コンテストやコンクールについて、個々の団体がもらった講評はフィーチャーされやすいですが、表彰式で審査員の先生がおっしゃった全体講評が記録に残ることって案外少ないように思います。他山の石となるご指摘がたくさんあるんですけどね……。
そんなわけで、第8回新潟県ヴォーカルアンサンブルコンテストでの全体講評をここに控えておきます。
おおむね次のようなお話でした。
○片野秀俊先生より
- 高校の部については、歌詞が不明瞭に聞こえる団体が多い。口の開け方や口型に対する勉強が足りない傾向にあるようだ。
また、無表情に歌う人も多い。 - 中学の部については、高校と同じく歌詞が聞き取りにくい上、何を表現しようとしているのか歌声から伝わらない。楽曲の内容まで踏み込んでいないのではないか? 表面的に譜面をなぞっているように聞こえる。
- 中学生・高校生は、上あごや頬骨を意識して上げて歌うようにしよう。
- アカペラの曲をピアノで音を取る際、打鍵が強すぎて合唱の雰囲気をぶち壊している団体が目につく。音取りも音楽のうち、キータッチに配慮しよう。
- 一般の部はどこも大変よく咽喉が開いていた。ウ母音も綺麗。学生は見習ってほしい。
- ラテン語の発音がおかしな団体があった。研究しなおして欲しい。
また、ラテン語の抑揚(ディクションやフレージング)についても気にしてほしい。
○田中登志生先生より
- 自分のつけた評価は片野先生のと似通っていたようで、審査の協議でもめることはまったくなく、結果は30秒で出た。
- 中学生・高校生は、ウ母音がウムラウトみたいになる(浅くなり潰れて聞こえる)傾向がある。
- 中学生・高校生は、入場して並ぶのがぐだぐだになる団体が目についた。フォーメーションを決める際にセンターに誰が立つかを決めておけば、上手側・下手側も簡単に立ち位置が定まる。
- 一般の部で譜持ちの団体が多かったのは残念。アマチュア合唱団では、譜面を持っているかいないかで声の出が全く違うので、なるべく暗譜で演奏してほしい。
- 全体的に発音が不明瞭。子音を立てるのは当然だが、母音の流れによるフレージングはもっと大事である。自分はよく化粧にたとえ「母音はベースメイク、子音はアイライン」と指導する。
- 詩は歌詞の文字面だけでなく自分の言葉で表現しよう。音楽はもともと音だけで勝負するもの、でも声楽は言葉(歌詞)がある点でアドバンテージがある(そのアドバンテージを活用しよう)。
要約の文責は私せきが負います。