「II. うたを うたう とき」その2: ……なところが信長さんは

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まど氏の詩はさまざまな人によって作曲されていて、誰がどの詩に作曲したかという一覧が「日本詩人愛唱歌集 詩と音楽を愛する人のためのデータベース」の「まど・みちお」の項にまとめられています。
まど氏+信長氏による合唱組曲は現時点で「せんねんまんねん」「トンボとそら」の2作品があるようです。いずれも混声。
ほか、「うたを うたう とき」のような単品が何曲かあります。
2009年5月30日、新潟ユース合唱団の練習にて、指揮者・tek310氏が以下のような感じの発言をしていました。
「他の作曲家(もとの発言では実名が挙がっていましたが、とりあえず伏せます)がこの詩に作曲した曲には長調のものが多いが、この曲は短調。そこに信長さんの非凡なところ」
これを聞いて、せきは、信長氏が唱歌などを編曲した無伴奏合唱曲集「ノスタルジア」出版譜のライナーノーツに「編曲に際しての留意——原曲の魅力を保存しつつ適度な意外性を加味し、印象的な作品にすること」と記されているのを思い起こしたものです。
「うたを うたう とき」は編曲でなくオリジナル合唱曲ですが、シンプルな主旋律を一時的転調や臨時記号による和声や掛け合いなどで支えることによって色彩の移り変わりを演出するあたり、「ノスタルジア」に通じるものがあります。
調性ももちろん意外さのひとつ。
そして最後に平行調の長調で終わるところ、曲が収束して、ほっと安らぐような感じがありますね。

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