「IV. 鎮魂歌へのリクエスト」その1: 詩人について

「IV. 鎮魂歌へのリクエスト」その1: 詩人について

原作詩者・Langston Hughes氏の略歴は出版譜の歌詞ページに記されている通りです。ここでは、氏の作品に、人種差別が色濃い当時の情勢を描いたものや、ジャズの感性を取り込んだものが多いということを補足しておきます。
訳者・木島始氏の詩作に、信長氏は結構たくさん作曲しています。
組曲「初心のうた」はご存知の人も多いでしょう。
木島氏は同一の詩を日本語と英語で書くという試みをしていて、その日本語版・英語版両方をテキストにした「Voice」「Faraway」という組曲もあります。「Voice」は無伴奏男声合唱、「Faraway」は無伴奏混声合唱で、いずれも楽譜が音楽之友社から出版されています。
近作の混声合唱組曲「ねがいごと」は、締太鼓・南部風鈴という合唱曲では珍しい打楽器を取り入れたり、関西弁の厄払い口上をそっくり合唱に取り入れたりなどで、話題になりました。
シリアスな詩にシリアスな曲をつけた「起点」という男声合唱+ピアノ+パーカッションのための組曲もあります(譜面未出版)。
ちなみに、「起点」初演時のアンコールとして、「鎮魂歌へのリクエスト」にパーカッションを加えた形のものが初演されました。このバージョンは今のところ再演されていないはずです。
そうそう。Langston Hughes氏の詩を木島氏が訳したものに作曲した、「スピリチュアルズ」という組曲もあります。2007年に混声合唱+ヴァイオリン+コントラバス+パーカッション+ピアノのために書かれ、翌年、混声合唱+四手ピアノ版も作られました。
いずれも未出版ですが、ジョヴァンニ・レコード「[邦人合唱曲選集] スピリチュアルズ 信長貴富 混声合唱作品集II」におおもとのバージョンの初演音源が収録されて市販されています。

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「IV. 鎮魂歌へのリクエスト」その2: ジャズとの関連

「IV. 鎮魂歌へのリクエスト」その2: ジャズとの関連

「鎮魂歌へのリクエスト」はブルースのスタイルで書かれている珍しい合唱曲です。
もっとも、ジャズやブルースを取り入れた合唱曲はこの曲が初というわけではなく、日本人作品でも先例があります。せきが実演に接したことがある曲だと、三善晃作品(「ひとこぶらくだのブルース(『動物詩集』第2曲)」「見えない縁のうた(『遊星ひとつ』第2曲。木島氏の詩)」など)と、高嶋みどり作品(「婆さん蛙ミミミの挨拶(『青いメッセージ』第3曲)」「わたしが一番きれいだったとき(『女の肖像』第2曲)」など)が思い浮かぶところ。
ただ、ジャズやブルースを取り入れた他の合唱曲には現代音楽につながる理屈っぽい匂いが感じられるものが少なくないのですが、「鎮魂歌へのリクエスト」は徹底的に大衆音楽としてのジャズをしてるというのが、個人的印象です。
初演演奏会のパンフレットによると、信長氏はそれまでジャズをあまり知らず、この詩に作曲するにあたってジャズのCDを聴き込み「面白いな、なんか使えそうだな」と思ったとのこと。
詩にはジャズのスタンダードナンバーが2曲出てきます。《セント・ルイス・ブルース》と《セント・ジェームズ病院》です。
いずれの曲もYouTubeに演奏が何種類も投稿されていて(検索キーワードには、原題の「St. Louis Blues」および「St. James Infirmary」を推奨)聴き比べると面白いです。
「St. Louis Blues」については、その旋律が「鎮魂歌へのリクエスト」間奏部に口笛で引用されていますが、そこでの曲想を先入観にもって「St. Louis Blues」を聴いたら驚きました。実はラグタイムの代表曲だったりして、アップテンポな演奏が多いのですね。
詩の主人公が葬送曲として望んだこの曲を聴けば、Langston Hughes氏が死に対してどういう考えを持つか見えてきそうな感じがします。日本人は死に対してどこかウェットで暗黒なイメージを持ちがちですが、この詩で垣間見える死生観はポジティブですね。かつて黒人霊歌と呼ばれていたジャンルの歌にみられる「死 = 現世からの逃避」よりもさらにポジティブ。ただ、キリスト教的な「死 = 主の御許に召される」とは方向性が違うように思います。
「鎮魂歌へのリクエスト」に雰囲気が近い曲は、どっちかというと「St. James Infirmary」のほうでしょう。
この曲には歌詞が付いてます。
前半は、聖ジェームズ病院に行った男が、そこで彼女が死んでいるのを見て嘆き悲しむという趣旨。ちなみに、一説によると、聖ジェームズ病院は精神病院らしいです。
後半はさまざまなバリエーションがあるんですが、その中には「自分ほど素晴らしい男は他にいない」「僕が死んだら、彼女には僕へ○○して欲しい」など、「鎮魂歌へのリクエスト」と相通ずるフレーズを含むものも存在します。
【2009/08/21追記】
出版譜の旧版では口笛のくだりに「※“St. Louis Blues”より引用。」と明記されていましたが、改訂版の譜面(混声合唱版)にはこの注釈がありません。

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「IV. 鎮魂歌へのリクエスト」その3: 参考資料・関連リンク

「IV. 鎮魂歌へのリクエスト」その3: 参考資料・関連リンク

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NYC

NYC

ネット上で見かけたニュース記事の「NYC boys」という字面から、新潟ユース合唱団(NYC: Niigata Youth Choir)がどうかしたのかと思ってしまった。
ジャニーズ事務所の新ユニット(日刊スポーツ記事)なんですね。
しかもデビュー曲が「NYC」。
ちなみにWikipedia日本語版の「NYC – Wikipedia」には、略語一覧として現時点で、ニューヨークがどうとか、国立オリンピック記念青少年総合センター(英語での通称「National Youth Center」。自分は大学時代オリセンなどと呼んでました)とかが載ってます。

6/06の日記

6/06の日記

男声合唱団トルヴェールの練習 於 万代市民会館(於 新潟市中央区)に出席。
本日はJRで新潟市入り。
13時スタートだったが、万代シテイのヤマハで楽譜を立ち読みしていたら十数分遅刻、なのにその時点で来ていたのは2名だけ。
歌い始めたのは13時半過ぎだったかしらん。
6月14日の新潟県合唱祭で歌う『夏になれば』『秋の恋びと』(いずれも組曲「吹雪の街を」より)を、トップテナー2名・他1名ずつで練習。
テナー独唱がある『夏になれば』は実質的にカルテット。この曲では独唱も含め全員ヴォーカリーズで歌う練習があり、アンサンブルするという意識で聴き合いながら歌えばサウンドがまとまることを改めて実感する。
16時50分ごろ練習終了。
個人的には、前回に比べればコンディションがよかったというか、前回がよほどひどいコンディションだったというか。このまま上向き傾向で本番に突入したいものです。