2019/2/9の日記:「ルネサンス・ポリフォニー選集」出版記念コンサート

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昨年2月9日。日帰りで上京し、第一生命ホールで「ルネサンス・ポリフォニー選集」出版記念コンサートを聴いてきた。


本編に先立ち、コンサート開催からこの記事の脱稿まで1年3か月近くあいてしまった言い訳を述べる。

理由は主にふたつ。

ひとつは、気力体力的な事情。

もうひとつは、客席でリアルタイムに聴いた印象の記憶と、そのあとブレーンから発売されたライブCDを聴いた印象が大きく異なり、違いについて私自身の中で折り合いがつけられていないままのため。録音か、当方の再生環境か、客席にいたときのコンディションか、その他の問題によるものか分析できぬまま日々が過ぎてしまった。

とはいえ印象や記憶を記録にとどめるべく、コンサート本番当日〜翌日に連投したツイートを転載したのち、そのあとのことなどを書き足してゆくことにする。

演目はブレーンのCD紹介ページやパナムジカのCD売り場を参照ということにする。

最初に張り付けたツイートの写真にもあるとおり、那須氏による小講義はもともと皆川達夫先生がおこなう予定だった。

ブレーンのCDは演奏の録音のみで、小講義やスピーチは残念ながら収録されていない。ほか、ダイジェスト動画がYouTubeで公開されている。

あとでCDを聴くと、ハーモニーが前面に出ているような印象。個々のパートがフレーズの起伏で線を紡ぐという方向性はあんまり感じとれないかなあ。

なお、首都大学東京グリークラブは今年4月より「東京都立大学グリークラブ」に改称した。

「独特な歌いまわしをするメンバー」の存在はCDを聞く限り不思議と目につかない。ほんの少しソプラノのピッチが高めに聞こえる箇所はあるけど、サウンドを色付けする方向に作用している。

あまりルネサンス音楽はとりあげないと演奏前のスピーチで話されていたが、なかなかどうしてしっかりした演奏である。音楽的基礎体力の賜物なのであろう。

普段からルネサンス音楽に親しみ、音楽が体に染み込んでいるように見受けられる闊達な演奏。

フレーズを手繰り寄せるかのように歌い進めるのが、皆川スタイルの特徴のひとつだと思う。

CDに付属するブックレットでは皆川達夫・山中真佐子の両氏による指揮と記されているが、上記の通り間違い。ブレーン公式サイトのCD紹介ページでは山中氏のみが指揮したと書いてある。

今井邦男氏の指揮による演奏は、この団が全日本合唱コンクール全国大会で歌った実演(2012年の富山と、2017年の池袋)や、東海メールクワィヤーの演奏会録音で聴いたことがある。いずれからも、どこか哲学的とでもいうべき雰囲気が感じられた。その理由の一端が、この度の演奏から見えたような気がする。なんとなくでも、音楽を特徴づけるものがどのへんにあるかが見えると、以後その音楽の聴き方がつかめるようになるものである。

Victoriaの曲を演奏した唯一の団。「感情の表出は控えめ」と書いたのは、音そのものにエモーショナルな要素をはらむVictoria作品だからという前提がある。


客席やロビーでの出来事は「皆川達夫先生 逝去」という記事の後半で触れたので、よろしければそちらもどうぞ。

末筆ながら、出演者・スタッフ・来場者のみなさま、お疲れ様でした。

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