2022/11/05の日記:第113回立教大学グリークラブ混声定期演奏会 #立グリ113th

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わが出身団体による「第113回立教大学グリークラブ混声定期演奏会」を聴いてきた。感染症対策が厳しくなっている昨今だったので、寄り道などは最小限にとどめ、駆け足で行動。

出演者・スタッフ・来場者の皆様、お疲れ様でした。


現役の定期演奏会は2019年11月の第110回男声定期演奏会(当ブログにはリポート未記載ですが、当日の実況ツイートが残ってます)以来。当ブログでリポート記事を公開したものだと、第106回男声定期演奏会および第106回女声定期演奏会以来。

混声と銘打って開かれた定期演奏会に至っては2006年の第97回(定期演奏会が男女別々になった1980年の第71回以降、初めての男女合同開催)以来。同様の形で行われた定期演奏会は2009年の第100回や2012年の第103回もあるが、都合がつかなくて足を運べず。


開場時刻の15時45分になって早々に、川口総合文化センター・リリアのメインホールに到着。eプラスの電子チケットで購入。入場はスムーズだし、管理も紙のチケットより格段に楽だし、私にとっては有難かった。

客席は6〜7割ぐらいの入りだったろうか。ほぼ中央に着席。周りには大先輩諸氏ばかり。髙坂徹先輩もいらした。また、田中豊輝先生もいらした由。私は気づかなかったけれど割と近くに座っておられた様子。


出演者はほぼノーマスク。不織布マスク着用でステージに立ったのは、女声ステージでピアノを弾いた田村祥子先生および譜めくりさんと、アルト団員1名くらいだったはず。

場内アナウンスは男声。この種の演奏会では珍しいように思う。概ね聞きやすくてよい。


エール
立教大学校歌「栄光の立教」
編曲:辻荘一
指揮:澤開梓(女声学生指揮者)
Rikkyo College Song「St. Paul’s will shine tonight」
編曲:鶴岡陽一
指揮:山北響斗(男声学生指揮者)

いずれも混声での演奏。各編曲については当ブログの「Rikkyo Songs 合唱版のこと」という記事にまとめてあるので、そちらをどうぞ。

感染症騒動で大学合唱団の活動に対するハードルが高くなっている昨今ながらも的確に練習を積み重ねてきたことが伝わり、このあとのステージに期待が持てる仕上がり。

第1ステージ
女声合唱とピアノのための『わたしの水平線』
作詩:高橋順子/作曲:田中達也
指揮:澤開梓(女声学生指揮者)/ピアノ:田村祥子

曲集全曲での演奏。

ピッチも音色もまとまりよし。さらに立教女声としては抜群に言葉がきちんと聴こえる。一方、立教女声の伝統ではあるが、舞台の中だけに音楽がとどまっていた感あり。フォルテ系においては客席まで声が届いていないし、ピアノ系においては客席を舞台へ引き込むような求心力が感じられず。録音録画だとこのへんは編集でカバー可能だろうから安心して聴けそうだけど。

第2ステージ
男声合唱組曲『陽炎と葬列』
作詩:山崎澍朗/作曲:多田武彦
指揮:山北響斗(男声学生指揮者)

タダタケものとしては極度に演奏頻度が低い組曲。もしかすると委嘱初演者・龍谷大学男声合唱団以外では初めての再演かも。恐らく初演と思われる録音がYouTubeで公開されているので近年になって音源にアクセスしやすくなってはいる。このたびの演奏を聴き、数々の男声合唱団に取り上げられてよい作品だと思った。

組曲は、タダタケものとしては珍しい、生と死がテーマ。第1曲「蝉と蟻」では生命の輝きを、第2曲「陽炎と葬列」ではある幼児の死を、第3曲「さしのべる手に」と第4曲「夕べの砂山に」ではその幼児を失った悲しみを、終曲「星のしずく」では亡き幼児に向けた祈りをうたう。終曲でちらっと仏様が出てくることを除くと特定の宗教色は薄い。詩では語り手と幼児との関係があまり明瞭ではないものの、作曲上は語り手が幼児の親、もしくは肉親に限りなく近い存在であるかのように組曲が構成されている。

