2010/06/20の日記(その1)

2010/06/20の日記(その1)

第51回新潟県合唱祭 於 新発田市民文化会館に、男声合唱団トルヴェールのメンバーとして出演。

今回は電車での移動。前日の練習に引き続き「えちごツーデーパスSP」という、JR東日本管内なら県内ほぼ全域乗り放題の切符を利用した。値段は2,500円、長岡からだと新発田まで1往復すればもう元が取れてしまう。これが土日休日限定ながらも1枚で2日間使えるのだから便利。

11時半過ぎに新津で下車し、先輩団員の車で新発田まで移動。新発田へJRで行くには新津か新潟で乗り換える必要があるのだが、この接続が悪いからと、同乗者の先輩が昨日の練習で相乗り(運転者の先輩・同乗者の先輩・せきの3名で)を奨めてくださったのだ。有難うございます。

小一時間で会場着。プログラムを受け取り、近くのコンビニで弁当を買い、同乗者の先輩と会場前で昼食を取る。

昼食後は他団体の演奏を拝聴する。感想などは稿を改めて「その2」として書きます。

15時にロビーに集合し、玄関前でウォーミングアップの声出し。音楽監督のtree2氏と唯一のTop Tenorメンバーが別団体の出番だったため、不肖せきが声出しを仕切らせていただく。木下作品におけるブレスコントロールの重要性と今回のホール特性に鑑み、ブレスを流すことや声を遠くに向けて発することに焦点を当てたメニューで。

途中、高音域の響きをスピントさせるためにTenorだけで「Se-E-E-I Sa-A-A-I」発声をする。大学グリー時代に大久保昭男先生の本番直前発声などでやっていた練習。どうも新潟県内では馴染みがないらしく戸惑われたっぽい反応。

30分ほどで声出しを終え、更衣室に移動し舞台衣装に着替える。そこで別団体で出かけていたメンバーと合流し、tree2氏から声出し用に借りていたミニキーボードを返す。

直前リハーサルののち、16時半からトルヴェール本番。

実際に舞台の上で演奏すると、アンサンブル全体の響きがあまり聞こえない点で歌いづらい。いちおう音は戻ってくるのだが歌うのと若干のタイムラグがある。そのせいで「光」で演奏が止まる危機を感じたと言っていたメンバーもいた。

せき個人は「ロマンチストの豚」では練習で試行錯誤した成果が出せたと思ったが、「光」では安全運転して表現の切り替えが不足気味だったかなという感触。まあ暴走してアンサンブル崩壊させ迷惑をかけるよりはよほどいい。

まあどうにか本番を終え、着替える。終盤の他団体演奏には間に合わず、閉会式からホールに入る。

閉会式では講評者・清水雅彦先生による総評。昨年の講習会同様、相手に気遣いながらもところどころチクリと厳しいことをおっしゃる。日本人は母音の作りが全般に平たいことを実感すべく「ニイガタのイシ」と全員で唱和する場面もあった。

閉会式後、往路と同じように先輩の車に乗せていただく。tree2氏も同乗し4名で。せきは新津駅で降ろしてもらう。

移動の車中で、演奏に対していただいた講評を聞く。趣味レベルのアンサンブルだと受け取られたのか、技術的な批評は皆無。講評の文面は「とるろぐ-Torvale Infomation-」に載ってます(講師・清水先生より新潟県合唱連盟・F副理事長より)。興味のある方はどうぞ。

新津駅で長岡行きの電車を待つ時間に、新潟行きのSLばんえつ物語号がやってくる。到着時にはトイレで用を足していたためSLにはあまり近づけなかったが、汽笛の音のデカさと黒煙はよくわかった。

20時ごろ帰宅。

末筆ながら、出演者・講評者・スタッフ・来場者の皆様、お疲れ様でした。

2010/06/19の日記

2010/06/19の日記

17時半、男声合唱団トルヴェールの練習 於 万代市民会館@新潟市中央区に出席。

練習会場備え付けの駐車場が使えないとのことで、JRで移動。時間厳守の命が出ていたのでギリギリより1本早い電車を使ったら、新潟駅に着いたのが15時55分。ラブラ万代やヤマハで買い物して時間調整。

