だいしホール(新潟市中央区)で行われた「合唱団NEWS第18回演奏会」を聴いてきた。
出演者、スタッフ、来場者の皆様、お疲れ様でした。
せきは1年ほど前から歯医者に通院していて、この日も正午過ぎから治療を受けていた。13時11分発の新幹線に乗れば新潟駅近辺で落ち着いて昼ご飯をいただけるかなと踏んでいたら、歯医者の時間が想定よりものび、めあての新幹線には1分差で間に合わず。昼食は次の新幹線の車中で慌ただしくとることになってしまった。
開演十数分前にホール到着、当日券を購入。
今回は前半・後半おのおの短いステージ(プログラムパンフレットでは「コーナー」と呼んでいたので、以下それに倣う)を3編ずつ、計6コーナーという構成。前半は海外もの、後半は日本語もの。
「ルネサンス」コーナー
- 動物たちの対位法(作曲:Adriano Banchieri)
- 愛しのマトナ(作曲:Orlando di Lassus)
- 一日中(作曲:Orlando di Lassus)
世俗曲初挑戦とのこと。流麗なフレージングから教会音楽っぽさを感じた。
「新潟初演」コーナー
- Ave maris stella(作曲:Lajos Bardos)
- Crucifigatur(作曲:Gyorgy Deak-Bardos)
- Eli, Eli(作曲:Gyorgy Deak-Bardos)
バールドシュ兄弟の作品集。「ルネサンス」コーナーとはうってかわって起伏の激しい音楽づくり。
新潟初演と銘打たれてはいるものの「Crucifigatur」は昨年の第17回演奏会でも演奏しているんですよね。
無伴奏混声3部合唱のための「四つのアイルランド民謡」
パンフレットでは「民謡」コーナーと名付けられた、合唱と縁の薄い人たちにもなじみ深い曲を集めたコーナー。
前回《近年のものでは周藤諭[すとう さとし]氏が何曲か作編曲している無伴奏混声3部合唱作品あたりと相性がよさそう》と書いたのを読んでくださっての選曲かどうかは不明。でも期待通り、この団体と相性がよかった。ひねりすぎず聴き映えして歌いやすそうな編曲は、周藤氏ご自身も合唱で歌う人だからというのも大きな理由のひとつなんだろう。
ちなみにせきは周藤氏とツイッターで時々やりとりすることがあるが面識はなく、楽曲の生演奏を聴くのは初めて。
「滝廉太郎」コーナー
- 花(作詩:武島羽衣/作曲:滝廉太郎/編曲:信長貴富)
- 月(作歌・作曲:滝廉太郎)
- 箱根八里(作詩:鳥居忱/作曲:滝廉太郎/編曲:中村仁策)
滝廉太郎は明治時代の作曲家で、「月」は数少ない作曲者オリジナルの混声合唱曲。「箱根八里」を編曲した中村氏は終戦から昭和の終わりごろまで活動した合唱指揮者。「花」を編曲した信長氏は現代に活躍する作曲家。そんなわけでか、同じ作曲家の曲を題材にしていても、編曲により色合いが大きく異なるのが興味深かった。
無伴奏混声合唱のための「アルバムIII」より「央(なかば)」
- 植物(作詩:山田ゆきえ/作曲:佐藤さおり)
- 少年(作詩:山田ゆきえ/作曲:佐藤さおり)
- 終夜(作詩:山田ゆきえ/作曲:佐藤さおり)
この団体が委嘱初演を続けている佐藤さおり作品のコーナー。アルバムシリーズは3曲編成の小組曲3つから成り立っていて「央」はその小組曲のひとつ。
ただ、今回は普段と響きが違うところがあった。というのも、今回は女性メンバーが圧倒的に多く、男性はバス3人だけ。混声4部合唱曲はテノールパート2名が2名とも女性が担当するという状況だった。譜面でテノールとバスに割り当てられている音が女性の低音と男性の低音で演奏された。これはこれで面白かったけど、男声の高音をイメージしたと思われる個所で宝塚の男役ふうの声が聞こえることには正直ところどころ違和感をおぼえた。逆に信長編曲「花」に女性低音テノールがうまくハマってたのは新鮮な発見だった。
「寺島尚彦」コーナー
- おまつりだ(作詩:関根榮一/作曲:寺島尚彦)
- つむじ風(作詩:榎木冨士夫/作曲:寺島尚彦)
- 青空が青かった(作詞・作曲:寺島尚彦)
近年は「さとうきび畑」ぐらいしか耳にするチャンスのない寺島作品だが、ほかにも合唱曲をたくさん書いている。その中でもごく短い小品を選んでのステージ。少し凝った、でも肩の凝らない曲ばかりで、あっという間に終わった。
アンコール
- 音楽会の菫
- 作詩:関根榮一/作曲:寺島尚彦
- またね
- 作詩:山田ゆきえ/作曲:佐藤さおり
この団の演奏会では毎回アンコール曲を終演後ロビーに書いて張り出してくれる。クラシック音楽では歌・器楽を問わず演奏者によってみられるサービス。アンコールは誰もが知ってる曲ばかりとは限らないので、こういうのは実にありがたい。
1曲目はもしかしたら寺島作品かなと思っていたら、やはりそうであることがロビーで確認できた。
2曲目は恒例のクロージング曲。原曲はピアノ付きだけど、この演奏会は基本的に無伴奏ものしか取り上げないため、この曲もいつもこの団の委嘱で生まれた無伴奏版。ソプラノの高音命中率が例年より上がっていたような。
出演者諸氏との挨拶もそこそこに、小雨の降る中を新潟駅まで歩き、新幹線で帰宅。