譜面入手 & 連載再開予告

譜面入手 & 連載再開予告

『新しい歌〔改訂版〕』の出版譜を、やっと混声合唱版だけ入手。混声版を選んだのは、新潟ユース合唱団で練習している「うたを うたう とき」に使うから(旧版も持っているんですが、せっかくなので)です。
そんな事情もあり、当ブログで書きかけのままになっている連載『「新しい歌」をめぐって』、遠からず再開するつもりです。
改訂版で変更された箇所を列挙するのは作曲者・出版社に対する営業妨害になるので差し控えます。
ただし、『「IV. 鎮魂歌へのリクエスト」その2: ジャズとの関連』について、譜面改訂に伴い説明を補足しなければという箇所が1点あるので、それだけ追記しました。

おめでとう長高合唱部

おめでとう長高合唱部

昨日、第76回NHK全国学校音楽コンクール新潟県大会高等学校の部で、せきの母校である県立長岡高等学校(以下「長高」と略。ちなみにチョウコウと発音します)が金賞を獲得し県代表となりました。OBとしては嬉しい限りです。

せきが新潟県内でのアンサンブルコンテストやら合唱祭やら合唱コンクールやらとご縁ができて2年目。その中で驚いたことの一つが、長高の名前を見つけたときでした。

合唱部としてこの種のイベントに参加するようになったのはそう古い話ではないように思います。

せきが合唱界に足を踏み入れたのは二昔ほど前、高校1年のときで、大叔母の誘いを受けて地元の「第九」イベントに参加したのが始まりです。ここでは大学受験間際まで歌い続けました。

当時、長高に音楽部という部活はありましたが、合唱団として定常的な活動はしていなかったはずです。2年生か3年生のとき学園祭「和同祭」で音楽部以外のメンバーを含む有志が合唱団を組んで出場していましたが(せきは不参加)その程度。

文武両道を謳う高等学校ながらも、芸術の課外活動にはあんまり力を入れていなかったと記憶しています。

そういう環境を踏まえると、今回の長高合唱部金賞は大変な快挙なのであります。

(まして、フルート奏者として活躍する同窓の後輩・小山裕幾さんが長高在学中に日本音楽コンクールで第1位を獲得したことは、驚天動地レベルの出来事だったわけです)

長高合唱部が出場する関東甲信越ブロック大会は、9月6日、さいたま市の大宮ソニックシティ大ホールにて開催されます。河本隆吉先生のご指導のもと、県大会以上に充実した音楽ができますように。

高橋悠治氏の合唱曲について小リポート

高橋悠治氏の合唱曲について小リポート

高橋悠治という音楽家がいます。ピアノ演奏や文筆などの活動でも名高いですが、ここでは作曲家としての高橋氏、それも合唱曲に焦点を絞って書いてみます。

高橋氏の合唱作品は、当サイトがお世話になっているScaffale氏作成の「高橋悠治合唱作品リスト」に2000年までのものがリストアップされています。また、高橋氏の公式サイト内「作品/楽譜」に、全ジャンルの作品リストがあり、何割かの楽曲の譜面が「ダウンロード・転送・演奏可能」なPDFファイルとして公開されています。前者は今世紀に入ってからの作品がなく、後者には主に初期の作品で記載されてないものがあるようなので、両者を足し合わせるのがよいでしょう。

PDF形式で公開されている譜面のうち、合唱曲および複数の声のための曲については、作曲年代順に『クリマトーガニ』『Metta Sutta(慈経)』『いろせす』『遠い島の友へ』『あなたへ 島』『夜,雨,寒さ』があります。

音源については、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団の公式サイト内「演奏資料館」にて、法政大学アリオンコールが六連こと東京六大学合唱連盟定期演奏会で演奏した『回風歌』『冬のスケッチ』のライブ録音を聴くことができます。ただ、どちらの曲も演奏中に動き回ったりしていますし、『冬のスケッチ』については図形楽譜で描かれているので、音だけで知ることができるのは楽曲の一端だけといえましょう。せきは『回風歌』『冬のスケッチ』とも1度ずつ客席で実演に接しましたし、別の演奏をビデオで見たこともあります。また、東京都渋谷区恵比寿にある合唱センターの資料室で『冬のスケッチ』譜面を閲覧した憶えがあります。『回風歌』の譜面も閲覧できるはずですがそちらは見てません。

高橋氏による合唱曲は、西欧のオーソドックスな合唱曲とは明らかに異なるものが多いです。

日本を含むアジアに題材を求めた作品が多いこと、さらに氏が1970年代に「水牛楽団」を結成してアジアのプロテストソングを演奏していたことから、高橋氏をアジア志向の作曲家と見ることができます。

