既に四十九日は過ぎてますが、作曲家の南弘明氏が享年92で亡くなられました。どうぞ安らかに。
せきが南作品を演奏したのは、2001年2月18日に行われた「立教大学グリークラブOB男声合唱団 第1回リサイタル」で歌った『フランスの詩による男声合唱曲集「月下の一群 第1集」』全曲が現時点で唯一です。「秋の歌」の合唱だけになる箇所で鳴るd-mollの和音が特に忘れられません。この曲集は何度も実演を客席で聴いていますが、1993年1月17日(私が大学1年のとき)に行われた「関西学院グリークラブ第61回リサイタル」東京公演が初体験のはずです。
月下の一群シリーズについていうと、第2集は楽譜でしか存じません。第3集は1997年5月4日に行われた「第46回東京六大学合唱連盟定期演奏会」での明治大学グリークラブ単独ステージで実演に接しました。なお、この演奏会での立教大学グリークラブ単独ステージは第1集が取り上げられました。
このシリーズについて『フランスの詩による男声合唱曲集「月下の一群」』と呼ぶと暗黙の裡に第1集を示す風潮が割と最近まであったように思います。第1集の演奏頻度が極度に高いこと、長年にわたり出版譜は第1集のみが流通していたことが主な理由でしょう。更に付け加えると、各曲集には似たような手法・曲想がみられ後発になるほど二番・三番煎じみたいな印象も否めないところですが、多田武彦作品みたいな「これが作曲者特有の語法である」という受容の仕方もあり得るので必ずしも悪いことではないものと個人的には考えます。
月下の一群シリーズは翻訳前の原詩に係る著作権の扱いに問題がありました。概要は拙サイト内「日本の絶版・未出版男声合唱曲」の「フランスの詩による男声合唱曲集『月下の一群』シリーズ(堀口大學訳詩||南弘明作曲)について」にまとめてあります。そのため今世紀に入ってから数年ほど楽譜が絶版になっていました。諸問題をクリアして2022年8月に第3集出版および第1・2集再出版を実現させたパナムジカ出版の功労に深く敬意を表するものです。
南氏の男声合唱作品は拙サイト内「日本の絶版・未出版男声合唱曲」の「マ行の作曲家(ミ〜モ)」にリストアップされているものがすべてと思われます。男声合唱組曲『蛙の歌』については取り組みやすく歌い応えもありそうで、再出版・蘇演されてもよいのではと思っています。
YouTubeでは月下の一群シリーズのほか、男声合唱組曲『蛙の歌』、男声合唱組曲『鳥』、『男声合唱のためのミサ』の実演音源動画が公開されています。他の編成だと混声合唱組曲『飛翔』の実演音源動画が楽章ごとに分けられて公開されています。
蛇足ながら、南氏の訃報などについてメモしておきます。
南氏の命日は2026年7月24日です。逝去後まもなく、南氏に師事した森山勝利氏のFacebookアカウントで訃報と葬儀案内が投稿されました。
また、同じく南氏に師事した阿蒐禰氏もTwitterあらためXに、「大塚茜」名義で活動していた2022年5月に南ご夫妻のもとを訪ねたときの写真つきで、同様のポストをしておられます。
大学時代の恩師、
南弘明先生が亡くなりました。通夜式: 7月31日(金)18:00〜
告別式: 8月1日 (土) 11:30〜式場: 寛永寺輪王殿 第二会場
住所: 東京都台東区上野公園14-5ー
①4年前、人口6人の島に住まわれる先生方を訪ね、無償の愛を注がれ続けた私。
②当時88歳の先生の仕事部屋 https://t.co/KTz5a0sEkb— 阿蒐禰(ex-大塚茜) (@otsukaakane) July 28, 2026
ネット検索した範囲では新聞等のマスメディアで訃報が取り上げられた形跡は見当たらないのですが、上記に紹介した投稿はいずれも不特定多数向けに公開されたものなので南氏が亡くなられたことについて御遺族等の意向による情報発信の制限はされなかったものと推測されます。
一方、ご逝去から2か月以上を経てパナムジカ出版のXアカウントからお悔やみの投稿がされました。これで訃報を知ったというX利用者の合唱関係者もいらっしゃるようです。
【訃報】
2022年弊社よりリニューアル出版した、フランスの詩による男声合唱曲集『月下の一群』の作曲者、南弘明先生が、2026年7月24日、92歳にてご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりお悔やみ申し上げます。
— パナムジカ出版(PanaMusica) (@E_PanaMusica) September 28, 2026