練習参加者は、Second Tenor 1名、Baritone 2名、Bass 3名、音楽監督tree2氏の計7名。残念ながらTop TenorとSecond Tenorが1名ずつ欠席。

Bassだけ全メンバー揃ったのでまずBassの音程おさらい。

出席者が揃って、軽い声出しのあと2曲を通してみる。せきはえせTopを歌ってみたが、特に「光」がうろ覚えすぎて足を引っ張るだけだったので早々に定位置に戻る。

Top Tenor代行をtree2指揮者に引き継いで、全体で「光」音程確認。せき個人は1ページ目と3ページ目が鬼門。

続いて「ロマンチストの豚」をさらう。オペラティックで重たいということで、歌いまわしに余裕を持たせるべく、2番をsempre pp e mezza voceで通すとか、3番をsempre staccatoで通すとかいった試みの練習をする。なお、本番は普通に歌います。

続いて「光」を改めてさらう。覚書:今回取り上げた曲は緊張はあれども途中の緩和はないしブレスは休憩ではない。

最後に、ゲネプロとして「ロマンチストの豚」→「光」の順に通し、20時に撤収完了・解散。

いよいよ本番は今日(日付が変わってしまったので)新発田市民文化会館。


このブログを読んでくださっている合唱祭来場予定者のために申しあげておきます。今回のトルヴェールは、16時半ごろの出番です。プログラムに載っている曲目、すなわち当エントリに書いた曲目しか歌いません。アンコールなど用意しておりませんので悪しからず。

木下牧子氏の男声合唱作品 — その2 —

木下牧子氏の男声合唱作品 — その2 —

「その1」では、木下氏の男声合唱作品リストをまとめました。

ここでは「木下氏による男声合唱作品の特徴」とせきが思うところについて書き連ねます。

いちおう男声合唱作品に絞ってるのは、木下氏の合唱曲のうち男声曲は何らかの形で接したことがあるのが4分の3前後なのに対し、他の編成については大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団が無伴奏作品を歌ったCD「祝福」を持っているのと何曲かの実演に接した記憶がある程度だからです。

ブレスコントロール能力が要求される

ご本人がしばしば自作の特徴として挙げることの一つにフレーズの長さがあります。大人数だとカンニングブレスで対処可能ですが、この裏ワザは独唱や少人数アンサンブルだと使えません。

さらに無伴奏作品だと休符が短いことが多く、瞬間ブレスが必須となります。

音域

各パートの音域は基本的に無理のない範囲で、Low-DだのHi-Bだのが出てくることはまずありません。五線譜から飛び出すような高音が出てくるときもファルセット指定を伴うことが多いです。

トルヴェールが練習中の「ロマンチストの豚」に至っては、トップテノールの最高音がヘ音(F4:実音が記譜よりオクターブ下な音譜の第5線)、ベースの最低音が変ろ音(B♭2:ヘ音譜の第2線)と、中高生でも支障なく歌えます。

ただ、主旋律は換声区を反復横跳びのように短時間に何度も行き来する音型が多いので、前述したフレーズの長さと相まって声楽的なハードルは意外に高いです。

ド・レ・ミ・ソ

木下氏ご自身のブログで、最新作のヴィオラ・ダ・ガンバ4重奏曲「空中庭園」について次のように書いておられます。

 ヴィオラ・ダ・ガンバ・カルテットというのはあまり馴染みのない編成かもしれませんが、純正律系の響きがとても美しく融和してアカペラ合唱と近い雰囲気を持っています。もっとも今回私が書いた曲「空中庭園」(全2章)は不協和音だらけなんですが…。例によってピッチがぴしっと決まると不思議と良い響きがする、というタイプの曲です。