ただ、作風が西欧的でない理由を西欧嫌いだからと考えるのは短絡的です。演奏者としての高橋氏は西欧クラシックに属する楽曲をそうでない楽曲と分け隔てなく取り上げますから、アジア志向には別の理由があるということになります。

せきは、高橋氏の合唱曲について、氏が今の社会に抱く極めて強い問題意識や思想が作品の軸をなしていて、それゆえに強烈な個性を持つものと認識しています。

テクストのチョイスから高橋氏の問題意識や思想が表に出ている作品も少なくありません。

端的に分かりやすい一面として、政治・社会・時事的な要素が含まれたものを列挙します。

  • 毛沢東詞三首』
  • 成田闘争を扱った『三里塚』
  • 1948年に韓国済州島で起きた民衆蜂起を背景とする『遠い島の友へ』、同じく済州島を描いた『あなたへ 島』
  • 神戸高塚高校校門圧死事件被害者の女子生徒や学校でのいじめが原因で自殺した少年を題材にした詩を再構成して作曲した『ふしぎの国から』
  • 「EZLN(サパティスタ民族解放軍副司令マルコスの語るマヤの神話『密林のことば』より」という副題を持つ『夜,雨,寒さ』

ですが、そういうテクストによる合唱曲でなくても、高橋氏の問題意識や思想は同じように作品の中に存在します。

それを示す、高橋氏が自作について記した文章をふたつ引用します。

ひとつは、2008年5月に行われた第57回六連の演奏会パンフレットより、法政大学アリオンコール単独ステージ『回風歌』ライナーノーツ後半。

 普通の合唱曲のように声を同質にそろえて、いわゆる「ハモる」状態の共感共同体として上から統制されるのではなく、それぞれ自前の声の多用な音色が、その差異を生かして、一本の旋律を、擦れ合い、ずれながら、絡まりあう曲線の束に変えていく。それは同時期の「水牛楽団」の合奏法と似ている。それまでのイデオロギーと中央集権組織による抵抗運動の限界と崩壊を見ながら、東南アジアの村の音楽や、鶴見良行がそこで出会った村落民主主義、宮本常一が離島の寄り合いに見たものを、自己組織の方法として合唱の場で最初に実験したのが『回風歌』だった。

もうひとつは、1990年の法政大学アリオンコール第40回定期演奏会の演奏会パンフレットより、『冬のスケッチ』初演ライナーノーツ後半。

合唱団もそうだが、人間の集団というものは統制されればされるほど、自分の声をなくして軍隊や組や学校のようなこわいものになっていく。
ひとりずつがもっとばらばらであれば、争いもちいさく、全体の平和を乱すこともないのに。
ひとつのものにならないで、いっしょにいられるためには、どこかでバランスをとる必要がある。
その微妙なバランス点を見つけるための実験なのだ、これは。

《いわゆる「ハモる」状態の共感共同体として上から統制されるのではなく》は、氏がPDF形式で楽譜を公開している他の合唱作品群からも一目瞭然です。

統制を避け西欧流でない書式で書く理由が『冬のスケッチ』ライナーノーツに記されており、それは統制したがる傾向にある日本社会へのアンチテーゼとも解釈できます。

高橋氏の合唱曲は、超絶技巧系ではなくサウンド的に面白いものばかりで、近年は譜面がネット上で公開されて楽譜へのアクセスが容易になりつつありますが、そのわりに取り上げられることはさほど多くありません。大半は田中信昭氏および田中氏の流れを汲む指揮者・合唱団による演奏です。

強い個性を持ち万人ウケとは違う方向を向いていることと、個性の根幹を成す思想や問題意識を受容するのに柔軟さが必要なことが、演奏頻度がそう高くない理由なのかなと思います。


本稿は「原動機 −文吾の日記」の「[合唱]第25回宝塚国際室内合唱コンクール感想 その3」でコメント申し上げたことに端を発しますが、あくまでも発端でしかなく、目的はせきが認識するところの《『「高橋悠治作品」的なもの》を整理してまとめることにあります。

追記(2011年5月)

文中、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団の公式サイト内「演奏資料館」について触れた箇所がありますが、六連の演奏音源は2010年8月より現在まで公開停止中のため、該当箇所を抹消しておきました。

追記(2018年5月)

