「夏の交歓演奏会2014」というコンサートへ足を運んできた。昨年の「夏の交歓演奏会2013」は出演者だったが、今回は聴衆専科。
出演者・スタッフ・来場者の皆様、お疲れ様でした。
会場の新潟市江南区文化会館へは、長岡市内の拙宅から2時間ほど。2013/06/08の男声合唱団トルヴェール練習で音楽練習室を使ったことはあるが、コンサートが行われた音楽演劇ホールに足を踏み入れるのは初めて。
家を出たのは朝10時。ずいぶん早い出発ではあるが、ときどきコンビニに立ち寄って小休憩を取ったり、昼食で1時間近く待たされたりしたので、会場到着は開場の13時半間際と、ちょうどいい時間。
音楽演劇ホール入口付近で、第4ステージの指揮者である金子こっち央氏と久々に遭遇。華燭の典を挙げたばかりだと風の便りに聞いていたので、ご挨拶はその祝辞を申し上げる。
ここの音楽演劇ホールは天井が高く、教会を思わせる音響。合唱やアコースティック楽器に好適そう。
- 第1ステージ:新潟大学医学部合唱団
- 指揮:西脇世奈(前半2曲)、佐藤匠(後半2曲)
- 宇宙戦艦ヤマト
(作詞:阿久悠/作曲:宮川泰/編曲:猪間道明/ピアノ:中西哲朗) - ルパン三世のテーマ
(作詞:千家和也/作曲:大野雄二/編曲:信長貴富) - 混声合唱組曲『それは 待っている!』より 旅装
(作詩:立原道造/作曲:大熊崇子) - こころよ うたえ
(作詩:一倉宏/作曲:信長貴富)
どの曲も熱演。後半2曲は「第55回新潟県合唱祭 in 加茂」の再演である。
「宇宙戦艦ヤマト」は男声合唱版(サニーサイドミュージック刊「アニメヒーロー&ヒロイン伝説コレクション」に収録されていたが、版元消滅により入手困難)からのリアレンジかな。ところどころ男声合唱版から微妙に改変が施されていたのが興味深かった。
ひとつ残念だったのは「ルパン三世のテーマ」でアルトが埋もれ気味に聞こえたこと。他の3曲では気にならなかったんだけど。
- 第2ステージ:女声アンサンブルiris
- 指揮:佐藤匠
- Surrexit pastor bonus
(作曲:Giovanni Pierluigi da Palestrina) - Ave verum corpus
(作曲:Francis Poulenc) - 同声合唱のためのコンポジション『日本の民謡』第1集より 会津磐梯山
(福島県民謡/作曲:松下耕) - 同声合唱のためのコンポジション『日本の民謡』第1集より 八木節
(福島県民謡/作曲:松下耕)
この団体も前半2曲は「第55回新潟県合唱祭 in 加茂」の再演。サウンド作りにおいては、前回の加茂市民会館よりも今回のホールのほうが相性がよく感じられた。
「八木節」は男声合唱だと作曲者のいう「ソウルフルなライブ感」満載だが、女声合唱だと熱気よりも透明感が前面に出てくるようで、不思議な曲である。
- 第3ステージ:えちごコラリアーズ
- 指揮:木越智彦
- 『Kaksikpuehendus[二つの献呈歌]』より Uehte laulu tahaks laulda[私はこの歌を歌いたい]
(作詩:Gustav Suits/作曲:Veljo Tormis) - 『Kaksikpuehendus[二つの献呈歌]』より Taehed[星]
(作詩:Marie Under/作曲:Veljo Tormis) - Varjele, Jumala, Soasta[神よ、戦いから我々を守りたまえ]
(作曲:Veljo Tormis/Tam-Tam:西脇世奈) - いつも何度でも
(作詞:覚和歌子/作曲:木村弓/編曲:信長貴富)
団名や「入居者募集中」などの幟を立ててのステージ。第55回新潟県合唱祭に出ていた団であるが、今回はまったくの新曲。パンフレットには曲名がなぜか英訳で記されているけど、英語詞ではないので、ここでは原語で書いた(ただしウムラウト付き文字は、正しく表示されない環境があるので「ue」「ae」みたいに代用表記)。
代表氏の前口上によると、前日に伊東恵司音楽監督からレッスンを受け「男声合唱は大声を出すだけでも足を止めてくれる人がいる演奏形態である。だから君たちももっと声を出そう」という主旨のご指導をいただいたとのこと。そのおかげか、新潟県合唱祭で感じた「音楽が舞台の中だけ」がフォルテ系(特に1曲目)では見受けられず。ただ、ダイナミクスがフォルテ系でなくなると「音楽が舞台の中だけ」に戻るように感じられた。
