新三条市制10周年特別演奏会と銘打った、三条市音楽協会主催の男声合唱コンサートを聴いてきた。
会場の三条市中央公民館へは、開場の13時半間際に着いた。だが72台収容を謳う付属の駐車場は既に満車で、500mほど離れた三条鍛冶道場という施設の駐車場を案内された。
出演は「三条市音楽協会男声合唱団」という、三条市で活動する2つの男声合唱団をコアとした約40名の公募団体。若きは大学生から、その3倍以上長生きした人まで、幅広い年齢層が参加していた。これまで御縁のあった人も数名。あと、先日コンサートを聴きに伺った男声合唱団「どんぐり」のメンバーもいらした。
500席の大ホールは3分の2から4分の3ぐらいの入り。
オープニング:全員合唱(指揮:佐藤匠)
- 「いざ起て戦人よ」
- 作詞:藤井泰一郎 作曲:James McGranahan
安定感抜群のサウンド。がんがん鳴るバスをやかましく感じる聴衆もいるかもと考えつつ、せき自身の体にしみついているサウンドがこういうパートバランスゆえ、原体験を再確認するような思いで好ましく聴いた。
なお、作編曲者の表記などはプログラムパンフレットよりも詳しく書いています。以降も同様。
県央地区の参加団体によるミニステージ:紫苑メンネルコール(指揮:高橋哲也)
- メンデルスゾーンの二つの宗教的男声合唱曲
(Zwei geistliche Maennerchoere, Op.115) - 作曲:Felix Mendelssohn Bartholdy
「Beate Mortui」「Periti autem」の2曲。前者は聴いたことがあったが、後者は初体験。それぞれ単独で演奏されがちだけど、2曲続けて演奏すると対比やら相補性やらが感じ取れていいですねえ。
指揮者のお名前がクレジットされていたが、合唱団の一員として歌いながらの指揮。
県央地区の参加団体によるミニステージ:三条フェスティバル男声合唱団(指揮:佐藤匠)
- 夢みたものは
- 作詩:立原道造 作曲:木下牧子
- 鴎
- 作詩:三好達治 作曲:木下牧子
定番木下作品の男声合唱版。意外とひねくれた音が書かれているけれど、音符に負けていない歌であった。
パンフレットで「夢みたものは」について「知り合いの結婚式のお祝いの為に作ったそうです」と書かれていた。のちにこの夫婦が離婚したため由来は黒歴史に近い扱いとなってるのになあと思いながら読んでいたら、そこらへんの話が演奏前のスピーチで触れられていた。
男声合唱 愛唱曲ステージ:三条市音楽協会男声合唱団(指揮:佐藤匠)
- 遥かな友に
- 作詩・作曲:磯部俶 編曲:林雄一郎
- 柳河
- 作詩:北原白秋 作曲:多田武彦
テナーソロ:永井昭光 - 里の秋
- 作詞:斎藤信夫 作曲:海沼實 編曲:福永陽一郎
- 涙くんさよなら
- 作詩・作曲:浜口庫之助 編曲:小池義郎
カワイから出版されている愛唱曲集「グリークラブアルバム」3冊からの選曲。これぞ日本伝統の男声合唱文化という趣。
余談。いそべとし男声合唱団公式サイト内「磯部 俶 の男声合唱作品 解説」によると、「グリークラブアルバム」に載っている林リアレンジ版「遥かな友に」は、原作者・磯部氏の許諾を得ずに作られ出版された編曲で、磯部氏は不快に思っておられたとのこと。
全体合唱:三条市音楽協会男声合唱団
- 男声合唱組曲『月光とピエロ』全5曲
- 作詩:堀口大學 作曲:清水脩
指揮:仁階堂孝
ピエロが憑依したかの如き仁階堂氏の指揮のもと、楽曲の様々な表情が描き出されていた。曲への愛情たっぷりながらも破綻なく堂々たる演奏。
「月光とピエロその他恒久的レパートリーの一定水準を守る会」、現在の紫苑メンネルコールとのつながりで、作曲者の清水氏は三条市を少なくとも2度ほど訪れたとのこと。うち1度は東京男声合唱団を引き連れ「月光とピエロその他恒久的レパートリーの一定水準を守る会」と一緒にこの組曲を演奏した。そのときいただいたという「秋のピエロ」の一節を記した色紙が、演奏会場の入り口に飾られていた。色紙の歌詞が一部間違っていたけど、ご愛嬌ということで。
エンディング:三条市音楽協会男声合唱団
- ふるさと
- 作詞:小山薫堂 作曲:youth case 編曲:外山哲也
指揮:仁階堂孝
2010年、NHK「第61回NHK紅白歌合戦」のために制作され、昨年のNHK学校音楽コンクール小学校の部の課題曲にもなった、嵐の持ち歌。2番の歌詞は3種類のヴァージョンが存在し、この編曲では最初に発表されたヴァージョンが採用されたそうである。
外山氏の編曲は「どのパートも一度は単独で主旋律を歌うようにしました」とのこと。聴いた感じ、北川昇氏が編曲した「花は咲く」を連想させる手法だと思った。和音の使い方はずいぶん異なるけど。
終演後、御縁のあった出演者の方々に御挨拶。
まずは匠さん、続いてえちごコラリアーズからの3名、そのあと男声合唱団トルヴェールからの2名。練習は1年ほど前から始まっていたが、トルヴェール組は本番2〜3か月前に直接お呼びがかかったと聞き、今年6月の合唱祭あたりで混ぜてもらうようお願いすれば叶ったかもと残念に思う。
最後に、バスで参加していた林さんにご挨拶。この方は立教グリーの先輩で、せきが新入生のとき4年生でパートリーダーを務めていた。最後にご一緒したのは、立教大学グリークラブOB男声合唱団の第2回リサイタル(多田武彦先生に委嘱した『叙情小曲集』の初演)だか、第3回OB六連(先日出版された『唱歌の四季』男声合唱版初演)だかのときで、10年ちょっとぶり。また地元でステージをご一緒させていただければいいですねなどと話をする。
末筆ながら、出演者・スタッフ・来場者の皆様、お疲れ様でした。