本日午後にNHK教育で放映された「オーケストラ 生まれる 〜コバケンとその仲間たちスペシャル2010〜」を視聴しました。
コバケンとは小林研一郎氏。日本を代表する指揮者のお一人で、オーケストラが有名ですが、合唱もお振りになります。わが出身団体・立教大学グリークラブを何年か指揮したこともある人です。せきは早稲田大学グリークラブとの共演を生で聴いた経験があります。
そのコバケン氏の呼びかけでプロアマの演奏家が集まって障碍を持つ人・持たない人が混じったオーケストラを結成し、今年3月7日に「こころコンサート 〜コバケンとその仲間たちスペシャル2010〜」なるコンサートを開催しました。この舞台裏を撮影したドキュメンタリーの話です。
番組は、団員3人の物語を、ひとりずつ追いかける形でした。
ひとりは集中力が続かないバイオリン奏者。
ひとりは視力を失ったトロンボーン奏者で、「誰も寝てはならぬ」でソロ(原曲はテノール独唱なのを金管で)を吹くにあたっての悪戦苦闘ぶり。
ひとりは母親と二人三脚で活動してきたクラリネット奏者が、母から離れて挑む本番。
バイオリン奏者とクラリネット奏者はオーケストラ初参加だったようです。逆に、トロンボーン奏者はソロで表現・演奏することが初体験とのことでした。
本番の模様は断片的に紹介された程度ですが、成功裡に終わったようですし、せきが見る限りでも生き生きとした演奏だと思いました。
番組を見て感じ入ったのは、合わせもの(アンサンブル)の難しさと、その難しさを克服させた音楽の魅力および他団員によるサポートの力でした。
これが特に前面に出ていたのがバイオリン奏者のくだりで、練習がはかどらない危機意識により急遽ミーティングが開かれ、これがきっかけでパート内でサポートしあい、みなが心を広げることでオーケストラが一つにまとまっていくさまが描かれていました。
寄せ集めによる演奏集団にはせきも参加したことがあります。時系列順に、高校時代の第九、アラウンドシンガーズ、新潟ユース合唱団、北村協一先生追悼コンサートでのメモリアル合唱団、オペラ「直江の婿えらび」。
この手の寄せ集め集団にはコアとなる組織があるものですが、コア組織の部外者みたいな形で参加すると、溶け込んでいく上でハードルがあるのですよね。
でも、コバケンとその仲間たちオーケストラは、そういった困難を高い次元で乗り越えたように見えました。参加者の中にはアンサンブルに必要な協調性に支障をきたすという自閉症のメンバーもいたようで、なおさら凄いと思います。
いち合唱人として、敬服をおぼえた番組でした。