作曲家および指揮者の大中恩氏が亡くなられました。どうぞ安らかに。
今年の出来事はたくさんあります。当ブログには残念ながらまだ6月上旬までしか書いていませんが、お悔やみは新年に持ち越したくないので、本年最後の当ブログ記事としてこのトピックを選びました。
私が演奏に参加したことのある大中作品は、大学2年のとき立教グリー内イベントの学年発表で歌った混声合唱版「ドロップスのうた」と、アラウンドシンガーズの一員として出演した2001年「おさの会 歌創り50年記念コンサート」の『おとこはおとこ』と、その演奏会アンコールとして書き下ろし初演された「九月」の3作です。「おさの会 歌創り50年記念コンサート」については、2011年4月15日付け記事「北村協一先生にまつわる思い出 (4)」に書いたので、よろしければどうぞ。
大中氏ご本人のお姿は「おさの会 歌創り50年記念コンサート」のとき拝見しました。
氏は合唱曲をたくさん残しましたが、実演に接したことがあるのは、「おさの会 歌創り50年記念コンサート」で演奏された『煉瓦色の街』『草の津』と、「島よ」(福永陽一郎氏編曲の男声合唱版は間違いなく。混声の原曲や作曲者ご自身によるトランスクリプションは記憶が定かでない)と、昨年全日本合唱コンクール課題曲のひとつに選ばれた「葉月のお月」くらいだと思います。録音を含めるとCD「秘蔵録音で綴る 東海メールクワィアー 50年史」収録の「春宵感懐」「不思議な時間」「夜会の一隅」「月の明かりで日灼けして」や、かつて慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団公式サイト上で公開されていた『わが歳月』全曲もですね。
大中作品に対しては、洒脱にして、目線が上からでも下からでもないという印象を持っています。世間一般で有名なこどものうたと相性がいいですね。男声合唱曲に限っていえば『おとこはおとこ』『わが歳月』「平林」など落語に影響を受けた作品がみられるのも特徴のひとつだと思います。
合唱作品のうち、20世紀に作曲されたものについてはメグめぐコール 公式サイト内「いろいろデータベース」に列挙されています。
出版されたものは下記の通りです。
また、「大中恩先生を偲んで」という、同社で取り扱いのある出版譜・CD商品を集めた特設コンテンツが開設されています。
男声合唱作品は上記、および拙サイト内「日本の絶版・未出版男声合唱曲」の「ア行の作曲家(オ)」および「ラ行の作曲家」を参照ください。
大中氏は膨大というべき作品を残しましたが、取り上げられる作品が既に限られているように見受けられるのは、もったいないところです。