この4月から一身上の都合で、歌ったり演奏会を聴きに出かけたりすることを差し控えている身なのですが、それでも、立て続けに公開されている地元ゆかりの映画をT・ジョイ長岡で見てきました。
以下、少しばかり内容に触れています。ネタバレにならないよう気をつけて書いているつもりですが、鑑賞の妨げと受け止める人がいらっしゃるかもしれません。悪しからず。
1本目は『聯合艦隊司令長官 山本五十六 —太平洋戦争70年目の真実—』。せきは千秋楽前日に見ました。もう上映している映画館はないみたいです。ご興味のある方は7月13日にリリースされるBlu-rayやDVDでどうぞ。
物語は、ストーリーテリングは、謎を提示して伏線回収とともに解決する形ではなく、ひたすら山本五十六の視点から第二次世界大戦の経過を綴ってゆく形です。戦史ものですが戦闘シーンは空中戦がほとんどで、ストレートな殺戮の描写が嫌いな人でも安心かと。
高校生が特別授業として見るのに好適と思います。特に長岡高等学校関係者は必見。
2本目は『この空の花 —長岡花火物語』。せきが見た時点では新潟県内だけの先行ロードショー期間でした。今は全国で上映されています。上映館が少ないので映画公式サイトでご確認を。
話の軸をなすのは長岡空襲ですが、その慰霊祭として始まった長岡まつりや、新潟県中越地震や東日本大震災や、ロケ開始間際に起きた平成23年7月新潟・福島豪雨などに触れつつ、森羅万象が鮨詰めになって交錯した時空間を、物語が行き来します。
いやあ、刺激的でしたねえ。あそこまでぶっ飛んだ芸術作品・娯楽作品はそうそうないように思います。それでもあえて、せきが知る合唱曲から近い要素を持つものを探すと、三善晃作曲『いのちのうた』とか、清水脩作曲『アイヌのウポポ』終曲「リムセ(輪舞)」とか、千原英喜作品の中でコラージュ色が濃いもの(たとえば『おらしょ』第2楽章など)とか、荻久保和明作品のいくつか(たとえば『季節へのまなざし』各楽章や、『縄文“愛”』第2曲「花いちもんめ」など)とかといったところかな。
しばしば出てくる一輪車から、宗左近の詩に於ける〈縄文〉を連想しました。第二次世界大戦で切り裂かれた彼岸と此岸の間にある存在ということです。ただ、宗作品の〈縄文〉は断絶性を象徴するのに対し、この映画では彼岸と此岸を結びつけるものとして描かれている点が真逆なんですけどね。
前述の『聯合艦隊司令長官 山本五十六』と併せて見れば、より立体的に味わえることでしょう。
今月に入って封切られた、平成16年7月新潟・福島豪雨が題材の『アノソラノアオ』は、見るかどうか未定です。もっとも現在これを見るためには燕三条か新潟市内まで行かなければなりません。