フレージングは粗削り気味ながらも、精度の高いハモりやダイナミクスで、タダタケならではの心情の移り変わり、「さしのべる手に」あたりでみられるタダタケらしからぬ激越さ、双方を丁寧に描いた演奏。

第3ステージ
女声合唱組曲『星の仔馬』
作詩:友田多喜雄/作曲:柳田孝義
指揮:湊晋吾/ピアノ:田村祥子

湊先生がパンフレットに記すところでは「今回は少しでも心のオアシスとなる様な作品を学生と一緒に選んでみました」と。

演奏に対する第一印象は第1ステージとほぼ同じ。ただ、第1ステージに比べるとやや発語不明瞭かな。作曲によるものか、指揮者の指導によるものかは判断がつかない。

ちょっと安全運転な演奏かなと思いながらカワイ出版の公式サイトにある楽譜見本を「立ち読み」したところ、客席で聴いた印象よりも広い音域が使われていることが分かり、評価を改めた。立教女声は少し前までソプラノの高音域でGを使いこなせる人とそうでない人が混じっていて「頑張って高い音を出している」と感じさせる音域が他の女声合唱団よりやや低めだったが、このたびの女声ステージでは頑張っている感じがなく、広い音域を自然に歌いこなしていたというのが実像に近かったようだ。

アルトについて、学指揮の団員さんが音色の要かもと感じた瞬間があった。

第4ステージ
『青年のアミュレット』
作詞:アサマツ,健やか坂タ口ウ/作曲・ピアノ:山北響斗(男声学生指揮者)
指揮:佐藤孝汰郎(混声学生指揮者)

立教グリーとしては初、合唱団全般でみても珍しい、作詞作曲指揮ピアノすべて部員のみによるステージ。もっとも、田中先生をお呼びしてのレッスンがあった由。

演奏者の思い入れと相まってか、他の演目に引けを取らない出来映え。特に終曲冒頭のソロが出色。

いまどきの大学生ならではの詩・曲で、立教に特化した要素は皆無なので、他の男声合唱団でも抵抗なく取り上げることができそう。これから歌い継がれてゆけばいいな。

学生指揮者が男声・女声・混声の3人体制なのは立教グリーとしては珍しい(男声学生指揮者が混声学生指揮者を兼任する年度が多い)。でも初めてではなく、1971年度などの事例がある。

今年度の混声学生指揮者・佐藤くんは別名義で作編曲活動をしているとのこと(立教グリーとは無関係と思われる団体の委嘱を受けて編曲を書き下ろしたことがあるとパンフレットで紹介されていた。筆名も書いてあったが、ここで公開していいかどうか未確認なので割愛。拙サイト内「日本の絶版・未出版男声合唱曲」に彼の項目があるとだけ書いておく)。また、今年度の男声学生指揮者・山北くんは立教に入学する前ピアノのコンクールで活躍していた人ということで、このたびピアニストを務めるのも納得。多才なコンビである。

第5ステージ
Messe in Es ”Cantus Missae” Op.109
作曲:Josef Gabriel Rheinberger
指揮:松村努

このステージだけ譜持ち。感染症騒動で演奏会を開催できなかった96〜98代のOGOB有志も参加したのこと。舞台を広く使い、なかなかの大曲を生き生きと歌いきった。

女声は、松村先生に引き出されたのか、男声に触発されたのか、高音域が要求される箇所が多かったせいか、他のステージより音圧が高め。女声だけのステージもこうあってほしかったなあ。

アンコール

混声のみ。諸先生方によるアンコールはなく、混声学生指揮者による演奏のみ。

1曲目は「方舟」(大岡信作詩/木下牧子作曲による混声合唱組曲『方舟』終曲)。ピアニストは男声合唱指揮者。とてもスタミナのいる曲をガンガンと歌い切った。

2曲目は、伝統のクロージング「神共にいまして」。指揮者は「方舟」と同じく混声学生指揮者。

「神共にいまして」終演後のアナウンスで来年のグリーフェスティバルについて告知があったが、拍手などで埋もれてしまった。この告知はアンコール前などにキャプテンがスピーチするほうが客席に届いたのでは。


末筆ながら断り書き。この記事は演奏会当日のツイートに加筆したものである。

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