北村協一先生にまつわる思い出 (2)
5年目の命日から書き始めている北村協一先生の思い出話、続き。
北村先生の技術指導はコンパクトで分かりやすくかつ当を得たもの。大久保昭男先生による基礎ヴォイストレーニングに加え、北村先生は丁寧に体の使い方の実践ポイントを指導してくださった。
立教グリー現役時代、男声定期演奏会のアンケートで「北村先生のステージになると発声の整い方が抜群」みたいな主旨のことを書いた人がいた。確か、同じく北村先生のご指導を受けていた慶應ワグネルの男声。
講釈は少なく、代わりに団員に繰り返して歌わせるレッスンが多かった。ある箇所を取り出して反復練習するときは「この数小節しかやらないから譜面を見ない!」という一言がセットだった。おかげで、練習で集中して取り組むすべが身に付いたように、せきは思う。
技術指導ということで、特に鮮烈に覚えている練習は、2年次の六連「尾崎喜八の詩から」練習初回。
その日は第1曲の冒頭、16分音符2つ+付点4分休符+16分音符3つから成る、全員によるユニゾン「いま 野には」だけに練習時間の大半が費やされた。各音符に付いているアクセントの表出が弱いということで、そのフレーズを一人ずつ歌わせての特訓となったのだ。アクセントの表現に必要な筋肉の動かし方を指導すべく、北村先生に胴回りを触られたり、逆に北村先生の胴回りを触ったりさせられたメンバーも数多くいた。