合唱団ユートライ第30回記念定期演奏会を聞いてきた。伺うのは2011年の第27回定期演奏会以来。同団トレーナーのtek310こと佐藤匠氏から宣伝メールをいただいたので、フロント預かりということでチケットを手配していただいた。
出演者、スタッフ、来場者の皆様、お疲れ様でした。堪能いたしました。
会場のりゅーとぴあへは車で移動。付属の白山公園駐車場へは開場時間あたりに着いたが、他の催事のためか満車で入庫に時間がかかり、コンサートホールに入ったのは開演時間の14時ぎりぎり。
第1ステージ
- 混声合唱のための 十字架上のキリストの最後の言葉
- 作詞:千原英喜(第1〜3・6曲)、上田祥行(第4・5曲)/作曲:千原英喜
指揮:名島啓太
パーカッション:山田恵美子
- 第一の言葉
- 第二の言葉
- 第三の言葉とStabat Mater
- 第四の言葉
- 第五、六、七の言葉
- エピローグ:Pater Noster
第1ステージとは思えないほど濃密でカロリーの高いパフォーマンスであった。
「第一の言葉」「第五、六、七の言葉」は今年の全日本合唱コンクール新潟県大会・関東大会の自由曲として演奏されたものだが、今回は全曲演奏。
歌詞に日本語とラテン語が混在するところや擬音などによる音画的手法が用いられているあたりは比較的新しい千原作品にみられる特徴。この特徴は信長貴富作品の一部にも認められるけれど、でもやっぱり千原氏ならではの宗教曲である。
匠さんによるパンフレットの解説文は詳細なもの。千原作品には自作解題が記された出版譜が多いのでそれを基にまとめたのかなと思ったが、あとで譜面の現物を見たら解題はほとんどなく、つまりパンフレットの解説文は一から書き起こされたものらしい。見事である。
第2ステージ 〜過去の演奏会プログラムから〜
- 指揮:名島啓太
ピアノ:鈴木真理子
- Super Flumina Babulonis(作曲:Giovanni Pieruigi da Palestrina)
- Ave Maria(作曲:Thomas Luis de Victoria)
- 「BENDITA SABEDORIA」より(旧約聖書/作曲:Heitor Villa-Lobos)
2. Vas pretiosum
3. Principium sapientiæ
4. Vir sapiens, fortis est - Keinutan Kaikua(作詩:L. Onerva/作曲:Toivo Kuula)
- 「うた II」より 島へ(作詩:井沢満/作曲:武満徹)
- 「抒情小曲集」より 春が来たなら(作詩:立原道造/作曲:尾形敏幸)
- Ain’t misbehavin’(作詞:Andy Razaf/作曲:Thomas Fats Waller & Harry Brooks/編曲:Peter Gritton)
- In the mood(作詞:Andy Razaf/作曲:Joe Garland/編曲:Peter Gritton)
30年の歴史を振り返りながら、文字通り古今東西にわたる合唱曲を歌う、芸域の広さが遺憾なく味わえるオムニバスステージ。パンフレットには定期演奏会の全演目を列挙したコーナーがあった。
曲間で名島啓太氏がマイクを取り、曲目解説や思い出話などをスピーチした。指揮者だけあってお話は堂に入ったもの。ただ、この方の初登場は第20回定期演奏会、常任指揮者になったのはその翌年度からなので、それ以前の曲についても語っておられたことに若干の違和感をおぼえた。古参団員さんが進行役を務めるなり、別に司会者を呼ぶなりしたほうがよかったのでは。
そういえば最初に歌ったモテットが来年の全日本合唱コンクール課題曲の1曲に選ばれましたね。
第3ステージ 〜公募団員と歌う30回記念ステージ〜
- CARMINA BURANA 〜2台ピアノとパーカッション版〜
- 作曲:Carl Orff
指揮:名島啓太
ピアノ:鈴木真理子、澤村牧子
パーカッション:山田恵美子、齋藤陽介
- 1. O Fortuna
- 2. Fortune plango vulnera
- 3. Veris leta facies
- 4. Omnia sol temperat(バリトン独唱:佐藤匠)
- 5. Ecce gratum
- 6. Tanz
- 7. Flore silva
- 8. Chramer, gip die varwe mir
- 9. Reie
- 10. Were diu werlt alle min
- 23. Dulcissime(ソプラノ独唱:入西宏子)
- 24. Ave formosissima
- 25. O Fortuna
公募メンバーが加わり、合唱団が倍以上になってのステージ。演奏時間や声楽編成などの都合か、3部構成のうちの第1部と、序とエピローグなどだけ抜粋して取り上げられた。
本来はオーケストラとの共演だが、今回はピアノ2台と打楽器奏者2名で演奏された。この編成によるリダクションだと、ピアノが鍵盤打楽器ということが改めて感じられる。ピアノは4手演奏でよく見られる合唱と平行な配置でなく、合唱と垂直でピアニストが指揮者に正対する配置。
まさしく圧巻、大熱演。特に名島先生の指揮は今まで見聞した中で最もイキイキしており、「水を得た魚」という言葉が浮かんだ。
アンコール
- 夕焼小焼(『唱歌の四季』より)
- 編曲:三善晃
指揮:名島啓太
ピアノ:鈴木真理子、澤村牧子
合唱と2台ピアノと打楽器による曲かなと思ったが、打楽器奏者は退場。原曲も編曲も皆様になじみ深い曲で、本編での緊張感や熱気を和らげるようなアンコールだった。
終演後、トルヴェールなどでつながりのある合唱仲間と立ち話をし、彼が合唱団の一員として参加した第51回長岡市民音楽祭の裏話などをきく。併せて、新大室内合唱団定期演奏会・新潟大学合唱団定期演奏会のチケットの手配をお願いした。