3曲目については、Tam-Tam(銅鑼)の音量を基準に合唱の音量を設定し、合唱が出せる最大音量を基準にTam-Tamの置き場所を調整したほうがよかったんじゃないかなあ。この団が合唱祭で歌った「鉾をおさめて」終盤の、譜面にない足踏み一発についても同様。
「いつも何度でも」はステージアンコール。この曲だけピアノ付き。ピアノの設置中になされた指揮者氏による曲紹介では「体に優しい曲」とか言っていたような。
- 第4ステージ:グルポ・カントール
- 指揮:金子央/ピアノ:望月由紀
- アメージング・グレース
(作詞:John Newton/作曲:不詳/編曲者クレジットなし) - とう坂みま坂
(埼玉県のわらべうた/作曲:松下耕) - トトロ・メドレー
(作曲:久石譲/編曲者クレジットなし) - いのちの歌
(作詞:miyabi/作曲:村松崇継/編曲:富澤裕) - ともしびを高くかかげて
(作詩:岩谷時子/作曲:冨田勲)
グルポ・カントールは、上越市で高田少年少女合唱団が解散したのち、歌い続ける場がほしいということで生まれた、小学生〜高校生が集まって活動する合唱団だそうな。
いろんな意味で他とは違った個性をもつ合唱団で、今回のジョイントコンサートでは空気をやわらかなものにしていた。
指揮者のアクションに比して子どもたちの行儀がよすぎることが気になった(違う合唱団について同じ趣旨の話を金子氏ご本人に別の場で言ったことがある)。もっとのびのび歌ってもいいのにと思うけれど、歌で自己解放する(ように見せる)のは結構な修錬が要るのかもしれない。
- 第5ステージ:新大室内合唱団
- 指揮:箕輪久夫/ピアノ:田口侑果
- 『A Little Jazz Mass』
(作曲:Bob Chilcot)
新潟県合唱祭では「Kyrie」「Gloria」のみだったが、今回は「Sanctus」「Benedictus」「Agnus Dei」もあわせた全楽章の演奏。
感想はそのときの記事とほぼ一緒。付け加えるなら、ああいう遊び心の混じった曲は箕輪先生と実に相性がよろしいということを再確認した。譜面を見ると結構とっつきにくそうだけど、耳で聞いた限りではそんな印象はなく、箕輪先生のおっしゃる「音符に負けない」ような演奏であったと思う。
蛇足ながら、「u」がことごとく [o] みたいに聞こえたのや、excelsisやbenedictusみたいな単語の途中に出てくる [k] がほぼ聞き取れなかったのは残念。
- 第6ステージ:合同演奏
- 指揮:佐藤匠/ピアノ:本間優
- 空
(作詩:谷川俊太郎/作曲:三善晃) - ピアノのための無窮連祷による「生きる」
(作詩:谷川俊太郎/作曲:三善晃)
三善晃氏追悼ということで、混声合唱曲集『木とともに人とともに』所収の2曲。どちらも合同演奏でやるには骨のある曲だが、さすが腕のある歌い手集団といった見事な演奏。
終演後、指揮者氏本人に前述の感想を伝えたら「合同練習は3回しかなかったので、勢い重視で進めていった」とのお返事。正解だったと思う。この手の曲は練習でこねくり回すと往々にしてドツボにはまりがちだもの。
アンコールは、合同演奏本編では歌っていなかったグルポ・カントールが加わり、『木とともに 人とともに』所収の残り1曲「木とともに 人とともに」。これも瑞々しい演奏だったけど、グルポ・カントールの歌声がかき消されてしまったのは気の毒だった。
余談。パンフレットの裏表紙に「夏の交歓演奏会2015」の告知が載っていたので、帰宅前にホールのロビーで写真を撮ってツイートしてみた。
「夏の交歓演奏会」終演。来年は「あまやどりコンサート」というサブタイトルで、合同ステージを伊東恵司先生が指揮するとのこと。
http://t.co/yfwrZq3ELV— せき (@chor16seki) 2014年7月6日
自虐ネタをここまで展開するとはw >RT
— くーら (@kuula9337) 2014年7月6日
これは是非カンカン照りになってほしいものですw>先ほどのRT
— たりあん (@tarian1001) 2014年7月6日
野暮な解説をいたしますと、合唱界の一部では、伊東先生は雨男として知られております。