詩人・谷川俊太郎氏が2024年11月13日の夜に亡くなられました。どうぞ安らかに。
死亡記事がわりに、御子息・谷川賢作氏によるFacebookの投稿を紹介します。
谷川氏は生涯にわたって大変たくさんの詩や詞を発表しました。歌となったもので最も広く親しまれているのは「鉄腕アトム」でしょうね。他にも独唱・合唱のために付曲された作品は数多いです。客席や録音録画などで拝聴拝見したことのある、谷川氏の詩による合唱曲を思い返して列挙しようとするだけでも、その膨大さに圧倒されます。
氏の作風は幅広く、エモーショナルな作品も理知的な作品もありますが、どこかしら乾いた空気感が共通しているように感じられます。わらべうた・ことばあそびうたシリーズみたいに匿名性を志向した作品もあります。
絶筆にあたると思われる詩は、朝日新聞の連載「どこからか言葉が」で11月17日に掲載された「感謝」というタイトルの作品です。朝日新聞デジタルで全文が読めるようです。
私がステージで歌った谷川氏の詩による合唱曲は次の通りです。
- 吉岡弘行作曲『十ぴきのねずみ』全曲:1992年8月29日「第13回立教大学グリーフェスティバル」、立教大学グリークラブ現役
- 新実徳英作曲『ことばあそびうたII』全曲:2002年4月27日「第2回東京六大学OB合唱連盟演奏会」ほか、立教大学グリークラブOB男声合唱団
- 信長貴富作曲「きみ歌えよ」(混声合唱版『新しい歌』より):2006年8月12日「アジアユース合唱団2006演奏会」ほか、新潟ユース合唱団
- 木下牧子作曲「春に」混声3部合唱版:2021年11月3日「第17回三条市音楽祭 合唱の部」、合唱団Lalari
谷川氏は「スヌーピー」「スイミー」など英文・英語詩の翻訳も手掛けておられました。その中で訳詩に作曲された合唱曲があります。
- 髙嶋みどり作曲『かみさまへのてがみ』(混声合唱版。全5曲のうち第3曲「てんごくって どんなかんじ I」を除く4曲):2007年11月24日「新潟ユース合唱団2007 & レディースクワイヤJune, 合唱団ユートライの饗宴 〜魂の指揮者・雨森文也 来県!〜」、新潟ユース合唱団
谷川氏の詩を第三者が英訳したものに日本人(武満徹、新実徳英、鈴木輝昭ほか)が作曲した合唱曲も若干あります。私が歌ったのは1作品。
- William. I. Elliott・川村和夫訳/松下耕作曲「To Reject」「Night」「And」(いずれも『minimal – for male voices』より):2014年7月6日「夏の交歓演奏会2013 〜たなばた歌まつり〜」ほか、えちごコラリアーズ
谷川氏の訃報に接して思い浮かんだのは、東京混声合唱団による三善晃作曲「生きる」実演のYouTube動画です。この曲は1999年の大晦日、その年に亡くなられた合唱指揮者・田畑政治氏やピアニスト・田中遙子氏らを偲びながらピアノを弾く中で作曲されたということ、およびYouTube動画の演奏を指揮しているのが田中信昭氏で、信昭先生にとって生前最後の演奏会となった2023年9月3日の「東混オールスターズ 〜田中信昭と共に〜」本編で同じ顔触れにより演奏されたということなど、私にとっては何重もの悼みが想起されます。
このブログで信昭先生についても書こうと準備を進めておりましたが、日を改めることにします。