「ポジティブ太郎 〜いつでも始まり〜」攻略にあたってのメモ

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つんく作詞/上田真樹作曲「ポジティブ太郎 〜いつでも始まり〜」(以下「ポジティブ太郎」と略す)は、せきが参加している合唱団Lalariで、足掛け5年にわたって断続的に取り上げてきたレパートリーである。多分もうLalariとしては演奏する機会がなさそうな気がするので、この機会にまとめてみる。


基礎知識

「ポジティブ太郎」は第85回(2018年度)NHK全国学校音楽コンクール、高等学校の部の課題曲として書き下ろされた。現在、単品のピース楽譜がオンデマンドの電子データとしてヤマハ「ぷりんと楽譜」で販売されている。また、2023年5月にNHK出版から発売された「NHK全国学校音楽コンクール課題曲集 90回記念」の「高等学校 混声合唱」と「高等学校 女声合唱」にも収録されている(残念ながら男声合唱篇は刊行されていない)。

発表された当時は独特な歌詞が話題になった。ただ、ハロー!プロジェクト傘下の女性アイドルグループおよび女性歌手を愛好するブン吉さんによると「この曲は、つんくさんの詞としてはマイルドな部類。ハロプロのアーティストにはもっと踏み込んでダークな詞を書いている」とのこと。なお「2018/04/30の日記(その1):ポジ太会」で同じ記述があるが、あれが彼による発言。

演奏可能な人数

混声合唱版・男声合唱版は4重唱で演奏できる。Divisiはあるが、すべて省略可能。同様に女声合唱版は3重唱で演奏可能。練習番号Hでは実質的に4部合唱となるものの「人数の関係でdivisiが難しい場合」向けにossiaのパートが用意されている。いずれのバージョンも重唱による実演動画がYouTubeで公開されている。混声合唱版を合唱団Lalariで歌ったときの最小人数は、Altoだけ2名、他パートは1名ずつの計5名。

運動性が高く対位法的な掛け合いがふんだんに盛り込まれた曲なので(作曲者は初出の出版譜に「アンサンブルする喜びを感じていただけたら嬉しく思います」と記している)、少人数でも十二分な演奏効果が挙げられる。ただ、短い休符ばかりのため息継ぎが難儀。

一方、divisiを省略せず大人数で歌うと、分厚い響きやダイナミクスの変化で聴かせやすくなる。

演奏の極私的ポイント

混声合唱版・男声合唱版・女声合唱版は、単純なトランスクリプションとは言い難いくらいヴォイシングに差異がある。主旋律らしき音型を最高声部でないパートを歌う箇所も散見されるので、少なくとも指揮者は全バージョンを見比べて主旋律がどこか見極めたほうが好ましいのではと思う。

対位法的な掛け合いから、全パートが縦に揃う音楽に切り替わるところは、この楽曲における醍醐味の一つといえよう。

和声の細かい変化は、臨時記号による一時的転調が多用されていることを意味する。そのぶん音取りが厄介ではあるが。バスの半音進行を含む箇所について、Lalariではラメント・バスと解釈して悲哀をこめた表現を心がけた。

「あいつばかりが」は混声合唱版においてバス唯一のパートソロである。私がここを歌うにあたり、恨みがましく聞こえる発語と音色を心がけた。他の箇所でも発語と音色(主に明暗)を少しずつ変え、練習番号Hはテンポキープ役としてあえて機械的に歌うようにした。

42小節で「あんなの あんなの」と歌うパートは、音取り初期の段階では「あんなの」1回目と2回目の間に休符を挟むつもりで歌うとリズムが崩れにくい。

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