2023/07/09の日記:第43回立教大学グリーフェスティバル

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日帰りで上京し、板橋区立文化会館で行われた「第43回立教大学グリーフェスティバル 創部100周年記念・皆川達夫先生追悼演奏会」を聴いてきた。


エール「立教大学校歌 栄光の立教」「St. Paul’s Will Shine Tonight」

現役のみによる演奏。

1st Stage: 立教大学グリークラブ(現役)

NHK全国学校音楽コンクール課題曲より
指揮:丸山智明(学生指揮者3年)/ピアノ:山北響斗
  • 君が君に歌う歌(作詩:ELVIS WOODSTOCK/作曲:大島ミチル)
  • ある真夜中に(作詩:瀬戸内寂聴/作曲:千原英喜)
混声合唱とピアノのための『鉄道組曲』より
作曲:信長貴富
指揮:原田和弥(学生指揮者4年)/ピアノ:山北響斗
  • 間奏曲(短歌:石川啄木)
  • 上野ステエション(作詩:室生犀星)
  • 恋の山手線(詞:四代目・柳亭痴楽)

現役は人数が減ったものの演奏スキルは例年より高水準だと思う。今年度の定期演奏会など、今後に期待が持てる。「恋の山手線」でノリノリな姿を表出していたメンバーが若干名ながらみられたことも好印象。

2nd Stage: 混声合唱団トリニティコール

グレゴリオ聖歌と4つのモテット
指揮・ピアノ:渡辺研一郎
  • Ave Verum Corpus(グレゴリオ聖歌)
  • Ave Verum Corpus(作曲:W. A. Mozart)
  • Ave Verum(作曲:C. F. Gounod)
  • Ave Maria(作曲:C. Franck)
  • Nunc dimittis(作曲:V. Williams)

長年指揮者を務めた田中秀男先輩が勇退し、ピアニストを務めていた渡辺研一郎氏が指揮者を引き継いだ。また、立教大学グリークラブOBOGの縛りを外し一般の参加者も受け入れるようになった由。

指揮者がかわってアンサンブルの調和度合いが高まった。指揮者でもある渡辺研一郎氏のピアノは、合唱団と楽曲の特性もあってか、古きよきサロンふうの味わい。

3rd Stage: 女声合唱団しおん

女声合唱のための『三つの抒情』
作曲:三善晃
指揮:湊晋吾/ピアノ:前田勝則
  • 1. 或る風に寄せて(作詩:立原道造)
  • 2. 北の海(作詩:中原中也)
  • 3. ふるさとの夜に寄す(作詩:立原道造)

齢とキャリアの積み重ねが感じ取れる、味わい深い歌唱。現役としてもしおんとしても何度か取り上げた経験のあるレパートリーだからか、暗譜で歌っていたメンバーが大半。

一方で、アルトの鳴りがあまり聴こえなかったことにショックを受け、いろいろ考えるところがあった。幸い、11月12日の「しおん 秋のコンサート」でこの組曲が再演され、そこでグリーフェスティバルでの演奏がどうだったか分析するヒントが得られた。導き出した結論は「そもそも三善晃のピアノ付き女声合唱曲は音響的にアルトが埋もれやすい(他パートおよびピアノに潰されがちな)書き方なのかも。そこにホールの音響特性や聴いた席の影響も加味される」。書法の問題については、11月25・26日に行われた全日本合唱コンクール大学職場一般の部で、課題曲のひとつ「街路灯」が複数の女声合唱団で取り上げられたり、他の三善晃のピアノ付き女声合唱曲を取り上げた出場団体があったりしたのを聴いて、確信をもった。

4th Stage: 100周年記念男声合唱団

男声合唱組曲『アイヌのウポポ』
採譜:近藤鏡二郎/作曲:清水脩
指揮:舛本祐己(2019年卒)
  • I. くじら祭り
  • II. イヨマンテ(熊祭り)
  • III. ピリカ ピリカ
  • IV. 日食月食に祈る歌
  • V. 恋歌
  • VI. リムセ(輪舞)

立教大学グリークラブ現役の委嘱で1961年に初演された組曲を、創部100周年を祝うべく参集した現役およびOB(OB男声合唱団+有志)により演奏。伝統の力もあり白眉というべきステージ。

なお、この組曲はOB男声合唱団が来年1月20日のリサイタルで指揮者を違えて再演する予定。

5th Stage: 立教大学グリークラブ・OBOG有志

『Missa Pange Lingua』 —皆川達夫先生追悼ステージ—
作曲: Josquin des Prez
指揮:山中真佐子
  • Kyrie
  • Gloria
  • Credo
  • Sanctus
  • Agnus Dei

新型コロナウイルスなどの影響でグリーフェスティバルが4年ほど開催できなかったためもあり、皆川達夫先生の帰天から3年が過ぎた今になってようやく追悼ステージが実現した。

舞台の前方には皆川先生の写真が飾られていた。演奏に先だち、星野宏美部長教授によるスピーチ。皆川先生から部長教授を頼まれたときのこと、日本の大学における西洋音楽受容の歴史、皆川名誉部長および辻荘一名誉部長の功績などが語られた。

指揮者の山中先生は皆川先生没後に中世音楽合唱団指揮者を継いだ人で、指揮はクロモート曲線を軸としたルネサンス音楽としてはオーソドックスな振り方。皆川先生の指揮法とはかなり異なって見えるが奏でられる音楽からは通底するものが感じられた。拝聴しながら時々皆川先生の指揮・指導を懐かしく思い起こす。合唱団には星野宏美部長教授と、賛助として中世音楽合唱団メンバーが各パート1〜2名加わっていた。

アンコールは星野宏美部長教授による指揮で「神共にいまして」。演奏スタイルは皆川先生を踏襲したもの。


演奏会のパンフレットは創部100周年記念および皆川達夫先生追悼演奏会ということで、創部100周年の祝賀や辻荘一名誉部長・皆川達夫名誉部長を偲ぶ寄稿および企画ページが数ページ。このうち元OB会長・佐藤正朗先輩による寄稿については「『皆川先生の深い悩み』に対する疑義など」という記事で批判をこめてまとめた。


ロビーでは、音楽之友社から刊行される追悼文集「Dona nobis pacem 皆川達夫先生の想い出」の先行発売コーナーや、平成4〜6年卒のOBOGが他のOBOGを対象に現役支援のクラウドファンディングを兼ねて製作した創部100周年記念グッズ(Tシャツ、トートバッグ)販売コーナーが設けられていた。私はどちらも購入。


末筆ながら、出演者・スタッフ・来場者の皆様、お疲れ様でした。

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