『不協和音だらけ』と『ピッチがぴしっと決まると不思議と良い響き』は、合唱作品にも当てはまる特徴といえましょう。木下氏は演奏を評価する際ピッチに厳しい発言が多いですが、これは氏の作品の特徴と密接につながっています。

いわゆる不協和音にも、セブンスコード、増三和音、減三和音など、さまざまあります。その中で木下作品で特徴的な和音は、ずばりナインスコードだと思います。特に男声合唱曲では決め所の和音にナインスコードを用いるものが目につきます。

ナインスコードとは、和音の根音をドとすると、ド・レ・ミ(もしくは♭ミ)・♭シ(もしくはシのナチュラル)・ソから成る和音です。ただ、木下作品では第7音(♭シもしくはシのナチュラル)が省略されることが多いようです。

「いつからか野に立つて」から実例を挙げると、第1曲「虹」の、冒頭でユニゾンから分かれた『と』のB・F・C・D(ド・ソ・レ・ミ)や最後の『だ』のG・A・H・D(ド・レ・ミ・ソ)が、典型的な配音パターンです。トルヴェールが合唱祭で歌う「光」最後の和音F・G・D(ド・レ・ソ)も一応ナインスコードですかね。

他の作品で印象に残りやすい箇所も挙げておきましょう。ド・ソ・レ・ミのパターンは「ティオの夜の旅」第1曲「祝福」曲尾など、ド・レ・ミ・ソのパターンは「真夜中」第1曲(表題曲)曲尾や「恋のない日」第6曲「噴水」曲尾などがあります。また「Enfance Finie」第1曲(表題曲)曲尾は、Top TenorがGで伸ばしている間に下3声が動き、最後の和音はF-durに第9音のGが重なる形になります。

外声のオクターブ進行

ここまでは混声合唱や女声合唱にもあてはまるはずの特徴ですが、男声4部合唱ならではと思われる特徴もあります。全パートが同じリズムで動く際、トップテノールとバスのオクターブユニゾン進行に挟まってセカンドテノールとバリトンが主に同音連打で歌うというものです。たまにド・ミ・ソ・ドやド・ファ・ラ・ドのような協和音が平行移動することもあります。

外声パートのオクターブユニゾンって和声学の教科書では禁則として扱われていますが、木下氏の男声合唱曲では時々登場します。たとえば「いつからか野に立つて」の「光」後半で多用されています。

こういう進行には、主旋律が強調されることと、主旋律の動きにかかわらずフレーズ全体の和音感が一色に塗り固められるという効果があり、それが独自の響きにつながっているように思います。

木下牧子氏の男声合唱作品 — その1 —

木下牧子氏の男声合唱作品 — その1 —

2010年6月時点で、木下牧子氏が世に出した男声合唱曲は16作品あります。ご本人の公式サイトに全作品がリストアップされていますが、旧サイト(2008年12月31日まで)現サイト(2009年1月1日より)の2つに情報がまたがっているので、ここに男声合唱曲だけ抜き出した一覧をまとめておきます。

  • 男声合唱組曲「ティオの夜の旅」(1986;2001改訂)ピアノ
  • 男声合唱組曲「Enfance Finie」(1987)ピアノ
  • 男声合唱組曲「方舟」(1987;2010改訂)ピアノ
  • 男声合唱組曲「真夜中」(1991)ピアノ
  • 無伴奏男声合唱曲集「恋のない日」(1994)無伴奏
  • めばえ(1997)無伴奏
  • ロマンチストの豚(2001)無伴奏
  • なぎさの地球(2002)ピアノ
  • 無伴奏男声合唱組曲「いつからか野に立つて」(2004)無伴奏
  • 男声合唱曲集「地平線のかなたへ」(2004)ピアノ
  • 夢みたものは(2004)無伴奏
  • 鴎(2006)無伴奏
  • 無伴奏男声合唱組曲「わたしはカメレオン」(2006)無伴奏
  • 男声合唱組曲「朝の頌歌」(2007)ピアノ
  • わたしは月にはいかないだろう(2007)ピアノ
  • 男声合唱組曲「光る刻」(2008)ピアノ

