谷川俊太郎作詩/木下牧子作曲「春に」攻略にあたってのメモ

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せきが混ぜてもらっている合唱団Lalariは昨年、いわゆるクラス合唱曲と呼ばれる系統のピアノ付き合唱曲を2作品ほど取り上げた。幅広い層のお客様に楽しんでいただけたらという思いからである。

本記事で今回取り上げるのは、そのうちの片方、谷川俊太郎作詩/木下牧子作曲「春に」。最近では「キングオブコント2021」決勝でザ・マミィが披露したネタに使われたことで話題になった。


合唱団Lalariが演奏したのは混声3部版だが、本記事では混声4部版や女声版や男声版にも当てはめられるように書く。

成り立ちとか解題とか

「春に」の楽曲分析や解釈について書かれた文書はネット上に様々あるので本記事では立ち入らない。

ここでは、初代「木下牧子公式サイト」「Q&A」と、教育芸術社「音楽教育 ヴァン vol.47 2021.9」巻頭に載っている作詩者と作曲者の対談を紹介するにとどめる。

練習方法の1アイディア

この曲は、ほぼすべてのフレーズが裏拍で始まる。指揮者がいないと(いても)フレーズの入りがバラつきやすい。

解決策として私が提案したいのは、16分音符単位でタンギングしながら歌うという練習である。例えば「この気li持loちliはla」みたいな要領で。タンギングしながら歌う場合「ん」の発音にちょっとしたコツが要る。なお、後半に出てくる3連符はタンギング不要。

休符の部分も16分音符単位で「t t t t」みたいにタンギングし続けるほうが望ましいと思う。自分たちが歌っていなくても音楽はビートやパルスとともに流れ続けているからである。

なぜ16分音符単位かといえば、この曲の合唱パートに出てくる最も短い音符が16分音符なので。この練習を繰り返して16分音符単位のパルスが身体に染み込むようになると、裏拍からの入りでバラつきにくくなるばかりでなく、音符・休符の長さなどについて精度が上がる。そして長い音符を伸ばしている最中に音色が瘦せ細っていく現象も防ぎやすくなる。

16分音符単位で違う子音を刻むとか16分音符単位で手拍子を打つとかいう方法も試してみたけれど、タンギングが最も歌いながらビートやパルスを体感しやすいように私には感じられた。

なお、あくまでも筆者の個人的体験による私見ということを断り書きする。Lalariの練習の場で「この方法で自習したらフレーズの入りなどが改善できた」と報告したが、試してみたというメンバーは残念ながらいなかった模様。

テンポ感覚を磨く練習には、他に「裏拍で手拍子を打ちながら歌う」などの方法もある。また、しばしば作曲者ご本人が歌唱全般で推奨するものとして、母音唱でレガートにフレーズを作るといった練習方法もある。ただ、この曲については、16分音符単位のビートやパルスを身体に染み込ませてから違うアプローチで練習するほうが効果的であろうと思う。

3連符

一般的に3連符ではブレーキがかかりやすい傾向があるようだ。「マイバラード」みたいにあえて1.5:1.5:1(付点16分+付点16分+16分)の比率で演奏する事例もあるけれど、それが「春に」において適切かどうかは演奏に際し検討するほうがよいのではなかろうか。

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