「コスミック・エレジー」譜面を見てびっくり

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1/16の男声合唱団トルヴェール練習の前、万代シテイのヤマハに寄って合唱の楽譜をパラパラと眺めた。

そのうちの1冊、千原英喜氏の近作「混声合唱のための コスミック・エレジー」。草野心平氏の詩に邦楽やブルースなどのエッセンスを取り込んで作曲したユニークな組曲である。その第1曲が「さようなら一万年」と「原子」という2篇の詩を抜粋して組み合わせたテキストなのを見て、驚いて声をあげそうになった。


複数の文学作品のコラージュに作曲した合唱曲自体はそんなに珍しいものではない。有名なところでは、新実徳英氏によるNコン課題曲「生きる」や新実氏作曲の組曲「花に寄せて」あたりが挙げられよう。

だが、こういう形で自作に作曲されることを嫌う詩人もいる。草野心平氏がそのおひとり。草野氏は生前、多田武彦氏に「作曲者の都合で詩を抜粋・改変することは許せない」と漏らしておられたという。

草野氏逝去から8年たった1996年、雪の風景を描いた氏の詩群をテキストに、荻久保和明氏が「幻の雪」という無伴奏男声合唱組曲を書いた。第4曲は3つの詩のコラージュをテキストとするが、伝え聞くところによると、詩人の著作権継承者がこれにクレームをつけ、しばらく再演できない時期があったらしい(あくまでも伝聞ゆえ真偽の裏取りはしていない)。ちなみにせきは「幻の雪」について、JAMCA合同演奏での初演と、東西四連合同演奏での再演を聴いた。


そんなことが頭にあったものだから、千原氏の「さようなら一万年」を詩人の著作権継承者が出版許可したことに驚いた次第。

まあ、高嶋みどり氏が草野氏の詩に作曲した「青いメッセージ」も、終曲で2つの詩を組み合わせていて、それで出版されているわけで(片方の詩「春殖」は「る」の繰り返しなので、テキストを知らない人には詩でなくヴォーカリーズと思われかねないのですが)。

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