「ティオの夜の旅」「方舟」「地平線のかなたへ」「夢みたものは」「鴎」「わたしは月にはいかないだろう」「光る刻」は混声合唱からのトランスクリプション、「ロマンチストの豚」はピアノ付き同声2部合唱からの編曲です。

ただし、曲集「地平線のかなたへ」に収録されている「サッカーによせて」だけ男声合唱がオリジナルです。初演1988年。「地平線のかなたへ」全曲を男声版に編曲する際「サッカーによせて」に改訂が施されています。旧版の楽譜は「恋のない日」に併録されているので、お持ちの方は両者の譜面を見比べると興味深いと思います。


木下氏の男声合唱作品で未出版なのは「鴎」「わたしは月にはいかないだろう」の2曲です。出版率の高さは驚くべし。

NHK全国学校音楽コンクール高等学校の部課題曲として書かれた「めばえ」「なぎさの地球」は絶版です。混声版・女声版は昨年7月に出版された『NHK全国学校音楽コンクール課題曲集 高校の部 第61回〜第75回』に収録されているのですが、なぜか男声版だけ出版されずじまいのため、現時点で譜面を入手する正当な方法は作曲者に問い合わせるしかありません。

「夢みたものは」は、カワイ出版『リーダーシャッツ21 男声合唱篇』および『コーラスで贈る 男声合唱のための「ウェディングセレクション」』に収録されています。

版元で受注生産扱いになっている作品の存在はこのご時世ならではでしょう。
当初から受注生産扱いで発売されたのは「ティオの夜の旅」「ロマンチストの豚」および「方舟(旧版)」、ある時期から受注生産扱いに切り替わったのは「Enfance finie」「真夜中」「恋のない日」。

「方舟」改訂版では受注生産の縛りがなくなりました。そのへんの話は、当ブログ『男声合唱強化月間?!』でちょこっと触れています。ありがたい話ですが、売れ行き次第では受注生産に戻る可能性もあるので、なるべく出版譜はコピーするのでなく買いましょうね。

なお、楽譜入手のハードルが高い「鴎」「めばえ」「ロマンチストの豚」あたり、出版予定と言われ続けて数年たつ「アカペラコーラスコレクション」男声版が上梓されたら収録されるような気がします。


女声合唱・混声合唱には、打楽器や吹奏楽や管弦楽やオルガンなどと共演する作品もあるものの、男声合唱のために書かれた作品としての編成は無伴奏とピアノの2種類だけです。

もっとも、「鴎」は管弦楽(1管・2管の2バージョン)やオルガン、「春に」(『地平線のかなたへ』第1曲)には吹奏楽の伴奏パートが存在します。初演はいずれも混声合唱との共演。女声合唱や男声合唱との共演も可能なようです。

「夢みたものは……」と「鴎」はピアノ+独唱のバージョンもあります。このピアノパートが合唱と共演可能かどうかは存じません。まあ多分ダメかなと思います。

【本サイト更新】2010/06/13 01:00

【本サイト更新】2010/06/13 01:00

「合唱アンサンブル.com」サイト本体を更新しました。更新内容は次の通りです(書式を変えてみました)。

  • 「日本の絶版・未出版男声合唱曲」について下記を更新しました。
    • サ行の作曲家
      • 三枝成彰の項を更新(「最後の手紙 〜THE LAST MESSAGE〜」を追加)
      • 鈴木淳の項を更新(「海」を追加)
    • ナ行の作曲家
      • 信長貴富の項を更新(「5つのモノローグ」を追加)
    • ハ行の作曲家(フ〜ホ)
      • 藤嶋美穂の項を新設
    • 編曲作品(童謡・唱歌、独唱曲のオムニバス)
      • 小林恵子の項を新設

今回の更新で追加した男声合唱作品は、近々に初演が予定されているものばかりです。お近くの方、ぜひ演奏会に足を運んでいただければと思います。