われ、駿河台倶楽部はそこに参加していた。また、パンフレットの出演者名簿をよく見ないと予備知識なしには分からないが、同じく初演参加団体である立命館大学メンネルコールOBの有志も今回のステージに加わっていた。

全体としてはコンパクトにまとめ、終曲最後の「Ah」に精力の大部分を注ぎ込んだかのような演奏。個人的趣味だけど、「うた」の色合いが濃い組曲だし、もっと一人一人のびのび歌いあげてもよかろうに。

4th stage:東京大学音楽部コールアカデミーOB合唱団

男声合唱組曲『ひたすらな道』
作詩:高野喜久雄/作曲:髙田三郎
指揮:三澤洋史/ピアノ:三木蓉子

第2ステージ『ひたすらな道』と対極に近いスタイルの演奏。特に第1曲「雨」は自分が聴いた中で恐らく一二を争うと思われるアップテンポ。三澤氏の作曲した楽曲群の根底をなす陽気さを踏まえれば腑に落ちる解釈ではある。作曲者が学んできたフランス音楽からのアプローチで譜面を読み込んだことは理解できた。とはいえ、髙田作品にストイックさを求める私の趣味とは異なる。

なお、「三澤洋史の今日この頃 MDR-Diary 2024」の「05.20 階段一段抜かしのおじいちゃん」に作詩者・作曲者の漢字表記について指揮者の見解が記されているが、高野喜久雄氏については御自身のウェブサイト「Kikuo Takano」(逝去により閉鎖されたため、機械的にアーカイブされた魚拓)で「高野」姓を名乗っておられたことをここに紹介しておく。

5th stage:法政大学アリオンコールOBOG会・男声合唱団オールアリオン

萬歳流し
作曲:柴田南雄
指揮:貫井隆夫

お家芸ですね。この曲を共演した経験がある関西大学グリークラブOB有志の賛助を得ているから猶更。

この曲といえば、会場を歩き回る太夫・才蔵に客席からおひねりを渡されることが、初演時に自然発生して以来の通例である。このたびは演奏終了直後、いただいたおひねりについて、OB六連を通して今年元日に始まる能登半島地震の被災地へ寄附することがアナウンスされた。

6th stage:早稲田大学グリークラブOB会・稲門グリークラブ

東京だよ おっかさん
編曲:宇田川安明
指揮:山脇卓也/ピアノ:村田雅之
  • 序曲
  • 花(作詞:武島羽衣/作曲:滝 廉太郎)
  • 俺ら東京さ行ぐだ(作詞・作曲:吉 幾三)
  • 東京ブギウギ(作詞:鈴木 勝/作曲:服部良一)
  • Medley Tokio
    • 六本木純情派(作詞:売野雅勇/作曲:吉実明宏)
    • 銀座の恋の物語(作詞:大高ひさを/作曲:鏑木 創)
    • 雨の西麻布(作詞:秋元 康/作曲:見岳 章)
    • 別れても好きな人(作詞・作曲:佐々木 勉)
    • 有楽町で逢いましょう(作詞:佐伯孝夫/作曲:吉田 正)
    • 蒲田行進曲(作詞:Brian Hooker/訳詞:堀内敬三/作曲:Rudolf Friml)
  • なごり雪(作詞・作曲:伊勢正三)
  • TOKIO(作詞:糸井重里/訳:加瀬邦彦)

演目は「東京」をテーマに歌謡曲などで構成された曲集。1994年の六連で早稲グリが初演した。その年度の学生指揮者が、今回タクトを取る山脇卓也氏。

「序曲」は早稲田大学校歌に基づくヴォーカリーズ。本来は「東京ブギウギ」と「Medley Tokio」の間に「神田川」が挟まるのだが、このたびは演奏時間の都合でカットされた由。「なごり雪」は単体で愛唱曲として歌えるようにというリクエストに応えた編曲で、カワイ出版「グリークラブアルバム NEXT」に収録されている。

随所に遊びの盛り込まれた編曲。「なごり雪」では途中「鉄道唱歌」の一節が登場する。「Medley Tokio」では「銀座の恋の物語」「有楽町で逢いましょう」に、とんねるず「雨の西麻布」がクロスオーバーするネタが編曲で仕込まれている。もっとも、当時とんねるずの楽曲がパロディ系ギャグとして受容されていたことを知らないと、ネタの面白さが伝わりにくいかも。

パフォーマンスについて。現役が六連で十何年も続けているエンターテインメント路線をOBがやると、とてつもない破壊力。おそらく更に娯楽性を強めるためか、ところどころ歌詞をいじってましたよね。初演ではそこまでやってなかったような記憶があります。

7th stage:合同演奏 エール交歓

各団体のエールを全団体で唱和するのは初回からの恒例。今回このエール交歓だけ写真撮影が認められ、SNSへの投稿が奨励されていた。私もXに撮った画像をポストした。

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