『「も」の会 夕べのコンサート』なるものを聴いてきた。出演者、スタッフ、来場者の皆様、お疲れ様でした。
一昨年の第9回リリックホールコーラスフェスティバルで「も」の会の存在を知り、室内合唱としてのびのびアンサンブルする姿が記憶にとどまっていた。今月に入ってリリックホールの催し物案内で演奏会が行われるのを知り、関心とともに出かけることにした次第。
「も」の会という団体名は「あれもこれも歌いたい」の「も」から採ったものと、リリックホールコーラスフェスティバルでのMCで紹介されていたような。
当日14時、会場の長岡リリックホール第1スタジオへ。開演は19時からなのだが、パンフレットに「ホワイトデーコンサート2013」チラシを挟み込ませていただきにお邪魔したのだ。すると、Bassの佐藤秀一さんから「挟み込み依頼の電話を受けたあと、えちごコラリアーズのことを調べましたよ。tek310さんが指揮者なんですね。巻の加藤さんも団員なんですね」と話しかけられる。この方は、tek310さんも参加する「ヴォーカルアンサンブル・ルミネ」メンバーでもいらっしゃるのだ。
そのあと、同じくルミネのメンバーでもいらっしゃるAltoの稲井さんに久々の御挨拶。一昨年下半期お仕事で週1〜2日お目に掛かっていたが、合唱関係の場でお話しするのは初めて。
「も」の会の皆様がスタジオで直前リハーサルをする間、せきはスタジオ入口前のテーブルでひとり挟み込み作業。
用を済ませていったん帰宅し、19時間際に再び第1スタジオへ。客席には、男声合唱団トルヴェールでご無沙汰のメンバーが家族でいらしていた。
パンフレットの出演者紹介ページを読み、指揮およびテノール独唱を務める野村和貴さんが立教学院諸聖徒礼拝堂聖歌隊のOBでいらっしゃることに驚く。同窓生なのですね。
開演。野村和貴さんが「Natus est Rex(12世紀、作者不詳)」を歌う中、メンバー一同が入場・整列。
- モーツァルト:Litaniae Lauretanae B.M.V. 《聖母マリアの連祷》 K.109 より
- 指揮:野村和貴/ピアノ:藤井快哉/合唱:「も」の会
- Kyrie
- Salus infirmorum
- Agnus Dei
当時の演奏はこんな感じで行われていたんだろうな。男声の軽いトーンが様式感にぴったり。
- ヘンデル:「メサイア」より
- 指揮:野村和貴/ピアノ:藤井快哉/合唱:「も」の会
- 12. For unto us a child is born
- 18. Rejoice greatly, O daughter of Zion (ソプラノ:樋口由佳里)
- 26. All we like sheep have gone astray
- 33. Lift up your heads, O ye gates
- 42. He that dwelleth in heaven (テノール:野村和貴)
- 43. Thou shalt break them (テノール:野村和貴)
- 44. Hallelujah
大学時代、立教グリー・立教学院諸聖徒礼拝堂聖歌隊・一般参加者と合同で毎年「メサイア」の大半を歌っていたので、懐かしく聴いた。
ところどころ指揮者独自と思しき解釈が顔を出す。たとえば「Hallelujah」終盤「forever and ever Hallelujah」と連呼するくだりでdecresc.し、最後の「Hallelujah」でsubito forteになるところとか。
- R. シュトラウスの歌曲
- ソプラノ:樋口由佳里/ピアノ:佐藤秀一
- 明日! Op. 27-4
- 『4つの最後の歌』より 眠りにつくとき
休憩をはさみ、がらっと雰囲気が変わって、まずは後期ロマン派の独唱曲。1曲目は作曲者が30歳のときの作品、2曲目は最晩年の作品と、半世紀超のインターバルを挟んでいるわけだが、そこらへんの話は本稿を書くに当たって調べて知ったことで、演奏を聴いたときはただ曲想の違いを味わい深く感じた程度。
他の出演者の皆さんは、ご自身の出番でない曲の間、舞台の奥に置かれた椅子に座って聴いていらした。
- ショパン:前奏曲 ホ短調 Op.28-4
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ「悲愴」より第2楽章 - ピアノ:佐藤瞭大
続いてピアノ独奏。佐藤瞭大さんは先程の佐藤秀一さんと同じ「も」の会Bassパートで、かつアンサンブル・ルミネの団員でもいらっしゃる。お二人とも多才で羨ましき限り。
- モーツァルト:Vesperae solennes de Confessore 《証聖者の盛儀晩課》 K.339
- 指揮:野村和貴/ピアノ:藤井快哉/合唱:「も」の会
- Dixit Dominus
- Confitebor
- Beatus vir
- Laudate pueri
- Laudate Dominum
- Magnificat
モーツァルトの混声合唱曲、せきは「Ave verum corpus」を歌った以外、「戴冠ミサ」「レクイエム」「雀のミサ」ぐらいしか聴いた経験がないのだが、今夕で不勉強を痛感した。男声合唱だと、大学四年のとき六連合同ステージで「僧侶の合唱」を歌ったぐらい。
- ドビュッシー:月の光
- ピアノ:藤井快哉
ピアノ独奏で演奏会本編が締めくくられるのは初体験。これはこれで味わい深い。演奏前に「今宵は曲にふさわしく満月だが、雨なのは残念」などとスピーチあり。
そしてアンコール。まず藤井快哉さんのピアノ独奏で、ショパン作曲「ポロネーズ第6番 変イ長調(英雄ポロネーズ) 作品53」。
ダブルアンコールとして、「も」の会の合唱で、モーツァルト作曲「Ave verum corpus K.618」。
全プログラム終了後、出演者の皆様が一人一人退場し、最後に野村さんがしめくくりの挨拶でお開き。会場の掲示板には「20:30終演予定」と記されていたが、実際には21時を回っていた。
アットホームながら品格に溢れた演奏会で、満ち足りた雰囲気に包まれて会場を後にする来場者の方々が多かったように思う。