昨日に引き続き、Nコン2010こと第77回NHK全国学校音楽コンクール高等学校の部の全国大会TV中継を見ました。
課題曲
技術面は平均値が高い分、かえって粗が目についてしまいます。端的に言うと、どこも最後のシンプルなドミソの和音がいまひとつ決まらないところとか、宮崎と杉並について男声パートの声が鳴り始めるまでオンビートでなく若干の遅延があったりとか。
表現面は甲乙付け難かったですね。
自由曲
今回は全団体が日本人作品。しかも11団体中6団体が鈴木輝昭作品、3団体が鈴木氏の師である三善晃作品。残り2団体はそれぞれ松下耕作品と高嶋みどり作品。中学の部と好対照ですね。「Nコンon the Web」を見ると外国作品は例年より少なめかなという感はあるものの、ここに名前を挙げなかった日本人作曲家も割と取り上げられているようです。思うに、鈴木輝昭作品もしくはそれに近いサウンドの曲を選んだことで課題曲の音に慣れた団が勝ち抜いたってところなんでしょう。
岡崎高校が取り上げた「ソーラン節」は昨年新潟ユース合唱団で歌った(参照:「あさって歌う2つの民謡合唱曲」、「2009/10/24の日記(その1)」)ので懐かしかったです。
特別ステージ:谷川俊太郎氏による自作詩の朗読
谷川氏が自作を朗読するのは入場料を払っても聞く価値があるとおっしゃってた人がいますが、本当ですね。俳優さんみたいに演技しているわけでなく、でも色彩の豊かな朗読でした。
朗読された詩は「春に」「愛」「いのち」の3作品でした。「春に」は木下牧子氏が作曲したもので有名。「愛」は鈴木輝昭氏が「もうひとつのかお」中の1曲として作曲した詩。「いのち」は今回の課題曲になった詩。
そうそう。詩を読む前、鈴木輝昭氏から谷川作品の素晴らしさをたたえるメッセージが届けられました。せっかくなら審査員として来ていた木下氏からもメッセージをもらえばよかったのに。
実況席ゲスト
今回は錦織健氏お一人でした。ツイッターでは「テキトーなことばかり言って」と不評の声が見られましたが、声楽技術的なことや舞台人かつ合唱部出身者ならではのメンタルなことに関するコメントは悪くなかったと思います。少なくとも、昨年の中学の部でプーランク作品を取り上げた団を宗教曲だからといって「原点回帰」と紹介した秋川雅史氏に比べれば、ちゃんと予習をした形跡が認められる点で段違いでしょう。