デッドリンクとなった記述を削除しました。

発端となったできごとを含め何度か文吾氏にウザ絡みしたことが原因で、文吾氏は私とのコミュニケーションを拒絶なさるに至りました。彼は後にツイッターアカウントを開設して積極的にツイートしておられますが、私のアカウントは現在に至るまでブロックされております。気分を害したのが事実であるにせよ、当方に非はないと認識しているので、先様に詫びるつもりはありません。先様のコミュニケーション拒絶という意図を尊重するので当方から話しかけることも差し控えています。コンクールがらみの話題などでツイート内の引用が表示されないものが時折タイムラインに流れてくるのを見るたび「ああ、文吾氏のツイートが話題になっているのだなあ」と思うだけです。

災害見舞

災害見舞

一昨日に静岡県で、本日朝に八丈島で地震が起きました。
新潟県中越大地震と新潟県中越沖地震に被災したせきとしては、現地の模様を見るたび胸が痛みます。まあ、静岡については家屋倒壊が皆無なようで何よりです。
また、いまさらながら、先月下旬から今月初頭にかけ、中国・九州北部豪雨と名づけられた水害が起きました。
せきが住むところでは幸いなことに治水がしっかりしているので水害に遭ったことはないのですが、中越大地震の4ヶ月ほど前に南蒲原郡中之島町(当時。今は長岡市の一部)や三条市などで7・13水害というものが起きたことがあり、やはり身近な痛みを感じる災害です。
静岡はせきが立教大学グリークラブ現役4年のとき、混声の演奏旅行で伺ったことがあります。本番の会場は静岡音楽館AOIコンサートホールというところでした。
中国・九州北部豪雨の被災地だと、せきは立教グリー現役2年のとき、男声の演奏旅行で山口県岩国市に伺ったことがあります。
いずれの演奏旅行も覚えているのは楽しかったという感覚やステージでのハプニングなどぐらいではありますが、それでも由縁のある地なもので、災害のニュースを知ったときは驚いたものです。
個人的な思い出話はさておき、被災された皆様におかれましては、一日も早く元の生活を取り戻しますように!!

ハモリ倶楽部 7月号

ハモリ倶楽部 7月号

前回以上にいまさらながら、「Nコンマガジン ハモリ倶楽部」の、先月25日に放映された回について。

まず、全校生徒34人全員が部員という福島市立立子山中学校合唱部を訪問したルポVTR。

緊張して本番に弱いのをどうにかしたいということで、コンクール強豪として全国にその名をとどろかす福島県立安積黎明高等学校コーラス部の練習にお邪魔して歌うという、TV番組の企画でなきゃ思いもつかないような解決策をとることに。福島市から安積黎明高等学校のある郡山市までは、同じ中通り地方とはいえ割と距離ありますからねえ。

まず立子山中学校合唱部が歌ったときはアガリに潰されてしまったと凹み、安積黎明高等学校コーラス部の演奏を聴いてショックの追い討ちを受けたものの、コーラス部の副部長さんによる「他のメンバーを信頼しあい、聴き合って歌っては?」というアドバイスに助けられ、立子山中の生徒会長さんがリベンジを申し出て、本番への弱さを克服する糸口を見つける演奏ができたとかいう展開でした。

ルポVTRに続き、全国各地の合唱部で取り入れている緊張克服方法の紹介VTRや、大脳生理学だか心理学だかの先生がアガリ克服の研究データについてコメントしたVTR。

ひとしきりスタジオが盛り上がったところで、顧問役の辻秀幸氏が前回に引き続き「ロマンチストの豚」を歌いながら入場し、「緊張を取り除こうとするより、緊張とうまく付き合ってゆくようにしたほうがよいのでは」みたいなアドバイス。おっしゃること自体はうなずけるものですが、その前のVTR(特に学者先生のインタビュー)との温度差に違和感を否めなかったのも事実です。

前回はこのあとにハモリ隊メンバーによるルポVTRがあったんですけど、今回はなかったような気が(うろ覚え)。

続いて「ロングトーンバトル」。

ロングトーンというのはブレスコントロールを鍛えるため、もしくはその成果を見せるためという目的が含まれたことのはず。なのに、途中から蚊が飛ぶみたいに音の高さが上下に揺れていた出場者がいました。狙ってヴィブラートをかけているわけでなく、明らかにブレスコントロールが不十分な声。そんなのじゃ30秒も40秒も伸ばしたところで意味はないと思うんですがね。

エンディングに告知。Nコン本体の企画「クラス合唱選手権」関連とか、中学生の部の課題曲「YELL」いきものがかりセルフカバー版が「みんなのうた」で流れるとか。

次回は今月29日。