当ブログにおいて日記系の記事は出来事の発生順に書いて公開することを原則としていますが、このたびは原則を破ります。本記事は「箕輪久夫先生 逝去」の続編という意味合いを兼ねているからです。
去る本年9月23日午後、新潟市万代市民会館の多目的ホールにて、合唱団Lalari創団20周年記念演奏会「うたの集い」と銘打った企画を行いました。概要は合唱団LalariのFacebookページにまとめてあります。書いたのは私です。ただ、ボリューム過多などという意見を受けて演目情報ほかをいろいろ割愛しました。その代わりとして、長文記事ばかりな個人ブログに、私が参加したステージに限って曲名などを書くことにします。演奏順です。
合唱団Lalari
- 組曲『時間』 無伴奏混声合唱のために
- 詩:林望/作曲:上田真樹
- ポジティブ太郎 〜いつでも始まり
- 詩:つんく/作曲:上田真樹
現在アクティブなメンバーを中心に演奏しました。
『時間』は何年も前に音だけ取ったものの、ステージに出演できる人数的事情で第1曲「夢の雨」以外お蔵入りが続き、今回ようやく組曲全曲が陽の目を見た次第です。でも再演の目途は残念ながら立っていません。
「ポジティブ太郎 〜いつでも始まり」はステージアンコールとして歌いました。カルテットでも演奏可能という有難い譜面で「Lalariの窮地をたびたび救ってくれた曲」という紹介つきでした。
男声合唱団トルヴェール
- Ride the Chariot
- 黒人霊歌/編曲:William Henry Smith
- 柳河
- 作詩:北原白秋/作曲:多田武彦
- 春の小川
- 作詞:高野辰之〈林柳波 改詞〉/作曲:岡野貞一/編曲:源田俊一郎
- 酒と泪と男と女
- 作詞・作曲:河島英五/編曲:源田俊一郎
- いざ起て戦人よ
- 作詩:藤井泰一郎/作曲:James McGranahan
トルヴェールは7〜8年ほど休眠状態でしたが、この企画をきっかけに再結集しました。「酒と泪と男と女」はメンバーのおひとりの令夫人がピアニストを務めました。
「春の小川」「酒と泪と男と女」は、ともに「男声合唱のための酒の歌 アルコール名曲集」という出版譜に収録された編曲です。ただ「春の小川」は出オチ的なギャグが仕込まれた編曲で、出典を明かすとネタばれになるため、事前情報では出典を伏せました。幸い源田氏には『ふるさとの四季』という超定番な唱歌メドレーの編曲があり「春の小川」も収録されているので、男声合唱フリークでなければそちらを思い浮かべる合唱人が多いはずというミスリードを狙ったところもあります。
「いざ起て戦人よ」はステージアンコールとして、呼びかけに応じて客席から登壇した若干名様と一緒に歌いました。
合唱団Lalariと有志によるステージ
- Jo mi son giovinetta – 私は若い娘
- 作曲:Claudio Monteverdi
- Non piu guerra! Pietate! – もう戦いはやめて
- 作曲:Claudio Monteverdi
- Ecco mormorar l’onde – 波はささやき
- 作曲:Claudio Monteverdi
「有志」は、かつてLalariで歌っていたけれど近年は参加いただけていない方々が主です。創団メンバーもいらっしゃり、そのおひとりが演奏前にLalari草創期のエピソードなどを紹介しました。
Monteverdi作品は箕輪久夫先生の重要なレパートリーで、Lalariも私が助っ人として加わる前はしばしば取り上げていました。「有志」の皆さんと一緒に歌うならやっぱりMonteverdiは欠かせないよねということでの選曲です。
先生は当日ご来場が叶わなかったのですが、この演奏には参加せず他のステージで歌った大先輩から「先生がいらっしゃらないのに、自分が新大室内合唱団で先生と歌っていたときと全く変わりのない音楽があり、先生の偉大さを感じた」という趣旨のご感想をいただきました。
ところで、このステージではなぜか私が冒頭の音取りと歌い始めの指示を出すことになったものの(前半2曲は初めて歌う曲で、音が取れて日が浅いにもかかわらず僭越にも)、皆さん私が示した予備拍と異なるテンポで歌うのですよね。でもそれで前述のお言葉をいただいたわけで、箕輪先生の音楽が皆さんの身体に染み付いていることを痛感し、我が身が末席にあることを再確認して居たたまれない思いをしました。
合同合唱
- 夢みたものは
- 作詩:立原道造/作曲:木下牧子
- 鷗
- 作詩:三好達治/作曲:木下牧子
- またね
- 作詩:山田ゆきえ/作曲:佐藤さおり
- Ave Verum Corpus
- 作曲:W. A. Mozart
Lalariと賛助出演の皆さんで歌いました。
前半2曲は県内のLalari世代が多い混声合唱団ではお馴染みの愛唱曲です。ただ私これらを歌った経験がなく(という話をするたびに驚かれてきたのですが、実は私の出身団体である立教大学グリークラブでは現在までどちらも取り上げたことがありません)ロビーコールなどに混ざれず残念な思いをしてきたので、お願いして候補曲に加えてもらったという裏事情があります。この2曲はのちに三条市音楽祭やリリックホールコーラスフェスティバルで再演する運びとなりました。
後半2曲は箕輪先生のアンコールとして取り上げられることが多いナンバーです。ピアノはアンサンブルfilatoのメンバーが弾きました。
私が参加した以外だと、アンサンブル・ロゼのステージで昨年から箕輪先生と温めてきたという合唱曲が、新大オペラ研究会卒業生のステージで箕輪先生ゆかりの独唱曲などが演奏されました。
「うたの集い」ステージ写真などの記録物は寄せ書きつきの手作りと、写真屋さんに製本を外注したアルバムの2種類が作られ、当日ご来場が叶わなかった先生のもとへ、89歳のお誕生日にあたる10月29日に合わせて届けられました。仲立ちしてくださったご親族からはお喜びいただいた旨の報告をいただきました。
それから半月ちょっと経ち、悲報がもたらされました。
先生の葬儀は、11月25日(土曜)15時から一般焼香ののち18時からお通夜、翌11月26日(日曜日)正午から本葬、13時出棺というスケジュールで執り行われました。両日とも全日本合唱コンクール大学ユース職場一般の部の全国大会がりゅーとぴあで開催されておりLalariメンバーの大半がそちらのスタッフを務めたため一般焼香中は弔問に伺えず、少し早めに仕事が終わった私は17時半くらいに、他のメンバーはお通夜終盤や導師様退出後に斎場へ駆けつけました。
斎場には、ご家族の希望で、先生の写っている写真や先生ゆかりの行事のパンフレットなどが集められて並べられていました。その中に「うたの集い」記録物2冊もありました。箕輪久夫先生おひとりのためだけに作った冊子が想定外の形で他の皆さまのお目に触れることとなりました。お別れの寂しさとあわせて、先生がお元気なうちに「うたの集い」を開催しご報告できた有難さを感じるところです。
「うたの集い」を通じ、改めて箕輪先生の影響力や先生がきっかけで生まれた絆の強さを知ることができました。一種の共通言語といってもよいのでしょう。その中に加えていただけたのは感謝にたえません。先生ありがとうございました。